人事のホンネ

 人気企業の採用担当者に編集長が直撃インタビューする「人事のホンネ」。2025シーズンの特別編第3弾は、テレビ朝日のインタビューをお届けします。世帯視聴率で2年連続3冠(全日、ゴールデン、プライム)を達成(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、ネットも積極的に活用し好調な同社がほしい人材は「チャレンジできる人」。採用に際しての考え方や方法、学生へのメッセージを聞きました。(編集長・福井洋平)

■採用状況
 ――2024年卒の入社状況を教えてください。
 アナウンサー2人を含めて27人が入社しました。テレビ番組をはじめとしたコンテンツを制作し、それをビジネスに展開していく「コンテンツ制作・ビジネス」部門が19人、テレビ局の仕事を技術面から支える「テクノロジー」部門が6人です。例年、だいたいこのような比率で採用しています。

 ――コンテンツ制作・ビジネス部門は仕事がイメージしやすいですが、テクノロジー部門はどういった仕事が含まれますか。
 かつては放送・番組制作のための技術を担っていましたが、いまはそれだけではなく広範囲にわたる技術を担当しています。特に番組配信を含めてネットの活用、業務DX化、AIやVR/AR、ビッグデータ分析などが求められるので、デジタルサービスを作れる人が欲しいですね。テレビ局がそういった人材を求めていることを知らない学生も多く、説明をすると興味をもってくれたりするので、なるべく学生との接点を増やしたいと考えています。

 ――2025年卒の採用状況はいかがでしょうか。
 2024年卒と同程度の人数を採用する予定です。

 ――2026年卒採用のスケジュールを教えて下さい。
 最初はアナウンサー希望者を対象にした「アナトーーク!」というスタジオでのアナウンサー体験プログラムが大学3年の4~5月にあります。そのあと7月にビズリーチの主催で弊社をはじめ在京キー局5局の人事職員が登壇する「キー局ライブ」というオンラインの合同説明会があり、これはかなり視聴数が多いです。そのあと7月末からいわゆるインターンシップ(厳密にはオープン・カンパニー)の募集が始まり、8月末から9月に実施するという流れになります。

ESで書いた企画案に社員からフィードバック

■就業体験
 ――オープン・カンパニーの内容について教えて下さい。
 日程は2日間で1日目はオンライン、2日目はリアルで行っています。採用で優遇されるなどの措置はありませんが、2025卒採用ですと全体の3分の1程度がこのイベントの経験者でした。イベントに参加することでテレビ朝日への思いが強くなったのかな、と思います。 報道、スポーツ、ドラマ、バラエティー、ビジネスとテクノロジーの6ジャンルで募集し、会場の都合で選考は行わせていただいております。

 ――選考はどのように行いますか。
 まずエントリーシート(ES)を書いてもらいますが、ここではいわゆる採用に向けての選考ではないので、シンプルに企画書を書いてもらいます。テレビ局の仕事を知ってもらうことがイベントの主目的ですし、選考に落ちて「この会社は違う」と思われることも避けたいので、私たち社員からESを書いて下さった方の企画についてフィードバックをして「テレビ朝日はこんなことを考えている」とお伝えするようにしています。
 そのあとオンラインで複数人が集まり、それぞれ自分の企画書をプレゼンするグループワークをしていただきます。ここでも、企画に対してフィードバックを行います。テレビ局員の考え方や企画の足りなかったところを学べる機会になるようにしていますし、受けて頂いた学生からは、学生同士の考えも知ることが出来て新鮮だったと感想を貰いました。

 ――イベントの内容は。
 オンラインパートは記者やディレクターなどいろいろな職種の社員を呼び、30分×社員6人などで、3時間程度の講義を聴いてもらいます。リアルのパートでは、放送時間帯などを具体的に設定して新しい企画を考えてもらい、その場で社員からフィードバックをします。いろんな人が意見を出し合い企画がどんどん膨らんでいくのが、テレビ局の醍醐味でもあるので、それを体感してほしいと考えています。あとは社内の見学や収録現場視察などを実施しています。

 ――テクノロジー部門はどういう内容になりますか。
 10年後に流行っていそうな技術、サービスを考えてもらいます。学生がいま取り組んでいることを私たちがヒアリングし、うちの会社だとこういうことができるということを、技術系の社員とすりあわせ、先輩社員と交流して学ぶ機会をもちます。