人気企業の採用担当者に直撃インタビューする「人事のホンネ」2020シーズンの第2弾は、日本を代表するIT企業サイバーエージェント(Cyber Agent)です。採用直結の選抜型インターンシップ「DRAFT」など新たなイベントを次々に打ち出し就活戦線に切り込んでいます。ユニークな採用手法の狙いや成果について、根掘り葉掘り聞いてきました。(編集長・木之本敬介)
■2019卒採用ふり返り
──2019年卒採用はいかがでしたか。
「YJC」という取り組みを初めて行いました。「良い人を、自分たちで、ちゃんと採用する」の略です(笑)。「リクルーター300人が全員人事(部)」という仕組みをつくりました。従来の採用は人事が採用戦略を立て、母集団を形成し、見極めをして上にあげる段階で社員に入ってもらう形でした。それを全部、現場の社員も一緒にやるのがYJCです。
――なぜYJCを?
サイバーエージェント(CA)には「採用に全力を尽くす」というミッションがあり、社長の藤田晋が自ら採用の現場に赴き、役員などのキーマンが積極的に関わってきました。ただ、会社が大きくなるにつれ藤田が面接に出られなくなり、採用メンバー同士も互いの顔が分からなくなってきたということもあり、2017年10月に「改めて採用に全力を尽くしてやっていこう」とYJC導入が決まりました。やってみたら、前年の1.5倍のペースで内定の承諾者が出て大成功。イベントの数は半年で100回を超えました。
──人事の採用チームは何人ですか。
社員は10人。前年まではこの10人が中心となってリクルーターを巻き込んでいましたが、YJC以降は現場の社員が企画して集客して見極めもしています。採用チームは戦略に集中するようになり、根本的に変わりました。
CAでは採用チームに入ること自体が「誉れ」で、活躍している人でないと入れません。社員5000人から選ばれたリクルーター300人は「とっておきの社員」です。2019年卒採用終了後には「YJC総会」という表彰式を開き、活躍した人にスポットを当てました。
──2019年卒の就活戦線の特徴は?
動きが早かったですね。すべての会社が6月以前に内々定を出しているように感じました。私たちも前年より「1.5倍速く」を目標に掲げました。2017年は12月時点で20人の内定承諾者がいたので、今回は30人を目標にしました。2018年卒選考がすべて終わったのは2017年8月でしたが、2019年卒選考は2018年6月末に終わったので目標は達成できました。
株式会社サイバーエージェント
2020シーズン【第2回 サイバーエージェント】(前編)
リクルーター300人が全力採用!インターンで「DRAFT生」選抜
採用育成本部 新卒採用チーム ビジネスコースマネージャー 武内美香(たけうち・みか)さん
2018年09月04日
インターン経由の採用増やしたい
■採用実績
──2019年卒採用の内定者数を教えてください。
約230人です。ビジネスコース約150人、エンジニアコース約70人、デザイナーコース約10人です。男女比はビジネスコースは半々くらいです。デザイナーはほぼ全員女性、エンジニアはほぼ全員男性です。
──2018年卒よりかなり増やしましたね。
2018年卒の入社は150人ほどでした。広告部門が好調なため、2019年卒はビジネスコースの採用を増やしました。2020年卒採用も200人くらいを予定しています。
──学部の指定は?
学部も学歴も不問です。ただ、エンジニアコースとデザイナーコースはポテンシャル(潜在能力)採用ではなく実績採用です。エンジニアは修士卒、学部卒が半々くらいの割合となっています。情報系の専攻が多いですが情報以外の理系や、文系で入社する人もいます。デザイナーは芸大、美大の人が多いですね。
──日本の企業のほとんどが新卒はポテンシャル採用です。働いたことがない学生の実績をどう評価するのですか。
最近の学生はかなり良い成果物をつくっています。学生時代につくったものを見せてもらい、それをベースに採用します。大学での研究も評価対象です。この方法で就活マーケットにおけるエンジニアトップ層を採用するつもりです。そもそもエンジニアのマーケットは人数が少なく他社と取り合いになるので、1年生、2年生のうちから発掘しないといけないと思っています。
──コースと配属の関係は?
配属部門は大まかに分けると「広告」「メディア」「ゲーム」「スタートアップ」の四つです。ビジネスコースは半数以上が広告に配属されます。デザイナーとエンジニアは主にメディア、ゲームに配属され、インターネットテレビ局の「AbemaTV」や「シャドウバース」などのゲームを担当します。ビジネスも3分の1くらいがメディア、ゲームに配属され、残りがスタートアップにいきます。
■インターンシップ
──インターンシップに力を入れていますね。
ビジネスコースでは、「DRAFT」と呼ぶ選抜型インターンシップを取り入れています。年間約3000人が応募して、実際にインターンに参加できるのは約300人。その中の最も活躍した約30人を「DRAFT生」として認定します。「DRAFT生」イコール「内定」ではありませんが、「あなたは優秀です」と認定するものです。
4回目のDRAFTでしたが、認知度が高まり、CAに興味がなくても「DRAFT生になりたい」という動機で受ける人が増え、今回は半々くらいの割合でした。
──「DRAFT生に選ばれたらどの会社にも入れる」といった勲章的な意味合いも?
はい。DRAFT生はプロカメラマンが撮影し、「リーダーシップを発揮した」「論理的思考が素晴らしい」など評価をコーポレイトサイトに掲載します。当社がこの学生は優秀だとお墨付きを与えているんですね(笑)。
コーポレイトサイトに載って、他の企業の方から次々に連絡が来たDRAFT生もいたそうです。DRAFT生の条件は「TOEIC○○点」といった分かりやすい基準ではなく、課題に取り組む姿勢や成果、性格を総合的に判断して優秀な方を選んでいます。
─―興味がなかった学生もDRAFTを通じてCAに入りたくなる?
実はそれが狙いです。CAは20~30代が中心の会社で派手という企業イメージが強く、優秀な学生が「そんな派手な雰囲気は苦手」と尻込みしてしまう場合があります。誤解を解くため、インターンはCA志望者だけではなく優秀な人が受けるものだとリブランディングする狙いがありました。
──DRAFTでは具体的に何をするのですか。
営業系や企画系など10数種類のインターン参加者の中から、優秀な人たちだけを集めてDRAFTに選抜します。2018年卒採用では新規事業案を社長にプレゼンしてもらい、実際に優勝メンバーによる内定者だけの子会社を設立し、女性の子会社社長も誕生しました。今は事業の立ち上げのため開発に取り組んでいて、単なる「会社ごっこ」ではありません。
──採用はインターン経由がメインですか。
今はインターンと本選考が半々くらいですが、もう少しインターンの割合を増やしたいと思っています。
3年生の6月ごろ夏のインターンの選考会が始まり、年末まで実施します。YJCが始まり、私たちも学生も「お互いのことをもっと知りたい」と思って本選考の途中からインターンに参加してもらうケースもあり、内定者の多くが何かしらのインターンに参加していたと思います。給与が出る長期就業型のインターンに参加する人もいます。
──2019年卒採用の内定者数を教えてください。
約230人です。ビジネスコース約150人、エンジニアコース約70人、デザイナーコース約10人です。男女比はビジネスコースは半々くらいです。デザイナーはほぼ全員女性、エンジニアはほぼ全員男性です。
──2018年卒よりかなり増やしましたね。
2018年卒の入社は150人ほどでした。広告部門が好調なため、2019年卒はビジネスコースの採用を増やしました。2020年卒採用も200人くらいを予定しています。
──学部の指定は?
学部も学歴も不問です。ただ、エンジニアコースとデザイナーコースはポテンシャル(潜在能力)採用ではなく実績採用です。エンジニアは修士卒、学部卒が半々くらいの割合となっています。情報系の専攻が多いですが情報以外の理系や、文系で入社する人もいます。デザイナーは芸大、美大の人が多いですね。
──日本の企業のほとんどが新卒はポテンシャル採用です。働いたことがない学生の実績をどう評価するのですか。
最近の学生はかなり良い成果物をつくっています。学生時代につくったものを見せてもらい、それをベースに採用します。大学での研究も評価対象です。この方法で就活マーケットにおけるエンジニアトップ層を採用するつもりです。そもそもエンジニアのマーケットは人数が少なく他社と取り合いになるので、1年生、2年生のうちから発掘しないといけないと思っています。
──コースと配属の関係は?
配属部門は大まかに分けると「広告」「メディア」「ゲーム」「スタートアップ」の四つです。ビジネスコースは半数以上が広告に配属されます。デザイナーとエンジニアは主にメディア、ゲームに配属され、インターネットテレビ局の「AbemaTV」や「シャドウバース」などのゲームを担当します。ビジネスも3分の1くらいがメディア、ゲームに配属され、残りがスタートアップにいきます。
■インターンシップ
──インターンシップに力を入れていますね。
ビジネスコースでは、「DRAFT」と呼ぶ選抜型インターンシップを取り入れています。年間約3000人が応募して、実際にインターンに参加できるのは約300人。その中の最も活躍した約30人を「DRAFT生」として認定します。「DRAFT生」イコール「内定」ではありませんが、「あなたは優秀です」と認定するものです。
4回目のDRAFTでしたが、認知度が高まり、CAに興味がなくても「DRAFT生になりたい」という動機で受ける人が増え、今回は半々くらいの割合でした。
──「DRAFT生に選ばれたらどの会社にも入れる」といった勲章的な意味合いも?
はい。DRAFT生はプロカメラマンが撮影し、「リーダーシップを発揮した」「論理的思考が素晴らしい」など評価をコーポレイトサイトに掲載します。当社がこの学生は優秀だとお墨付きを与えているんですね(笑)。
コーポレイトサイトに載って、他の企業の方から次々に連絡が来たDRAFT生もいたそうです。DRAFT生の条件は「TOEIC○○点」といった分かりやすい基準ではなく、課題に取り組む姿勢や成果、性格を総合的に判断して優秀な方を選んでいます。
─―興味がなかった学生もDRAFTを通じてCAに入りたくなる?
実はそれが狙いです。CAは20~30代が中心の会社で派手という企業イメージが強く、優秀な学生が「そんな派手な雰囲気は苦手」と尻込みしてしまう場合があります。誤解を解くため、インターンはCA志望者だけではなく優秀な人が受けるものだとリブランディングする狙いがありました。
──DRAFTでは具体的に何をするのですか。
営業系や企画系など10数種類のインターン参加者の中から、優秀な人たちだけを集めてDRAFTに選抜します。2018年卒採用では新規事業案を社長にプレゼンしてもらい、実際に優勝メンバーによる内定者だけの子会社を設立し、女性の子会社社長も誕生しました。今は事業の立ち上げのため開発に取り組んでいて、単なる「会社ごっこ」ではありません。
──採用はインターン経由がメインですか。
今はインターンと本選考が半々くらいですが、もう少しインターンの割合を増やしたいと思っています。
3年生の6月ごろ夏のインターンの選考会が始まり、年末まで実施します。YJCが始まり、私たちも学生も「お互いのことをもっと知りたい」と思って本選考の途中からインターンに参加してもらうケースもあり、内定者の多くが何かしらのインターンに参加していたと思います。給与が出る長期就業型のインターンに参加する人もいます。
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2024/11/21 更新
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