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■採用実績
──2017年と2018年入社の採用実績を教えてください。
2017年4月の採用人数は50人前後です。男女比は職種にもよりますが、おおむね半数ずつ、文系・理系の割合もほぼ半数です。2018年も同じくらいですが、2019年入社は採用人数を少し増やす予定です。
──採用は職種別に行っているんですね。
基本方針は、どの職種も将来的には経営やリーダーシップのロールモデルになれる人を採用して育成する考え方です。新卒採用した社員を将来のリーダーとして育成する「内部昇進」に重きを置いています。
入社1日目から専門性を生かしたり、身につけたりしてほしいので、職種別採用を行っています。「研究開発(R&D)」「情報戦略本部(IT)」の二つは理系分野を学んでいた方がいいので、理系の人に絞られると思います。学部の指定はなく、理系であれば学部生、院生、博士でも構いません。
──9職種ありますね。それぞれについて教えてください。
職種を製品の流れに沿って説明すると、一番最初が製品を開発するR&D、一番最後がお客さまに近い「営業統括(Sales)」になります。
この間にいろいろな部署があって、R&Dで開発したものを商品としてつくるのが「生産統括(PS)」です。研究所で10個つくるのと、商品として1億個つくるのでは規模が違うので、生産ラインをつくる役目も含め、「何個必要か」「どれだけ売れるのか」といったサプライチェーンに関わる戦略から実行までの全てをPSが策定します。
その次の「消費者にどのようなブランドとして届けたいのか」というマーケティングに特化した部隊が「マーケティング(MKT)」です。
経営戦略、ファイナンスの部分は「経営管理(F&A)」。P&Gにはたくさんのブランドがありますが、たとえば「アリエールにどれだけ投資して、レノアにどれだけ投資するか」といった点はブランド単体では判断できません。全体のバランスを見ながら投資選択をするのがF&Aの役目です。
「消費者・市場戦略本部(CMK)」は消費者データを扱います。製品の情報戦略を立てるのが「情報戦略本部(IT)」です。
この7職種とは別に、すべての部署を横串で見るのが「人事統括(HR)」。コミュニケーションに関しては社内・社外すべて含めて「広報・渉外(COMMUNICATIONS)」が統括しています。
──日本の会社では文系は総合職採用が一般的なので、珍しいですね。
職種別採用をする理由は二つあります。一つは「成長を加速させてあげる」ためです。総合職で採用すると、どうしても経験年数の長い社員が判断する「年次ベース」になります。職種別に「セールスのプロ」「マーケティングのプロ」「ファイナンスにおけるプロ」という形で採用して専門性を規定してあげると、入社して数カ月経てば「ファイナンスとしての知見を聞かせてほしい」というように一定の裁量権を渡せます。若手のうちから裁量権を与えることが「成長を加速する」と考えています。
もう一つは、「やりたいことをやらせてあげる」ためです。一人ひとりやりたいこと、興味があることは違います。希望を満たすのも職種別採用の目的です。
──職種は世界共通ですか。
世界で統一しています。組織戦略や採用戦略に関しては、どこかの国で特別な施策を打つことはありません。