人事のホンネ

株式会社三井住友銀行

2015シーズン【第5回 三井住友銀行】
キーワードは絆・覚悟・グローバル・個性 社員に会って決めて

三井住友銀行 人事部採用グループ長 中村浩一郎(なかむら・こういちろう)さん

2013年11月20日

■2014年度入社の採用実績
 ――2014年度入社予定の採用実績を教えてください。
 内定者数は1243人。内訳は、総合職が391人、総合職リテールコースが266人、ビジネスキャリア(BC)職が586人です。採用チームは大阪にもあって、総合職は、東日本6割、西日本4割の採用です。大阪で採用された人は西日本に配属というケースが多い。総合職の女性は近年3割くらいで横ばいです。

 ――今年度の採用はこれで確定ですか。
 まだこれから海外に出向いて採用選考をします。中国・韓国などで、日本で働きたい人を集めたキャリアフォーラムがある。日本人の留学生の採用もしていて、ボストンの大きいキャリアフォーラムにも出向きます。

 ――採用数に変化はありますか。
 近年増えていて、BC職というかつての一般職が去年より110名増えました。女性の働き方の多様化に合わせていろいろな制度を作っていて、子どもを持ちながら働く人が支店にはたくさんいます。支店の定員が5名として、全員が朝の保育所の送り迎えなど子育てをしながら働いているとすると、定員を増やしてその店に新人を入れます。採用数が増えているのはアベノミクスの影響ではありません。今後5~10年の採用計画を立てているので、全体的な業務遂行のための適正値です。景気がいいと採用数も増えるイメージがあるかもしれませんが、景気に左右されず、お客さまのご要望にお応えするために、銀行経営上必要な採用人数をキープしています。

 ――エントリー数の近年の動向はいかがですか。
 プレエントリーは徐々に増えていて、ありがたいと思います。本エントリーは、3万人近い学生からご応募をいただいています。

 ――募集職種(総合職、総合職リテールコース、BC職)の違いを教えてください。
 「総合職」は、海外国内問わずどこにでも転勤があり、銀行の全ての仕事に携わる可能性があります。
 「総合職リテールコース」は、個人のお客さまに提案するコンシューマーサービス(CS)職を変更したものです。今年が初めての採用で2014年春入社が1期生。従来のCS職の行員はリテールコースになっています。今はニーズが多様化して、法人のお客さまでもオーナーが個人の相談にも乗ってほしいというケースがあり、個人と法人の両方をカバーできるよう「総合職リテールコース」をつくりました。リテールコースは男性の割合が増えています。これは、法人営業も担当するようになったことと、これまでの「地域型」に、国内だったらどこへでも行く「全域型」という職種を加えたため。海外には出ないが国内のビジネスをずっとやっていきたい、そういうキャリアパスを描く男性が増えてきたからだと思います。「総合職」と「総合職リテールコース」は基幹職なので活躍の場も広いし、しっかり理解して入ってきてほしいですね。
 「BC職」は、2008年に一般職を発展的に解消して新しく作った職種です。「結婚しても働きたい」「子どもを産んでも働きたい」「役職者を目指したい」など意欲のある人が増え、マネジメントも目指せる職種設計にしました。主な仕事は、窓口、窓口の後方事務、サポート、そして相談業務です。マネーライフコンサルタントも担当してもらう。仕事はかなり幅広い。仕事のレベルが上がり、幅も広くなり、意欲をもつ女性が増えています。

 ――かつての一般職というと、女性が就くイメージですが。男性はいるんですか?
 「BC職」へのエントリーはほとんどが女性、今年の内定者は全員女性です。エントリーする男性もいますが、聞いてみると、自分の目指していたのは「総合職」だと気づいて変更する人もいます。ただ、過去には男性で採用した人もおり、採用の可否に性別は関係ありません。

 ――内定者に大学の偏りはありますか。
 学生数が多い大学は自然とエントリーが多くなり、採用数も多くなる傾向はあります。

 ――特定の大学の学生を優先的に選考する「ターゲット校」を設定する企業が増えていると聞きます。選考に大学名は関係ありますか。
 関係ありません。先入観によらず、その人の本質を見たい。ただ、いわゆる学力の高い学校には関心がいきますよね。だからといってそこの学生に何か優遇をすることはありません。

一定の「学ぶ力」は必要 「SMBCラウンジ」はOB訪問代わり

■SMBCの採用選考
 ――2014年度入社の採用の流れを教えてください。
 12月1日からプレエントリー開始、2月中旬から本エントリー。同時にWEBテストを受けてもらい、それと合わせて書類選考。1次選考は4月1日からで、改めてWEBテストを受けてもらいます。通過した方に面接を何回か行い、内々定という流れです。面接は複数回実施し、内々定は4月の上旬から、選考が終われば順次出しています。

 ――2回のWEBテストでは、ばっさり足切りするのですか。
 2回の内容は似ていますが別のものです。言語系と数理系で、性格的なものは特に入っていません。ある一定の「学ぶ力」が備わっていないと銀行に入っても苦労するので、第一関門として受けてもらっています。なるべく面接に来てほしいものの、全員には会えないので選考はしていますが、大きく足切りするようなことはありません。

 ――OB・OG訪問のために、人事部で行員の紹介はしていますか。
 個別の紹介はしていませんが、学生と若手行員が接する機会は多く設けていて、1月後半ごろから「SMBCラウンジ」という学生と行員を一同に集める懇談会を開いています。銀行の業務に関する説明を聞いてもらったあと、行員1人対学生何人かで先輩の話を聞けます。OB訪問の機会を我々が提供している形です。すぐ定員が埋まってしまうので、複数回開いています。受け付けは先着順です。
 説明会でよく話すのですが、我々は学生に選ばれる立場だと思っています。うちを選ぶかどうか、他人の基準ではなく自分で決めてほしい。そのためには行員に会って、直接話を聞く機会を設けるのが一番だと考え、2008年に始めました。会って初めてわかるものがある。我々は出せる情報はすべて出すので、ぜひ行員に会ってほしい。

 ――大学別の懇親会は開いていますか。
 「SMBCラウンジ」で大学の先輩が居れば会えるようにしています。

 ――「SMBCラウンジ」は総合職が対象ですか。
 職種を選ぶ本エントリーの前なので、全職種が対象です。目的は働くイメージを伝えること。自分のやりたい仕事が銀行なのか他の業界なのか、銀行ならどの職種か。職種は働き方だと思うのですが、人事部員が話すより実際に現場で働いている人の話を聞く方がイメージが沸く。入行してからミスマッチに気づき「やりたい仕事ができない」というのが一番悲しい話です。「やりたい仕事はこれで、この会社ならそれができる」と自信を持って言えるようになって面接に来てほしい。そのために多くの機会を作っています。

 ――「SMBCラウンジ」で何人の学生に会うのでしょう?
 のべ1万人規模です。1月後半から、2月、3月と、ぎりぎりまで開きます。多くの行員に手伝ってもらって、なるべく多くの学生にお会いしています。

 ――ラウンジで良い学生がいれば情報を人事部に上げるのですか?
 人事部が主催しているので、参加歴はわかりますが、学生に会ってもらうのは人事部員ではないので、判断や選考をすることはありません。

 ――エントリーの締め切り日が2月から10月まで10回も設けてあります。何度も受け付けるのはなぜですか。
 通年採用をしています。4月、5月で終わりではなく、10月1日の内定式の前後にも選考している。海外留学から6月に帰国するなどいろんな事情の人がいます。そういう人も選考に参加してもらえるように配慮すべきだと思っています。全体としては、メーンの4月採用ですが、それ以降の期間も毎年採用しています。