
■2020年卒採用
──2020年卒の採用を振り返って、何か特徴はありましたか。
多様な人財を採用したいと思い、海外に留学している学生や現地の学生にアプローチした結果、勉強内容や国籍、バックグラウンドなどが異なる学生にたくさん出会えました。宇宙の勉強をしたり、美術や魚類の研究をしたりとバラエティー豊かで、従来よりも学生の幅が広がったように思います。ただ、海外にはなかなか行けないので、初めてすべての選考をオンラインで行いました。
──採用に至ったのは何人くらいですか。
外国籍の学生が5人ほど、日本人の海外留学生が数名です。全体の採用数が300人くらいなので多くはありません。
■職種と採用実績
──職種とそれぞれの採用人数を教えてください。
採用する約300人のうち、技術系の「研究開発」(約100人)と「生産」(約130人)が多くを占めます。営業のプロである「販売」の約60人はグループ会社の花王グループカスタマーマーケティング(KCMK)が採用しますので、この300人には含まれていません。
私が担当しているのはそれ以外の職種で、「マーケティング」(約10人)、「ケミカル営業」(4~6人)「クリエイティブ」(1~2人)、原料・原材料を調達する「購買」(1~2人)、人事や経理などの「コーポレート」(8~10人)、「情報システム」「ロジスティクス」(8~10人)で、計30~40人です。
──文理と男女の割合は?
情報システムやロジスティクスだけではなく、マーケティング、ケミカル営業にも理系がいるので、私が担当する事務系30~40人のうちおよそ半分は理系です。
男女比は、「研究開発」「生産」といった理系部署は男性が多いので、計300人のうち3割が女性です。事務系30~40人は半分が女性です。
──事務系30~40人は職種別採用ですか、それとも総合職採用?
両方です。2020年卒採用では、「スペシャリティコース」「総合職コース」の2コースで募集しました。情報システムやロジスティクス、経理など専門性を求める部署があるほか、学校で学んだことをいかしたいという学生もいるので、そういう学生は「スペシャリティコース」、それ以外は「総合職コース」に応募してもらいました。
当社はBtoC(一般消費者向け)のイメージが強いと思いますが、BtoB(企業間取引)の仕事もあり、ケミカル原料を他社に販売する営業の仕事もあります。ここでは化学系を勉強している学生を「スペシャリティコース」で募集します。
──「スペシャリティコース」「総合職コース」の割合は?
何人ずつとは決めていません。応募段階でコースを選ぶのですが、2021年卒採用は、たとえば「どうしてもマーケティングをやりたい」と強い思いを持つ人には希望する仕事を「単願」してもらえるようなコース、一方で、「どの職種にしようか迷っている」「適性を見て決めてほしい」という学生には選考途中で「幅広い職種」の可能性を一緒に探していくコースを設けることを検討しています。
──日本では多くの会社が「総合職の一括採用」です。「スペシャリティコース」はいつから?
スペシャリティコースは2年前からです。ただ、一昔前に、職種別採用していたこともあります。今は職種別に応募するコースも、一緒にキャリアを考えていくコースもあり、学生の選択肢を増やし、なるべく希望に添うようにしたいと思っています。
──「10年で3部門」といったジョブローテーションではないんですね。
はい。部門をまたいでの異動は少ないので、入社時のミスマッチを防ぎたいです。さまざまな職種がありますから、面接で「何に興味があるの?」「どんな志向なの?」としっかり聞きます。希望に合わせた初期配属をするために深掘りするのが花王の採用の特徴です。ときには「マーケティング志望だけど、人事が向いているんじゃない?」といったアドバイスもします。最終面接は初期配属される部門の幹部が担当します。
ただ、10年3職場のローテーションはあります。部門をまたいだローテーションは少ないのですが、一定の専門分野の中でのローテーションはあるので、新しいチャレンジングな仕事は次々待っていますよ。
──人気が高い部署は?
圧倒的にマーケティング系ですね。モノづくりのメーカーなので、マーケティングや企画・商品開発をやりたい気持ちも分かりますが、ほかの部門の採用はわりと苦労しています(笑)。…続きを読む