
富士通
【人事のホンネ 特別編】「新卒一括採用廃止」富士通に聞く真意 高い挑戦意欲持つ人に来てほしい
Employee Success本部 人材採用センター長 大平将一(おおひら・しょういち)さん
2025年05月21日

「ジョブ型人材マネジメント」にあった採用方法に

――御社では2026年度の新卒採用から、いわゆる「新卒一括採用」の仕組みをやめるとアナウンスされました。
これまでは年度ごとに全社で採用人数を決めてまとめて採用し、学歴別の初任給で一律にスタートするといういわゆる「一括採用」を行っていました。今後は社内の各部門で必要な人材をタイムリーに採ることを重視し、新卒や中途といった採用の枠組みにこだわらず、通年で採用を行うことになります。年度ごとに新卒を何人採用する、という計画数を定めずにフレキシブルに採用していきます。
報酬も担うジョブによって初任給から異なり、多くの新卒入社者は年収約550万円から700万円程度、高度な専門性が求められる高いジョブを担う人材は年収1000万円程度になることもあります。
――狙いを教えて下さい。
富士通は、2020年度からジョブ型の人材マネジメントを導入し、人事制度全般を「フルモデルチェンジ」してきています。今年で5年経過しまして、幹部社員から一般社員までを対象に制度を変えてきて、かなりジョブ型の理念は浸透、定着し、成熟してきました。
しかし、新入社員の採用は、人数を決めてまとめて採用し学歴別で一律の初任給からスタートするという仕組みが残っていました。今回の決定は、新卒採用の部分をジョブ型人材マネジメントにあうように切り替えた、ということです。
■ジョブ型とは
――「ジョブ型人材マネジメント」とは、どういうものでしょうか。
会社内にあるジョブ(どのポジションでどのような仕事をするか)に応じて、必要なスキルや期待することをオープンにし、最適な人材がそのジョブに就くようにするという仕組みが「ジョブ型」です。これと対をなす仕組みが、まず人材を採用し、その人にあった仕事を割り当てる「メンバーシップ型」で、富士通をはじめ日本の多くの企業はこの仕組みでした。
――富士通がジョブ型に「フルモデルチェンジ」した理由は何ですか。
変化の激しい時代に社会問題の解決やお客様のニーズに応えていくためには、必要となるテクノロジーやソリューションにすぐに対応できる人材や組織が必要です。そのため富士通では「社内外の多彩な人材が俊敏に集い、社会のいたるところでイノベーションを創出する企業へ」というHRビジョンを掲げ、これを実現するために人材の流動化を促進すべくジョブ型人材マネジメントを取り入れ、その考え方に基づくポスティング制度の拡大なども進めています。
人材がひとつの場所にとどまり、狭い世界での限られた経験だけでは、ビジネスや社会環境の変化に対応できませんので、人材をなるべく流動化させたいという意識で人事制度を変えています。
また、グローバルでは、ジョブ型が標準になっています。富士通はグローバルに事業を展開しているので、日本だけが異なる仕組みだと、チームでプロジェクトを進めたり評価をしたりすることが難しくなるという課題もありました。
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2025/05/22 更新
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