人事のホンネ

JA全農(全国農業協同組合連合会)

人事のホンネ2021シーズン【第6回 JA全農(全国農業協同組合連合会)】(前編)
「農業・食」への関心と説得力が大切 能力より志望度重視

総務人事部 人材育成課 課長 小野哲也(おの・てつや)さん、人材育成課 服部拓矢(はっとり・たくや)さん

2019年10月30日

 人気企業の採用担当者に直撃インタビューする「人事のホンネ」の2021シーズン第6弾は、JA全農(全国農業協同組合連合会)です。「食」関連の企業が人気を集める一方、農業に特化した企業は多くありません。でも、ここなら農業に関われます。どんなビジネスをしているのでしょう?(編集長・木之本敬介)

■採用実績
 ──2020年卒採用を振り返ってください。
 服部さん(写真左) 内定者数は約260人で、事務系が約240人、技術系が約20人です。男女比はおおむね6対4、文系・理系の比率も6対4です。
 2020年卒採用の学生を対象にしたインターンシップを前年より増やしました。採用と直結しているわけではありませんが、インターン経験者の内定者が増えて3~4割を占めました。

 ──2019年春の入会者数は?
 服部 257人で、男女比はやはり6対4でした。事務系が約240人、技術系の割合は技術系が20人ほど。文理の割合はほぼ5対5でした。

 ──そうすると、事務系の仕事に理系出身者も多いということですか。
 小野さん(写真右) はい、たくさんいます。中でも農学系が多いですね。我々は農業団体なので「農業をやってみたい」「農業の技術に関わりたい」という意欲を持って農学部を含む理系から事務系の仕事に入る人も多くいます。もちろん、研究所には理系出身者が多くいます。農業関係に特化した企業は多くありませんから、事務系・技術系ともに農学関係の就職先として選ばれているのだと思います。技術系では獣医の採用もあります。

 ──2021年卒採用の見通しは?
 服部 2018年卒は230人ほどでしたが、2019年卒、2020年卒は約260人で少し増やしました。2021年卒も同じくらいだと思います。

 ──増えた要因は?
 小野 事業の拡大のほか、事業環境の変化への対応、「全農改革」といった新しい取り組みに人手が必要という側面はありますが、各部署・県本部が定年などで退職する職員を勘案しながら新卒採用計画を作成した結果、新卒採用者が増えているという要因が主です。
 
■コース
 ──職種を教えてください。
 服部 「全国コース」と「県域コース」があり、それぞれに事務系、技術系があります。
 JA全農は全国32都府県に本部を持っています。「全国コース」は、本所(ほんしょ)と呼ぶここ東京・大手町のビル、札幌、東京、大阪、福岡、岡山など全国拠点都市の事業所、海外拠点、県本部など全国問わず勤務します。「県域コース」は、各県の本部で基本的に仕事をします。かつ、その中で事務系、技術系に分かれて採用しています。

 ──「全国コース」の技術系はどんな仕事ですか。
 小野 米や野菜に関する耕種関係の研究所や獣医など畜産関係の研究所で働くほか、JAの事務所や農業用施設の建築設計に携わる建築士が働く事務所などもあります。
 獣医は実際に診断するよりも、家畜の病気と健康についての研究とその知見を活用したワクチン等の開発、あるいは家畜の衛生検査・指導を通じて今ニュースになっている豚コレラなどの家畜伝染病の予防や生産性の向上、また和牛の生産拡大のためのET(受精卵移植)技術の開発が主な業務です。
 
 ──研究所は全国にあるのですか。
 小野 研究所・研究施設は4カ所あり、うち一つは耕種関係、三つは畜産関係です。
耕地関係は「営農・技術センター」(神奈川県平塚市)。畜産関係は「飼料畜産中央研究所」(茨城県つくば市)、「家畜衛生研究所」(千葉県佐倉市)、牛の受精卵の研究を行う「ET研究所」(北海道河東郡上士幌町)と畜産関係の分場が数カ所です。ET研究所では実際にたくさんの牛を飼って受精卵の研究と製造を行っており、日本全国の酪農家に受精卵をお届けしています。
 服部 技術系職員の勤務地は、各地の研究所のほか、大手町のJAビルや全国の県本部で働く人もいます。

 ――「県域コース」の技術系は?
 小野 「県域コース」の技術系はそれほど多くなく、主に獣医と建築です。建築はビニールハウスや、米の保管施設といった農業関連施設、JAなどの事務所、また一般家庭の住宅の建築設計や施工にも携わります。
 服部 「県域コース」のほうが、地域のJA(農業協同組合=農協)や農家と近い距離で仕事ができるので、それが決め手になる人もいます。純粋に転勤するかしないかを含めて、勤務地で選ぶ人もいます。

 ──「全国コース」は異動が多い?
 服部 転居を伴わないものを含め、3~5年に1度異動します。早いときは2年に1度ですね。
内定者約260人のうち、「全国」が80人ほど、180人くらいが「県域」です。「県域」は年によっては募集がない本部もあるなど採用はまちまちです。

「販売」「購買」が事業の柱 インターンでワーク

■インターンシップ
 ──インターンシップについて教えてください。
 小野 2021年卒採用の学生対象のインターンはかなり数を増やして、1日のインターンを8月~2月ごろまで月に4~5回、全国各地で開催するようにしました。ほとんどの学生はJA全農について詳しくは知らないので、まず本会の事業の柱である「販売事業」と「購買事業」について、実際にどんな人たちと関わりながら仕事をしているかを俯瞰(ふかん)的に見るワークを、カードゲーム形式で行っています。そうしてJA全農の全体像を把握してもらったうえで、実際にJA全農の職員がどんな仕事をしているのかを体験してもらうために、取引先との価格交渉や、取引先への提案資料の作成といったワークを行ってもらいます。
 1回の定員は、東京だと60人くらい、地方はもうちょっと少ないですね。地方では地方の職員と協力しながら進めます。

 ──学生の反応は?
 服部 アンケートの「参加前と参加後で、JA全農に対する印象に変化がありましたか」という問いに対して、ほとんどが「変化があった」と書いています。「ここまでいろんな組織があるとは思わなかった」「単純にモノをつなげるだけだと思っていたけれど、いろんな人と関わりながら仕事をすると分かった」という声がけっこう多いです。
 小野 学生によっては、JA共済や農林中央金庫といった同じグループの別組織と混同していたり、公務員と同一視していたりします。我々の仕事はビジネスベースの話をしなければいけないし、国民の税金によって仕事をする公務員とはアプローチもやり方も違います。「ボランティア的に仕事をするのがJA全農」と思っていると、混乱するかもしれません。そういった点をインターンで知ってもらえればと思います。インターンをきっかけに「良い組織だと思い、ぜひ働きたいと思った」と志望度が高まったという学生もいます。

 ──インターン参加は選考ですか。
 服部 応募が多く、定員を超えた場合は選考になります。応募に際して志望理由を書いてもらうので、そこで判断します。面接はありません。

■説明会
 ──2020年卒採用の流れを教えてください。
 服部 年内から学内説明会や合同説明会に参加し、インターンへのエントリーという形で説明しました。本エントリーは3月1日スタート。独自の企業説明会を全国各地で2~3週間くらいかけて行います。札幌、岩手、宮城、東京、大阪、名古屋、広島、岡山、福岡……と10カ所以上ですね。

 ――岩手、宮城で開くのがJA全農らしいですね。
 服部 そうかもしれませんね。岩手は北東北、宮城は南東北の学生のアクセスを考えて開いています。
 エントリーシート(ES)の締め切りは4月上旬の1回だけです。その後、面接を複数回行い、6月に内々定を出しました。