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■「鬼滅の刃」
──共同配給した「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が歴史的なヒットですね。
多田さん(写真右) 超メガヒットで、映像部門全体に活気がみなぎっています。コロナ禍で映画館・劇場が閉鎖になった後、スタジオジブリの旧作上映で興行が再開。新作では7月に「今日から俺は!!劇場版」がヒットしました。営業部門の社員に会うと表情が明るくて、映画が1本ヒットすると活気が出るんだなと肌で感じました。
──コロナでエンタテインメントが消えたときは?
富田さん(写真左) 当時私はWEBでの新入社員研修を担当していました。右肩上がりだった映画興行が難しい局面に入って、どんな思いで入社してくるのか心配でしたが、みんな未来志向でした。研修中はステイホームでネットフリックスのドラマが盛り上がっていることなどが話題になり、「今はない新しいことができるかも」「東宝でこんなことはできないのか」と前向きでした。逆境にへこたれないポジティブな人が集まっていると実感しました。
■コロナ禍
──コロナ禍の採用を振り返ってください。
多田 私は2020年春に人事部に来るまでずっと営業で人とのつながりを活力にしてきたので、コロナ禍でまったくコミュニケーションをとれない中、WEB面接とはいえ学生と会えるのが楽しかったです。
富田 コロナ禍の最中はどうなることかと思いましたが、ドラスティックにこれまでと変えなければならない転換点でもあり、すごく面白かったです。
──前向きですね。自社説明会は?
富田 自社説明会は中止しました。代わりに3月中旬、エントリーシート(ES)の受付期間中にWEB上で社員が質問に答える「オンライン質問箱」を開設し、双方向でやりとりしました。「プロデューサーは主題歌を決めたりするんですか」「原作漫画の映画化の権利をとるのもプロデューサーですか」など、たくさん質問が寄せられました。それこそプロデューサーの仕事なんですが、意外と伝わっていないんだと気づきました。これまでの採用広報活動では情報不足で学生に不安を与えてしまっていたのだなと反省しました。今後にいかしていきたいと思っています。
──その後のスケジュールは?
富田 まず適性検査とインターネット小論文で選考し、次がESによる書類選考です。4月中旬に書類選考の結果を通知したところでいったん中断し、5月下旬に再開しました。予定よりずいぶん遅れました。
■ES
──ESにはどんな特徴がありますか。
富田 たとえば、いわゆる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」「学生生活で頑張ったこと」ではなく、問題文に含みを持たせているのが当社のESの特徴です。どれも字数が多いので、いかに具体的、多角的に表現できるか。読み手が想像できるように自分の経験を魅力的に伝えられるかがポイントです。他社の「ガクチカ」のコピペで済まさないでほしいんです。内定者は「分量が多い分、書き込めました」とプラスに捉えていました。エピソードの見せ方とか、この設問ならどこを強調して書こうとか工夫した人が輝きやすいですね。
──設問の意図を読み取るのは、企画に必要な資質ですか。
富田 どの部署も多くの人と関わる仕事なのでコミュニケーション能力が求められます。相手の意図をつかんで自分で表現して返せるか、その片鱗を見たいと思いながらESに目を通しています。
――どの設問も他社では見かけないユニークなものが多いですね。
富田 全体を通して、悩むESだと思います。多角的に出すのか、一つを深掘りするのか。正解はないので悩んで書いてほしい。きれいにまとまっていなくても、「これだ!」「このアイデアだ!」と自分の発想に自信を持って書いてほしいと思っています。…続きを読む