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2025シーズン 講談社
【人事のホンネ 特別編】自分と人との違い、おもしろがって 人気ランキング2位・講談社に聞きました
人事部 岩崎志子(いわさき・ゆきこ)さん(左)、前田克也(まえだ・かつや)さん(右)
2024年04月03日
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世界をターゲットにした「総合エンタメ企業」に
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――講談社は前回ランキングで3位、今回は2位と人気があがってきています。他の出版社も上位にランクインしていますね。
岩崎さん(以下、本編は岩崎さんが回答) 出版業界そのものの人気があがっているのは、コロナ禍による巣ごもり需要でエンタ-テインメントコンテンツに接する時間が世界的に増え、ライフスタイルの中に定着したからだと感じます。
エンタメ以外の趣味を楽しんでいた人達も、スマホで漫画を読んだり、動画配信サービスで漫画や小説が原作のアニメやドラマを見たりすることが生活に定着したように思います。接触機会の増加を入口に、コンテンツをつくっている会社に学生が関心を寄せるようになったのではないでしょうか。
――講談社は2021年度に、創業以来の最高益を計上しました。
まさかこの時代に最高益が出るとは……。出版不況と呼ばれた時代もあったので、正直驚いています。ただ、大変な時代のときに継続して取り組んできたことが、いまにつながった、と思います。
――最高益の要因はなんでしょうか。
電子書籍の売上の伸びが大きいと思います。講談社は業界の先陣をきって電子書籍の強化に取り組んだ会社です。2011年発売の漫画『宇宙兄弟』16巻では、紙の本と電子書籍を同時に発売する試みにもいち早く挑戦しました。当時は紙と電子書籍を同時発売すると紙の本の売れ行きに悪影響があるのではとささやかれていたのですが、実際にやってみると紙の売上にも相乗効果があることがわかりました。 その後、電子と紙を同時並行ですすめるための仕組みを整えていき、いまでは業界全体で同時発売が当たり前になっています。
現在は『進撃の巨人』や『東京卍リベンジャーズ』などの大ヒット漫画、東野圭吾先生や西尾維新先生といった人気作家の文芸作品などを軸に、アニメやドラマ・映画へのIP(知的財産)展開、さらにインディーゲームクリエイターの方と組んでオリジナルゲームをリリースするなど、新しいコンテンツ製作にも事業領域を拡大しています。またIPの海外展開にも積極的に取り組むなど、かつての出版のイメージから脱却して、世界をターゲットにした「総合エンタメ企業」へと変化しつつあります。2020年度にはデジタル・版権分野中心の「事業収入」が紙媒体の「製品」売上を初めて上回りました。
――学生からは、どういう反応がありますか。
書籍を通じてはもちろんですが、漫画や小説が原作のドラマやアニメ、映画が多くあることで、出版社にはコンテンツをつくる力があり、それを派生させていろいろなことができるということが学生に自然に理解してもらえる状況になっていると感じます。私たちは採用活動でも、紙の本だけをつくるのではなく「あなたのやりたいことが新しく叶う可能性がある企業だよ」ということを伝えています。IPビジネスを通じ、海外と仕事するチャンスが増えているという話もしています。
――会社の性質も変わりましたか?
業務の幅は広がりましたが、その中心に良質なコンテンツがないと展開はできません。講談社の企業理念である「おもしろくて、ためになる」ものをつくり、届けようという気持ちはかわっていないと思います。
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2025/02/23 更新
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