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(前編はこちら)
■求める人物像
──改めて、求める人物像を教えてください。
富田さん(写真右) 活躍している人物像でいうと、東宝の企業理念や使命に共感し自分の目標を立てられる人。かつ、成長していける人です。成長できる人のキーワードは「プロデュース能力」「プロフェッショナル志向」「引き出しとアンテナ」「自分を磨く力」の四つです。社内のどんな部署でも、この要素を持つ人が活躍しています。
──アンテナが大事だとすると、面接でニュースについては聞きますか。
富田 面接官によりますが、私は「最近気になるテーマはありますか」と聞きます。映画について話せばいいということはなく、むしろ違う話のほうが食いつきます。「引き出しとアンテナ」につながります。
「引き出しとアンテナ」は私が就活をしていたころから東宝が発信していた言葉です。多くの人の関心がどこにあるか、という世間への広い興味はアンテナの一つです。それを自分に落とし込み、知識を整理整頓し、必要なときにスッと出せるようにしておく。ある映画プロデューサーが、若いころ上司にボツにされた企画も引き出しに残しておいてここぞというときに出すと言っていました。「昔NGだった企画も時代の流れが来たらいきる」と。
──最近の学生のアンテナの張り方や感度はどう感じますか。
富田 大学生の活躍の幅が広がっていますね。SNSで自分の好きなことを発信したり、友人たちと起業したり、いろんな経験をしています。社会との接点が多い人ほどアンテナが広がっている印象です。自分の世界だけじゃなくて、何が世間で受けているのかを考えている人が多いのではないでしょうか。
多田さん(写真左) 「YouTuberとして稼いだお金を学費の足しにしていました」といったエピソードを聞くと、時代が変わったなあ、と思いますね。
──採用ホームページに「必ずしも全員が映画・演劇の熱狂的なファンではない」とあり、意外でした。
富田 学生にも誤解されていて、そのせいで自信を持てずに選考に来る人もいますが、本当に関係ありません。社長も、映画をやろうと思っていたんじゃなくて「面白いことをやりたいと思ったら、たまたまそれが映画だった」という人です。「でかいことをやりたい」というくらい漠然としていていいし、「映画・演劇が好き、詳しい」ということは入社時に求めていません。
多田 映画が好きで入社したけれど、演劇部に配属されて立派な演劇プロデューサーとして活躍していたり、映画に詳しくなかった人がバリバリの映画プロデューサーになっていたりします。
──お二人も熱狂的ファンではなかった?
多田 私は映画が好きで洋画を中心に見ていましたが、劇場で年に100本見るレベルではなく週に1本くらいでした。普通よりちょっと見ていたくらいです。
富田 私も、映画も演劇も人よりちょっと好きというくらいでした。監督の名前も分からないし、普通のファンレベルです。
──「でかいこと」とは、たとえば?
多田 「社会にインパクトを与えたい」とESに書く人もいます。社長はよく「我々は幸福産業なんだ。お客様を幸せにして我々も幸せになるんだ」と言います。周りの人の幸福が自分の幸せと思っている人は、それをビジネスにいかせる人です。…続きを読む