人事のホンネ

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

2017シーズン 【第11回 セブン-イレブン・ジャパン】
加盟店バックアップするOFCが根幹 本気で人と向き合う仕事

人事部採用担当マネジャー 中田智史(なかだ・さとし)さん

2016年04月04日

■採用数とスケジュール
 ――2015年4月の新入社員数と、2016年度入社予定の内定者数を教えてください。
 2015年は大卒が約450人で、男女比は6対4です。2016年度入社予定は350~360人。理系の学生は1~2割ですが、特に理系文系、あるいは学部卒と大学院修了で差はつけていません。
 例年350~400人が平均的ですが、2015年春入社が特に多かったということです。

 ――2016年卒採用のプレエントリー数はどれくらいでしたか。
 広報解禁日の3月1日以降、自社ホームページ(HP)や就活ナビからのものを合わせるとプレエントリーが3万くらい。実際にエントリーしたのは6000人くらいですね。就活スケジュールが大幅に変更されたことと、各企業が採用数を増やしたこともあり、若干減ったのだと思います。

 ――採用スケジュールを振り返ってください。
 2015年3月から会社説明会を開き、その後も先輩社員に会えるイベントを開催し、8月1日以降に本格的な選考を実施しました。選考まで期間を使い、学生に会社の魅力を伝えたり、大学を回って会社情報を提供したりすることにも力を入れました。

 ――イベントはどんな内容ですか。
 インターンシップ参加者を対象にした先輩社員との質問会やビジネスのコミュニケーションをシミュレーションできるグループワークのセミナー、仕事を体感できるセミナーも開きました。
 2016卒採用では東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、広島、福岡の全国7地区で選考を実施しました。セミナーも基本的には選考を行う都市を中心に主要な大学を回りました。

 ――全国で選考する理由は?
 最大の理由は学事日程への配慮です。交通費がかかるうえに、授業も休むとになると学生にとっては負担が大きいので、なるべく自分の大学に近いところで選考を受けられるようにしました。各地区で最終選考まで行いますが、採用は地区別ではなく全国一括です。

 ――リクルーター制度はとっていますか。
 社内にOBがいない学生にとって不公平なのではという観点から、実施していません。

■インターンシップ
 ――2016年卒生向けインターンシップについて教えてください。
 時期は3年生の夏冬の休みに合わせています。当社のインターンシップはまず「1DAY」で行い、その参加者がエントリーシート(ES)を出して5日間のインターンに参加してもらう形です。1DAYの参加者が全部で約2000人、そのうち5日間のインターン参加が800~900人ですね。場所は東京、名古屋、大阪、福岡の4カ所でした。

 ――1DAY参加者も選考で選ぶのですか。
 申し込めば全員受けられます。セブン-イレブン・ジャパンの基本的なビジネスの仕組みを理解してもらってから、5日間のプログラムに進んでもらいます。

 ――2017年卒採用向けのインターンは?
 2015年夏は採用時期と重なり、前年ほどの規模、エリアではできませんでしたので、秋口から冬にかけて実施しました。
 2年前からインターンを実施していますが、インターンに向き合う学生の意識は変化しているように感じます。以前は早い段階で自己成長意欲が高い学生が参加していましたが、今や参加するのが当たり前になりつつある。採用直結型ではないので学生に伝える情報の内容は一緒ですが、かつてと比べて学生の意識には差があるのが実態です。インターンに参加することで安心してしまっている学生もいるのではと感じることもあります。

7~8店担当し毎日オーナーさんにカウンセリング 全員に1次面接

■職種
 ――採用HPにあるOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)職とは?
 基本的には総合職採用なのですが、最初にやってもらう仕事はOFCが基本です。当社のビジネスの根幹がOFCで、ここを経験した社員がいろいろな部署で活躍しています。
 専門職の募集は高校生対象の事務採用だけで、大卒以上の採用は総合職との位置づけで、まずOFCを目指します。

 ――OFCの仕事をわかりやすく教えてください。
 いま全国でセブン-イレブンは1万8000店舗ありますが、経営しているのはほとんどがセブン-イレブン・ジャパンではなく、加盟されているオーナーさん。セブン-イレブン・ジャパンのミッションは、その加盟店オーナーさんに対するバックアップです。オーナーさんは自分自身の生活費や利益を求め、ヒト・モノ・カネのマネジメントを行っている。加盟店さんに経営の「カウンセリング」ができるのはOFCだけです。それぞれのお店の問題、課題、ビジョンがどこにあるかを見つけ、店にあわせた「個店カウンセリング」をするのがOFCの仕事です。
 他社だとよく「SV(スーパーバイザー)」と呼んでいますが、当社では一般的にはレギュラーチェーン(直営店)で使う言葉で、本部の指示を現場に落とし込む仕事を指します。当社は本部の政策を現場で具現化するプロセスは似ていますが、商品の品ぞろえや発注の判断はすべて加盟店さんがしており、我々がどんなにすばらしい商品を推奨し販売促進策を実施してもオーナーさんが納得しなければその商品は店に並びません。オーナーさんにとって我々の施策、商品がどんな武器になり、売上、利益につながるのかをカウンセリングしていくのがOFCなんです。指示、命令系統ではない分、難しさももちろんあります。
 
 ――直営店は少ないのですか。
 「トレーニングストア」という直営店が一部あります。OFCになる前の若手社員が約3カ月の座学で基本的なことを身につけた後、実際に副店長、店長を1年ずつ経験する店です。ヒト・モノ・カネを実際に自分で動かし、オーナーさんの立場に立って疑似体験をする場です。全国どの直営店にも配属の可能性があり、だいたい2~3年でOFCとして独り立ちします。

 ――OFCは1人で何店舗くらい担当しますか。
 平均7~8店で、毎日店舗を回ってオーナーさんと話をしていきます。セブン-イレブンは創業以来、「ドミナント(集中出店)方式」といって一つの地域に集中して出店することが多い。配送効率や広告宣伝効果、またOFCがカウンセリングをするうえでの効率も考えての施策で、8店舗といっても地域的には近い場所を回ることが多いですね。

 ――ドミナント方式は地域のシェアを一気に奪うためとの見方もあります。
 そういう側面もありますが、当社には「ライバルは同業他社ではない」という考えがあり、シェアトップを重視しているわけではありません。たとえば、4車線道路を隔てただけで客層や売れ筋の商品が全然違います。集中的に出店しても、採算性を重視して出店しており、それぞれの店舗に潜在的なニーズがあるわけです。この点を考えても、個店ごとに向かい合えるOFCの役割は重要と考えています。

 ――OFCは新規店舗の開拓もするんですか。
 店舗開店までは店舗開発部隊(RFC、リクルート・フィールド・カウンセラー)が担います。昔ながらの酒店や加盟を希望される方などにオーナーさんとして加盟するように誘い、立地を選定し、あとはRFC、OFCと建築担当などの部隊が開店まで一緒にやっていきます。

 ――ずっとOFCを続ける社員もいるんですか。
 中にはいますが、様々な職種に行く人が多いですね。人事、社員教育の部署、地区のマネジャー(ディストリクトマネジャー)、商品部や建築担当、RFCなどいろいろな仕事があります。短いとOFC2~3年で他部署に移る人もいますが、平均何年間OFCをするという決まりはありません。

 ――地区マネジャーが担当するのはどのくらいのエリアですか。
 大きく分けると一つの区、市というイメージなので、店舗数でいうと80から100店舗くらいです。

■スケジュール
 ――2017年卒生の採用スケジュールを教えてください。
 3月からの説明会に参加してもらった後にOFCの仕事を体感するセミナーを全国で開きます。仕事に対する正しい理解、やりがいをもってもらうため、実際にOFCが使っている資料を使いながら、こういう状況のときはオーナーさんにどうアドバイスするか、といったことを体験するグループワークの機会を多く設ける予定です。そのあとの1次面接のタイミングでESを出してもらいます。

 ――体感セミナーはいつごろ開催しますか。
 3月初旬は大学内のセミナーや合同企業説明会があるので、3月後半から4月、5月にかけて会社説明会と並行して体感セミナーを実施し、6月から面接をスタートする予定です。
 1次面接はESで審査せず全員受けてもらおうと思っています。2016年卒採用ではES提出後に1対1の面接をしました。今年は広報開始から選考開始までの期間が短いので、1次面接は6~7人参加のグループディスカッション(GD)方式を考えています。そこで当社の基本を理解してもらってから、面接終了後にESを出してもらって2次面接という形に変えようと考えています。

 ――SPIなどでの足切りは?
 基本的にはしませんが、計算能力で1割程度しか点数が取れないような場合は不合格となるケースがあります。入社後の加盟店のカウンセリングに基礎的な数値計算は不可欠ですので。

 ――GDのテーマは?
 内容は申し上げられませんが、限られた時間、テーマの中で一つの結論をチームで出してもらうものにする予定です。お互い違う価値観の中で意見を言い合い、それを踏まえてどんな結論を出すかを見ます。伝えられないことを周りのせいにする、周りに流されて話ができない、周りの話を一切聞かないといった人は評価が低くなりますね。