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■新型コロナ
──新型コロナウイルスの影響で製薬会社への注目度が高まりましたね。
野口さん(写真左) 製薬会社としてきちんと取り組んでいかなければと責任を感じます。ワクチン開発などを通じて社会に貢献していきたいと思います。
――学生の関心も高まっているのでは?
森近さん(写真右) 「生命関連企業」で働く意味を考える学生が増えたようです。「生命に関わる企業」を私たちはそう呼ぶのですが、このキーワードがCOVID-19以前より強く響いていると感じます。学生には「豊かな生活のために利便性を提供する企業と、健康な人生のために生命に直接貢献する企業がある」と伝えています。COVID-19を通じて「豊かな生活の根底には健康な人生がある」と再認識した学生が増えたと感じています。
野口 「COVID-19の経験から命の重要さを痛感した」「生命関連企業で世界に貢献したい」と志望動機に力強く書く学生が増えました。
──英国のフィナンシャル・タイムズが発表した「パンデミック下でも繁栄する世界トップ100社」の68位に入りましたね。日本からは3社だけです。
森近 世界でプレゼンスを出せているのだと思います。国内の売上は好調ですし、世界的にも「オンコロジー領域の治療薬」に注力しており、注目されています。オンコロジーとはがんのことで、直訳すると腫瘍(しゅよう)学です。オンコロジー領域の患者は世界に多数いるので、世界中から期待されていることの表れだと思います。
■WEB面接
──2022年卒採用を振り返ってください。
野口 「新型コロナウイルス感染症元年」だった2021年新卒採用は、企業説明会や面接選考などを急きょ対面からオンラインに切り替えなければならず、試行錯誤しながらの取り組みでした。2022年新卒採用では、学生もWEB授業などでWEB面接に比較的慣れていて、一昨年より円滑に進められました。
──対面の面接はできましたか。
野口 一部、研究職の博士課程の学生は2020年秋に対面での面接選考ができましたが、それ以外は企業説明会も面接もすべてWEBのみで行わざるを得ませんでした。
──「最終面接だけ対面で」という会社もありました。
森近 研究職・開発職は専門的能力面で確認する部分が大きい一方、営業職のMR(Medical Representative=医薬情報担当者)は対面の面接でこそ対人能力の適性が分かることがあるため、直前までかなり悩みました。しかし、生命関連企業として「感染拡大につながる行為を学生に強いることはできない」と姿勢を示す意味でも対面面接はあきらめざるを得ないと決断しました。
野口 応募者の中には遠方の学生もいて、たとえば面接のために九州の学生を東京に移動させれば、感染拡大につながる可能性は否めませんから。
──ではMRの適性はWEB面接でどう確認しましたか。
森近 対面では何気ない仕草も含めた印象や学生が話す熱量を肌で感じることができます。WEBでは肌で感じられないので、さまざまな角度からあらゆる質問を投げかけ、臨機応変な対応力を注意して確認します。多様な質問によって思考・判断・言動を見ることが相手の正確な理解につながると考えています。
──どんな質問を?
森近 基本的には「学生時代に最も力を入れたこと」(ガクチカ)を、より広く深く詳細に探る面接です。MRは知識・スキル・ステータスの圧倒的に高い医師が相手なので、ハイレベルな回答を求められたり複雑な対応を迫られたりもします。「こういう状況になったら、あなたならどう対応する?」といった思考・判断・言動を探る質問も投げかけました。また、「あなたが一番困った瞬間は?」など、困難に直面した際にどう乗り越えたかといった質問をすることで、学生の対応能力の幅や深さを確認しました。…続きを読む