■ES
――1万7000通のESは誰が見るのですか。
「事業推進型」に関しては、ESが各社にダイレクトに届くので、それぞれの求人担当が見ます。「グループ総合型」はグループ本社の求人担当や、全国各地の求人担当が見ています。
数名で1万通以上を見ます。空欄が多かったり、明らかに雑だったり、良くないESというのは目に付きます。
――木村さんが大事にしている項目は?
「学生時代に得たこと」「JTBグループで何をやりたいか」が2本柱。「学生時代に得たこと」は、そこで得たものをどれだけ簡潔に書いているか。今までの自分を作り上げた信念だとか、やってきた実績から得たものを自分の言葉で書いているか。そこがよければぜひ会いたいと思います。
JTBでやりたいことが「旅を売りたいです」だけではあたりまえすぎます。JTBグループ全体で、何がしたいか明確に書けているかどうか。しっかり企業研究しているなとか、適性があるな、というところを見ています。ただ企業研究もそうですが適性を見たい。仮に企業研究ができていなかったとしても、適性がありそうな人には会ってみたいと思いますね。
――JTB志望者にありがちなESは?
「旅行が大好きで」がまず多い。「私は旅行でこういったことを得ました。ですので、御社でもその思いを多くの方に伝えたい」というものですね。それはそれで構わないですが、それだけでは埋もれてしまうので、いかに自分の言葉で表現できるか。「日本と世界の架け橋になりたい」というものも多い。それももちろん悪くはないけど、それだけではあまりインパクトはありません。
――印象に残るのはどんなESですか。
多くはありませんが、うちに対する思いがあふれ出すようなESはあります。たとえば実際にJTBの人間と関わった話、修学旅行のときの添乗員の話などを、「私はこれまでJTBのいろんな人とお会いしてこんな話を伺いました。そこで私はこう感じて、それに対してこういう思いを持って受けます」と具体的に書いてある。見ただけで感動する内容もあります。そういう意味では企業研究や、志望度の強さは印象に残りますよね。
――社員に会っているかどうかは大きいんですね。
それはとても大事だと思います。採用で有利になることはありませんが、学生にとっては、話の説得力を増したり、後のミスマッチをなくしたりすることも含めて多くの社員に会った方がいいと思います。先輩社員を動員した説明会も多く実施しているので、是非そういった場に直接足を運んでいただいて、コミュニケーションを図ってもらいたいと思います。
■面接
――4月からの面接は何回ですか。
会社によって違いますが、おおむね3回。中には4~5回やるところもあります。「グループ総合型」は最終的には各社で採用しますが、将来的にJTBグループの全事業に関わり全世界での活躍を期待しています。面接も1次面接までは共通で行い、「グループ総合型」参画会社の様々な社員を集めてJTBグループにマッチしているかどうかを見ます。2次面接以降はそれぞれ希望する会社ごとの面接を受けます。育成期間も含めてその会社に基軸を置くことになりますので、ミスマッチがないように見ていきます。
――1次面接はどんな形式ですか。
去年はグループ面接でした。学生が6~7名で面接官2名。面接官はグループリーダークラス、営業の第一線でバリバリ活躍している人たちが中心です。時間は40~50分。
グループディスカッションもこの50分の中で行います。まずは個別に志望動機などを話してもらって、後半はグループディスカッションでした。
――グループディスカッションのテーマは旅行に関することですか。
そうとは限らないですね。いい結論を見いだしていただくというよりは、その時のコミュニケーションのとり方や所作を見ています。テーマ例は人事から示しますが、面接官が聞きたいテーマにしてもよいことにしていました。
――2次面接以降は会社別に行うとのことですが、どんな傾向がありますか。
2次面接で役職者が出てきて、3次面接では役員という感じですかね。学生1人に対して面接官2人が基本ですが、プレゼン面接、グループ面接などさまざまですね。求めているものが違うので、各社オリジナルなものをやっています。
――内々定はいつごろですか。
第1クールの早い方で4月後半からゴールデンウイーク前後ですね。第2クールは5月から筆記試験、面接なので、5月後半から6月の頭くらいに内々定です。
■学生の特徴
――応募者は男子と女子で何か違いはありますか。
総じて女子学生の方がいろいろインプットして準備してくる方が多い印象です。気合もあるし、プレゼンで目立つ子が多い。そんな中で負けずにやっている男子学生はより目立ちます。
――最近の学生の傾向、変化は?
女子はちょっと強くなっている印象です。男子は、昔は見た目も雰囲気も中身もいかにも体育会系という人が多かったのですが、最近は、内定者も新入社員も「ミスター体育会」より闘志を内に秘めた人が多い気がします。見た目はいわゆる草食系でも、出るところに出ればしっかりやって気持ちも出せる人。印象とだいぶ違う。
――その男子学生の変化について、木村さんはどう思いますか。
悪くはないと思います。一方で「ミスター体育会」みたいな人も必要なのに、JTBという会社に彼らの目が向かなくなってきているのかなとも思います。特に法人営業職には、体力があって、礼儀もしっかりして、根性もある人は、かなり適性も高いと思いますので、もっとそういう方にもお目にかかりたい。
自分の世代は体育会系のアメフト部とかラグビー部のような人が多かったですが、傾向として比率としては減少していると思います。
――体育会の学生を集めた説明会や、OB・OG訪問はやっていますか。
体育会の学生を集めたイベントなどには参加し、積極的にお会いしたいと思っていますが、特に体育会枠を設けて採用するというような事はしていません。
――エントリーする学生の傾向と求める人物像に落差はありますか。
人物像の落差というよりは、やはり会社イメージのまま来る方が多いと思います。
良くも悪くもすごく認知度の高い会社だとは思いますので、JTBというと赤い看板のもとでパンフレットで旅行を売っているというイメージで来る学生が多い。店頭販売を目標とする方はもちろん構わないのですが、他の事業や法人営業も大事。知らないから来ない人もいると思うので、知って目を向けてもらいたい。志望する人も、なんとなく「旅行売っているんですよね……」という人が多い。私たちの幅広い事業や営業スタイルを知ってほしいと思いますし、そこが求人活動における課題だと感じています。
――たとえばどんな事業について知ってほしいのですか。
わかりやすい例でいうと、JTBグループに入って何をやりたいか聞くと、「企画をつくりたい」という人が圧倒的に多い。学生の皆さんがイメージしているのは旅行のパンフレットです。でも私が担当していた法人営業にとっての「企画」は、お客様それぞれに合わせた企画、オーダーメードの課題を解決するための企画です。こういう話をちょっと学生にすると「そんなこともやっているんですね」と、びっくりした反応が返ってきます。そういった魅力も知ってもらいたい。
――基本的には旅行の企画ですよね。
お客様の課題を解決するため、目的を達成するための旅行の企画を作る。すると、中には旅行だけではなくて、交流の機会を生み出すイベントなど旅行ではない場面もあります。
――企業研究が浅い学生が多いということでしょうか。
新聞やテレビが伝えるJTBは、パッケージ旅行、カウンター、旅行パンフレットばかりです。実は企業さんへの営業や修学旅行なども大きな仕事ですが、そういうイメージが学生の皆様にはあまりないと思います。
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