人事のホンネ

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)

2023シーズン⑤ NTT東日本《後編》
求めるのは「変化を楽しめる人」 通信で日本を面白く豊かに【人事のホンネ】

総務人事部 人事第一部門 採用人事担当 河内彩(かわち・あや)さん、人事第二部門 採用人事担当 五十嵐貴大(いがらし・たかひろ)さん

2021年10月27日

 人気企業の採用担当者インタビュー「人事のホンネ」2023シーズン第5弾、NTT東日本の後編です。日本を代表する大企業ですが、「安定」だけを求めて志望すると面食らうかもしれません。変化の激しい通信業界では、「挑戦」を続けてこその「安定」だからです。転勤や単身赴任廃止の方針でも注目されています。(編集長・木之本敬介)
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■求める人物像
 ──求める人物像を教えてください。
 河内 通信業界は変化が激しいので、その変化を楽しめるか、困難があっても熱意を持って打破していけるかですね。学生時代の取り組みなどから判断します。

 ──日本を代表する会社ですから、安定感を求めてくる学生も多いのでは?
 河内 最初は「安定」をイメージして来る学生がいますが、説明会などに参加するうちに違うと感じるようで、選考で残る学生や内々定者にはその傾向はないと思います。世の中はどんどん進むので現状維持だと置いていかれます。NTT東日本は常に新しい何かを生み出し、成長を止めない会社です。コロナ禍の2020年度も増収増益を実現しました。「安定」を生むのは「挑戦」です。来年、再来年、5年後の安定を得るための挑戦を各社員がしています。
 五十嵐 「安定しているから選びました」という学生はほぼいません。働きやすい環境、柔軟な働き方を求める人はいますが、「どんどん新しいことにチャレンジできる」ところに共感して来てくれる学生が多いですね。

■ニュースへの関心
 ──世の中やニュースへの関心は必要ですか。
 河内 変化が激しい業界なので、世の中のトレンドをつかむことは大事です。あらゆる業界と関わりながら仕事をするので、視野を広げるために新聞やニュースをチェックして時流を捉えることは社員も含めて重要です。
 今の学生は情報に触れる機会が多く、浅い情報はたくさん持っています。面接で「なんで?」を繰り返し、深掘りしても自分の思いを話せる学生は、情報を取捨選択してインプットしていると分かります。

■インターンシップ
 ──インターンシップについて教えてください。
 河内 事務系は地方創生のビジネスプランを考えてもらいます。夏と冬に5日間ずつ、それぞれ3回実施して各回50人ほどが参加します。
 五十嵐 技術系は大きく3種類で、一つはシステムエンジニアの業務を体験できるコース。二つ目はネットワークプランニングでインフラをつくったり守ったりするコース。三つ目がプログラミングやクラウド、セキュリティーなど技術に特化した業務を体験できるコースです。3種類を夏冬5日間ずつ開き、各回約50人が体験します。

 ──内定者のうちインターン参加者の割合は?
 河内 インターンに参加すると企業理解が深まる影響もあり、結果的に半分くらいを占めています。

■働き方
 ──NTTは今後リモートワークを基本とし、全国にサテライトオフィスを設けて転勤や単身赴任をなくしていくと発表しましたね。今の出社率はどのくらいですか。
 河内 私はこの1年間で10回も会社に来ていません。設備系の仕事は現地に行かないといけないので、NTTグループ全体のオフィスワーカーで在宅勤務7割を掲げています。
 五十嵐 我々は、時間や場所にとらわれずに自由に働ける「リモートワールド」を推進しています。これからはダイバーシティーの観点からも、女性も障がいを持つ方も個人がベストパフォーマンスを出せる場所・環境・時間を会社が提供する時代になると思います。

「通信・IT好き」なら何にでも挑戦できる 若手にも役割・責任

■社風
 ──ずばり、どんな会社ですか。
 河内 社員が5000人もいるので、あんな人もこんな人もいろいろな人がいて、それを受け入れる懐の深い会社だと思います。個々人の強みをチームの中でうまく生かしながら仕事をしています。
 五十嵐 通信やITが好きだったら何にでも挑戦できる会社です。通信インフラをつくったり守ったりする基盤を担っていますし、プログラミング、クラウド、サーバー、ネットワークなど多様な技術を扱う部署があるので、「通信・IT好き」という軸がある学生にとっては自分の歩みたいキャリアに進める会社だと思います。

 ──かつては政府も関わる電電公社でしたが、官僚的な古い体質は残っていませんか。
 河内 そういうイメージを持つ人もいるし、私自身も受けるときには思っていました。今はそのイメージとはギャップがあり、若手のうちから裁量権を与えられる会社だと思っています。私はコンサルティング営業をやっていましたが、「ここに行きなさい」と指示を受けるのではなく、どういう業種で、どういうニーズを拾うかを考え、業務設計をしながら仕事をしました。「待っていれば仕事が降ってくる」と思っている学生も多いので、「そうじゃないよ、苦しい部分もあってそれがやりがいにつながるよ」と伝えています。
 五十嵐 若手にもしっかりした役割、責任を負わせてくれます。上司に「こんな勉強をしているから、こういう案件に携わりたい」と言うとそういう仕事をアサインしてもらえます。研修にも惜しみなく投資してくれて、私もプロジェクトマネジメントの研修に行きたいと言ったら約40万円の費用を出してくれました。学生は「上が言うことは絶対」という縦社会をイメージしているかもしれませんが、やりたいことがあれば全力で背中を押してくれる上司もいます。しっかり育成してくれる会社です。

 ──NTT西日本、NTTドコモなどのグループ企業との関係は?
 河内 学生にも「東と西の違いは」と聞かれますが、どのエリアに貢献したいかで選んでと伝えています。NTT西日本さんとは一緒に日本を盛り上げる、変える思いで、教育のICTなどは手を取り合って全国でやっています。ドコモさんは一般コンシューマーを中心に、我々は法人・ビジネス市場を中心に取り組んでいるので、それぞれの立場で世の中を良くしていこうと。通信の力で課題を解決する方向性は一緒です。

■競合
 ──採用で、通信以外に競合する業界は?
 河内 街づくりやビジネス創造に興味を持っている人だと商社やディベロッパーですね。お客様の話を聞きながら課題解決を図るという意味ではコンサル志望者もけっこういます。
 五十嵐 情報システムを構築するSIer(エスアイアー=システムインテグレーター)ですね。コンサル系とメーカー系それぞれの大手と競合します。