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■CM
──最近、日清紡のテレビCMをよく目にします。主に誰に向けたメッセージですか。
CMはリクルート目的が大きいですね。CMのおかげで「名前を知っているからエントリーしよう」という人が多くいます。BtoB(企業間ビジネス)企業は、BtoC(一般消費者向けビジネス)のように学生の手元に商品が届いているわけではないので、CMがなかったら今ほどエントリーしてもらっていないかもしれません。
──CMでエントリーが増えたのですか。
2012年に今のようなCMを始めてからエントリー数が4割増えました。「なぜエントリーをしましたか」というアンケートへの回答の内訳を見ると、「CMを見て」がほぼ4割を占めているので、明らかにCM効果だと思います。
かつての繊維産業は日本の主要産業でしたが、1990年代ごろから認知度の低下が採用にも影響してきました。手を変え品を変えいろんな広告を出しましたが、当時のCMは「日清紡はこういうものをつくっている会社です」と、よくあるパターンでした。人気が上がらないので、思い切って「まずは名前を知ってもらおう」と今のようなCMにしました。何をやっている会社か、興味を持って調べたい人にはお知らせするスペシャルサイトもあります。
──採用チームもCMに関わっているのですか。
私は今年、初めて企画段階から関わりました。「採用の目線、若い人の目線から意見がほしい」と言われたので、「インパクトがあって面白い」「ちょっと画面が暗いんじゃないですか」と、ざっくばらんに話しました。そして出来上がったのが「歌おう!ニッシンボー」シリーズです。4月に「うま編」、7月から「カワウソ編」が流れています。
──若い目線で意識したことは?
インパクトがあるかどうかですね。ネットに慣れている今の学生は、たくさんの情報を一気に見たり聞いたりしない傾向があります。そういう煩わしさがないか、簡潔なCMかという目線で見ました。
──出来上がりの評価は?
大変満足です。「うま編」は、CM総合研究所の好感度調査で過去最高のポイントが出て、総合順位もトップ10に入りました。若者の「テレビ離れ」がいわれますが、インターンシップやイベントで「CMを見たことありますか」と聞くと、多くは流れないCMなのに半数以上が手を挙げてくれます。印象に残るんだと思います。よく「変なCM」とも言われますが(笑)。