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■コロナ禍の採用
──2022年卒採用はいかがでしたか。
2021年卒採用では「Zoomの入り方が分かりません」「使うのは初めてで」という人もいましたが、コロナ禍の就活2代目となった2022年卒の学生は全然違いました。格段に慣れていて、WEB上のトラブルもほとんどありませんでした。面接官も慣れていたので運営もスムーズでした。
外部セミナーの参加者数が桁違いに増え、当社へのプレエントリー数、本エントリー数も増えました。「気軽さ」というWEBのメリットを学生が最大限に活用した結果だと思っています。
──WEBでのセミナーや説明会の手応えは?
自社説明会は行っていないので、秋から冬にかけて学内セミナーや合同説明会のWEBイベントに出ました。対面のイベントだと1日最大250人くらいの学生としか接触ができません。学生は交通費を負担しなければなりませんし、私たちも会場費がかかり8時間ほど拘束されます。一方、WEB合同説明会だと30分間の説明を1日10回から11回行いますが、1回の説明で1000人規模、最大2000人もの学生が参加してくれました。人事としてはとてもありがたかったですね。その後は3月1日の説明会の映像をマイページ上で公開して、学生がいつでも見られるようにしました。
──コロナ前の説明会はどの地域で行っていたのですか。
学内セミナーは旧帝大や地方の国公立大でも行っていましたが、東京や名古屋が中心でした。WEBになって遠方からのエントリーが確実に増えました。
──対面での面接はできましたか。
最終面接は対面で行う方針だったのですが、緊急事態宣言の状況もあり、結局、対面とWEBが半々でした。まん延防止等重点措置のときは対面かWEBかを学生に選んでもらいました。
2021年卒の面接は最終面接も含めて選考のほとんどがWEBでしたが、入社した学生の社内での評価が高いので、「WEBでも遜色なく見極められる」という判断もありました。
──コロナ禍で工夫した点は?
私たちは採用活動で「学生に寄り添う」ことが何よりも重要だと思っています。その大きな特徴として、個人面接と最終面接の間に、採用担当とWEBで面談する機会を設けています。個人面接を通過した学生に、「最終面接では、もうちょっとここをうまくしゃべれるといいんじゃない」「緊張からかこの部分をあまり話せなかったから、最初にしゃべってみたら」といったフィードバックも含め全員と面談をします。学生からは研修制度や福利厚生面など、今まで聞けなかった質問も自由にできるので、疑問や不安の解消につながったと思います。毎年、内定者からも好評ですし、我々も学生を応援したくなる気持ちが強くなります。面談数が多くて大変ですが、当社らしい寄り添う採用活動になっていると感じています。
とくに理系は、大手の食品、飲料だけでなく、化学や製薬メーカーとも競合します。弊社が内々定を出しても、その後、他社の内々定が出て辞退してしまう人もいます。そういうことへの対応も含め、弊社への動機づけや、人事が寄り添うことに力を入れています。
■内定者フォロー
――WEB選考だけだと、ミスマッチも心配では?
ミスマッチをなくすため内定後のフォローを細かくしています。2020年卒までは、5月から10月までほぼ毎月、1泊2日の内々定者の集合研修を行っていました。社員座談会や内定者によるグループワーク、懇親会など、かなりパワーもコストもかけていました。
2021年卒はコロナ禍で集合研修ができなくなりましたが、できるだけ齟齬(そご)がないよう、社員座談会や社内ツアーのライブ配信などWEBイベントを毎週開き、「参加したいものに参加して」としました。2022年卒でもWEB上での接触の回数を増やしてコネクションを強くしました。応募職種ごとの懇親会、社員座談会やWEB飲み会などですね。全員と個人面談もしました。
──内定者の反応はどうですか。
「直接会えないがWEBイベントをたくさん実施してくれて良かった」という人が多いですね。「学業やアルバイトで忙しいから大変だよ……」と思っている人も中にはいるかもしれませんが(笑)、我々が最も避けたいのは入社後のミスマッチなので、少しでもその懸念がないように手厚くやっています。
――10月1日の内定式もWEBで?
はい。コロナ前はグループごとに事前に課題を与えて内定式で発表することになっていたのですが、2021年卒ではWEBでは難しいと思ってやめました。ところが、そのせいで入社時に同期の顔と名前が一致しない事態になってしまったので今年は課題を復活させたんです。「ミツカンやミツカンの商品のファンを増やす施策を考えましょう」という課題です。すると、内定者は自主的に週に1回はWEBで集まって課題を進めて内定式で発表し、素晴らしい内容でした。職種ごちゃ混ぜの7人で1グループとし、内定者同士も仲良くなりました。…続きを読む