人事のホンネ

ユニリーバ・ジャパン

2016シーズン 【第8回 ユニリーバ・ジャパン】
どれだけ考えて行動したかが大事 身の丈以上の仕事で成長を!

ユニリーバ・ジャパン ヒューマンリソースHRマネジャー 柳原美穂さん

2015年01月19日

■採用実績と職種
 ――2014年春の新入社員数と男女比を教えてください。
 今年は10人入社しました。社員数がトータルで約500人なので、毎年の新入社員数はだいたい5~10人くらいです。男女比は5年間くらいをならすとだいたい半々ですが、年によっては男性が多いことも女性が多いこともあります。またノンジャパニーズ(外国籍の方)に関しても別枠は設けず全員同じ選考をしています。選考結果次第で毎年比率は変わります。

 ――外国籍の新入社員は毎年いるんですか。
 毎年ではありませんが、新卒の半分がノンジャパニーズという年もありました。2009年がそうでした。日本でビジネスしている会社なので選考も日本語です。外国籍の方には1対1の面接では英語に切り替えるなどの対応はしますが、ほかの学生がいるとき、たとえばグループディスカッションなどは日本語ですから、その意味で言語のハードルは高いかもしれません。それでも留学生の多く、特に中国や韓国からの留学生は、本当に流暢な日本語で話すので驚きます。「日本に何年いるの」と聞くと「2年です」と。それでもペラペラだったりして、すごいなと思います。

 ――募集職種を教えてください。
 2016年新卒の採用は「マーケティング職」「カスタマーディベロップメント職」「サプライチェーン職」の3職種です。基本的に各部門の人員計画に基づいて採用していて、この3職種はコンスタントに採用しています。年によって「ファイナンス職」「R&D(研究開発)職」が入ることもあります。

 ――文系と理系で職種の違いは?
 理系に特化しているのはR&Dだけです。ただ化学専攻限定ではなく、理系なら専攻の限定はありません。それ以外の職種は文系理系の区別は一切問いません。

 ――理系の採用では大学院修了者が多数の会社もあります。院卒のほうが有利ですか。
 マスターの方もドクターの方もいますが、R&Dはこれまで院卒以上としてきました。他の職種では年齢が高いほうが経験をしているという意味では有利かもしれませんが、自動的に院卒だから有利ということはありません。

外資系企業はこれまでと同じスケジュールで採用選考

■2016採用スケジュール
 ――2015年新卒の採用スケジュールを教えてください。
 ほかの外資系企業とほぼ同じスケジュールで採用しています。外資の中ではそんなに早くありません。

■WEBテストとES
 ――プレエントリー数はどのくらいですか。
 数万です。その後はWEBエントリーですが、かなりボリュームのあるエントリーシート(ES)を出してもらいます。応募は数千単位で、その後WEBテストを行います。

 ――SPIのようなものですか。
 いえ、違います。幹部候補生として入社する新卒採用の選考プロセスは、グローバルで統一されています。WEBテストもグローバルスタンダードで使わなければいけません。一つは、数学みたいな問題ですね。内容は日本語で、自宅のパソコンで受けられます。

 ――WEBテストではかなり人数を絞るのですか。
 合格ラインは決めていますので、そこで結果として合格された方のESを人事総出で全部見ています。

 ――人事の方は何人ですか。
 採用に関わっていない人もいるので、実際にESや面接に携わるのは6~7人です。ほぼ総出でです。ESで少し迷うケースは、必ず複数で合否判断をするようにしています。

 ――ESの質問項目はどんな内容ですか。
 突飛な質問はないと思います。私どもは新卒採用の基準としてリーダーシップを見ますので、その人のコンピテンシー(行動特性)がわかるような質問をしています。たとえば大学時代にどんなことをしていたか、どんなことにチャレンジし力を尽くしてきたのか、また、ユニリーバ・ジャパンのこの職種をなぜ希望するのか、具体的に聞きます。

 ――ESの文字量はどれくらいですか。
 ひとつの質問に対して200~400文字、だいたい2ページです。マーケティング職種では、それに加えて「アイデアシート」を書いてもらいます。たとえば、うちの主力商品である「リプトン」をもっとこういう層に売るためのプロモーションプランを考えてといったお題を出し、A4一枚の紙に書いてもらいます。手書きOKで郵送です。コピーするので立体仕上げや切り絵はダメ。それもESとセットで読ませてもらいます。

 ――絵を描いたりしてくる学生が多いのですか。
 絵やビジュアルを使ったり、分析やロジカルに重きを置く人はデータを駆使してプランを作ったり、いろいろです。

 ――ポイントは志望動機と大学時代に打ち込んだことですね。
 そうですね。ただ志望動機はESを出す時点ではそんなにはっきりしていないケースもあるので、一番はコンピテンシーを見ます。結果が失敗であれ成功であれ、どれだけ自分で考えて行動し、どんな経験を重ねているかをうかがいます。

 ――経験の内容を問うわけじゃない?
 ESだけでなく面接でもそうなんですが、ある意味どんな経験でもいいんです。学生自身の好奇心ややりたいこと、アルバイトでもいいし、ゼミでも勉強でもサークルでもいい。「何でなければいけない」ということは一切ありません。ただ、その中で自分がどんなことを思い、どんな行動をして、どんな経験をしているのか、聞いていきます。

■求める学生
 ――こんな思いをもっている学生がほしい、ということはありますか。
 思いは人それぞれみなさん違い、将来やりたいことも一人ひとり違う。それはいいことです。ただ、たとえば文化祭にサークルで参加して何かの企画をするとき、その人の持っている思いによって実際に行動は変わってくると思います。自分たちのサークルでは今回こういうことをしたい、達成したいと思ったとき、それを実現するために何をするか考えますよね。考えて行動して、大抵はほかの人と協力してやっていくと思います。面接では、そのご自身の経験をそのまま話して下されば良いのです。実際に自分が考えた深さ、やってみた試行錯誤の結果をそのまま話してほしいと思います。

 ――優秀な学生は、根ほり葉ほり聞かなくても話が自然に出てくると?
 話上手な人もいるので一概には言えませんが、一般的にはそうだと思います。「これがやりたくて、自分のエネルギーをすごく使った」という経験を持っている学生は、自分が学生時代に何をしたか、自分でわかっていると思います。就活を意識しての行動の場合もあるでしょうが、それだけではなく打ち込んでいることがある学生が沢山います。そういうところを私たちは見ています。

 ――就活直前になって改めて「自分は何をしてきたかな」と考えるより、考えながら行動した人のほうがいいということですか。
 何でもいいからトライして、やった後に考えてもいいんです。何かしら思いがあって行動に移したわけですから。

 ――応募してくる学生に特徴はありますか。
 最近は本当に意識の高い学生の方が多くて、ほとんどの方が「サークルも、ゼミも、アルバイトも、留学も、ボランティアもしてます!」という感じです。よく学生から「留学してないとだめですか」と聞かれます。でも、留学したかしていないかは問題じゃない。その中で何をしたか、何を考えどう行動していたかが聞きたいポイント、知りたいポイントなんです。