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■コロナ禍の採用
──前代未聞のコロナ禍での2021年卒採用はいかがでしたか。
コロナ禍で3月以降に予定していた合同企業説明会のほとんどが中止になりました。自社説明会も対面で実施できなくなったので、2月後半~3月初めにかけて急遽、WEB説明会に切り替えて実施しました。学生のみなさんも急な環境変化に少なからず不安を感じている状況だと思い、その中でも何とか会社についての理解を深めてもらえる内容にしようと考えました。こちらからの一方的な情報発信だけでなく、できる限り双方向のやり取りになるように、人事担当や現場の若手社員を交えたディスカッションをオンラインで開催し、チャットを通じて学生からの質問を受け付け、リアルタイムで回答するなど工夫しました。アンケートでは95%くらいの学生が「満足」という結果で手応えを感じました。
──若手社員参加のディスカッションはどのように?
若手社員5~6人にいろんな質問を投げかけながら話す様子をYou Tube ライブで流しました。質問はチャットで受け付け、その場で社員に答えてもらいました。予約制ではなく、エントリーした学生にURLを知らせてランダムに参加できるようにし、3回実施して約1500人が参加してくれました。
──採用スケジュールはかなり変更されたのですか。
選考スケジュールはほぼ当初の計画通りに進めることができました。「営業・スタッフ職」向けに予定していたグループディスカッション(GD)は中止し、面接をオンラインに切り替えるなどの変更はありました。
■WEB面接
──面接はすべてオンラインで?
ほとんどオンラインで行いました。
もともとオムロンの面接は、落とすためのものではありません。学生のみなさんの強みや伝えたいことを引き出し、お互いの理解を深めることを重視しています。WEB面接でもこの点は変わりません。学生のみなさんには「リクルートスーツではなく普段着で参加してください」と伝え、緊張感を解く工夫をしました。スーツの人もいましたが、自宅や研究の合間に面接を受ける学生もいて、普段着で受ける学生も多かったですね。初めてオンラインで面接を行う面接官に対しては、事前に「学生の話を聞いている、理解できているということが学生に伝わるように、うなずきやリアクションを普段より大きくしてほしい」とお願いしました。WEB面接は初めてでしたが、対面では緊張しがちな学生もリラックスして受けてもらえたと思います。
──なるほど、WEB面接だと研究の合間にも受けられるわけですね。
はい。遠方の学生だと、長距離の移動がなく授業の合間に参加してもらえるので日程調整がしやすくなるケースもありました。
──対面面接より読み取りづらかった面は?
表情や会話中の相づちなど、「非言語」といわれる部分は対面での面接に比べると読み取りづらい面もありました。画面上では全体像が映らず、目や唇の動きも見えにくく、緊張しているのか落ち着いているか、少し焦っているのかな、困っているのかな、といったことが少し分かりにくかったですね。
──逆にWEBだからこそ伝わりやすかったことはありますか。
自分の研究内容をアピールできる資料を準備し、面接時に画面共有しながら説明してくれた学生もいて、オンラインならではの工夫だなと感じました。資料を持ち込んで落ち着いて話せれば、その後のやり取りもスムーズに進みます。やってみて初めて分かったことです。
――カンペを見るのはNGですか。
NGではありませんが、オムロンの面接はお互いを理解する場としているので、準備したものを読むよりも、自分の率直な気持ちや考えを聞かせてほしいと思っています。
──面接で見るポイントを教えてください。
学生1人に対して面接官2~3人で、時間は40分前後です。1次面接では、専門分野や基礎的なスキル、パーソナリティーを確認します。オムロンの企業理念「事業を通じた社会的課題の解決」に共感し、自らが実践しようという意欲を持っているかという点も重要です。2次面接も評価の観点は同じですが、より具体的にオムロンでどんなことをやりたいのか、どういうものに興味関心があるかを掘り下げていきます。…続きを読む