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■エントリー数とインターンシップ
――2016年卒採用は日程変更で大変だったのでは?
私たちは想定していたので混乱はありませんでしたが、学生は混乱していましたね。面接解禁が4カ月後ろにずれたため疲れた感じがしてかわいそうでした。
――エントリー数が減った企業が多いようです。
当社はプレエントリーが5万5000人、エントリーが2万人弱でほぼ前年と同じでした。減った企業が多かったのは、有効求人倍率が上がったことと、各社がインターンシップをやるようになって学生が会社を選別しやすくなったためだと思います。
当社はインターンを本格的に実施したことで、「銀行って結構面白そう」とか「りそなグループは特徴がある」という認知度が広がり、横ばいをキープできたのではないかと考えています。
――インターンの規模は?
2013年は試行的に東京で30人規模のインターンを開催し、2014年から本格的に始めました。夏は8月、秋は11月に東京、大阪、埼玉の3会場で開催。2015年2月は初参加の学生向けに加えて、過去2回のインターンに参加した学生を呼ぶ「アドバンスコース」も開きました。「りそなビジネスアカデミー」と称して5日間、参加人数は3回でおよそ1200人です。
――どんな内容ですか。
他社では、「有価証券報告書を読んで会社の内容を分析する」とか「この会社には融資が可能か」といった業務に即した内容が多いと聞きます。当社の「りそなビジネスアカデミー」ではまず金融、銀行の業務や仕組みや社会的責任といった基本から学びます。その次にりそなグループはどんな特徴があるのかを知ってもらうことに力を入れています。
グループのりそな銀行は信託を併営する国内唯一の商業銀行であることが特徴なので、りそなならではのビジネスモデルをグループワークで体感してもらいました。りそなグループの認知度を高める方法などを学生の柔軟な発想で考えてもらう。みなさん本社の近くの喫茶店で夜遅くまで考えていましたよ。
インターンには1万人くらい応募があるので、面接などで選考します。学生には「インターンで選ばれなくても、選考で落ちたと思わないで」と強調しています。インターンに落ちたからといって本エントリーしてくれないのは大きな損失ですから。2015年の夏は選考と時期が重なってインターンができなかったので、秋は11月に実施し2016年1月にも開催しました。
――「アドバンス」の内容は?
「りそなビジネスアカデミー」で全体の銀行業務、当社の特徴を知ってもらったことを踏まえ、当社の主力顧客である中小企業に対するソリューション提案ビジネスを体験してもらいました。
中小企業のオーナーにとっては、自分の会社をどう大きくしていくかと、いつ誰にどう承継していくかの二つが悩みです。会社、オーナー、さらにその子どものことも考える私たちりそなにしかできないアプローチ手法を体験します。子どもが2人いる設定で、我々が社長役や副社長役をやり、中長期的なビジネス展開と事業承継プランを考えてもらいました。正解はないので、プロセスをしっかりと考えて、楽しんでほしいと思っています。
内定者に占めるインターン経験者の割合は14%くらいです。
■選考フロー
――2016年卒採用の選考フローを振り返ってください。
3月1日から4月くらいまで、自社セミナーのほか、就活ナビや大学キャリアセンター主催のセミナーに積極的に参加しました。自社セミナーはまず3月の頭に、りそなグループの特徴特色を伝えるセミナー「りそなファーストスクエア」をグループワークも交えて行い、約1万人が参加。4月には法人営業や本社の仕事などのブースを複数出して個別の仕事を紹介する「りそなソリューションワークショップ」を開き、こちらは1万2000人くらいに来てもらいました。
そのあと学生12~13人に対し新入社員3人と中堅社員1人が質問に答える「りそなトークセッション」(9000人参加)、学生1人に新入社員1人、中堅社員1人が30分ずつしゃべる「りそなプレシャスラウンジ」(4000人参加)を実施。面接と誤解されないよう、社員は学生の資料は一切持ちません。「就活って何をすればいい?」といったことから相談に乗り、いろんな話をしてりそなグループの認知度を上げる活動です。7月には「りそなファイナルカンファレンス」というグループワークを実施しました。
――すぐ満員になってしまうのでしょうね。
先着順ですぐ埋まってしまうので、一気にではなく、何日間かに分けて募集枠をオープンしました。当社のセミナーは、何度も参加したら選考に有利になるいわゆる「スタンプラリー」ではなく、選考にはまったくつなげていません。
――それでも、いずれかのセミナーには参加してほしいですねよ。
それは当然ですね。当社をより知ってもらういい機会ですから。ただ、参加せずに内定した学生もいます。人物重視が基本ですし、一貫性があって納得できる理由があるなら問題ありません。留学したり他の業界を見ていたりすれば来られないのは当然。私自身も就活のとき、当初は銀行を回っていなかったので気持ちはわかります。
――秋採用もしたそうですね。
採用計画は達成していたのですが、就活に乗り遅れたけれども優秀な人や留学帰りの人を対象に実施しました。10人ほど内定しました。
■求める人材像とES
――どんな人材を求めていますか。
まず誠実であること。社長の言葉を借りれば「全人格でお客さまに向かっていける人」です。銀行にはものすごくたくさん仕事があります。たとえば、初対面の人と話すのが苦手という方もいると思いますが、「誠実」というベースがしっかりしていれば、適材適所の仕事が必ずあるはずです。銀行は形のあるものを売っているわけではなく、すべてはお客さまありきです。当社と取引すれば会社のためになるだろう、何か良い提案が出てくるだろうと思ってもらわなければいけない。だから誠実さは絶対に必要です。
次に、何事にも情熱をもってチャレンジできる人。私たちはお客さまの未来や課題、ニーズに常にアプローチしていて、会社や社長の将来のために今何をしなければいけないかを考え提案する。そのプロセスがすべてビジネスになるのが銀行です。だから「銀行はクリエーティブなんだ」と学生に訴えています。
――ESにはどんな項目がありますか。
WEBエントリーでオーソドックスな内容です。「自己PR」と「志望動機」が300~400字、さらに「私の誇れる実績」という欄を用意しています。あとはゼミの内容やサークルの内容などです。
――「学生時代に打ち込んだこと」が一般的ですが、「誇れる実績」という聞き方の狙いは?
変わったことを聞こうとしているわけではありません。人間関係を築く中で培ってきたものや、成し遂げてきたこと、一貫してやってきたことを聞きたい。誇れることの裏に、いろいろな苦労や小さいころからの体験、積み上げてきたコミュニケーションが見えれば、面白そうだし会ってみたいと思います。よく「この程度のことで誇れる実績と言っていいのですか」と聞かれますが、全然構いません。自分が誇れると思ったら書いてください。
正直に言うと、内容は選考の合否の判断材料にはあまり入れていません。書こうと思えばどんなことでも書けるし、自分の体験じゃないかもしれません。字数が少なすぎるのはできれば避けてほしいですが、なるべく会って判断したいと考えています。
――とはいえ、全員を面接には呼べませんよね。
ESが自分の言葉で書けていて、適性検査をクリアした人は順次呼んでいます。適性検査はWEB検査とテストセンターでのSPIです。
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