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(前編はこちら)
■面接
──面接はどんな形式ですか。
2020年卒採用は6月1日からで、事務系、技術系とも1次はGD、2次は個人面接、3次が最終面接でした。
GDは例題に対して自分の意見を述べてから、ディスカッションしてもらい正解はありません。グループの全員が納得するよう議論して、意見をまとめます。
──何を見ますか。
ロジカルに自分の意見が言えるか、他人の意見をどう考えるかなどです。否定も肯定もありますが、どう考え、次にどういかすか。時間内にグループの意見をまとめ一つの答えを導きだすことは、会社に入ったら日常的にすることですから。
──2次、3次面接は?
2次、3次は個人面接で30~45分程度です。事務系、技術系ともに入社後どういう部門で活躍できそうかという視点で見ています。
──やりたい仕事について「何でもいいです」という学生は?
具体的に「こんな仕事がしたい」が言えなくても、「御社の商品を通じて高齢化社会に貢献したい」など、考えていることを伝えてほしいんです。「カルピスに関わる仕事なら何でもいい」ではなく、「三ツ矢サイダーやカルピスを世界中の人に届けたい」でもいい。どこを向いていて、どうしたいのか言ってくれれば、入社後の配属先がいろいろ見えてきます。当社に入って社会にどう貢献するか、どう活躍したいのか、何がしたいのか教えてほしいですね。
──内々定出しはいつごろでしたか。
6月早々に出しました。ピークは6月中旬ごろです。
■時事問題
──面接のポイントは?
進め方は面接官に委ねていますが、会話のテンポで頭の回転の速さが分かります。突発的な質問を投げかけられたときにどう対応できるかも見ます。突然、時事問題を聞いて、学生の考え方などをみています。表面的でなく、自分の言葉で話せるか、自分の考えがあるのかなど。ここで学生の個性が出てきます。今年の内定者が「一番キツかった」と言っていたのは、「最近興味があるニュースは?」の質問でした。
――「気になるニュース」は定番質問ですが……。
学生本人を深く知りたいため「どうして?」「どうして?」と深掘りするので、深く考えていなかった題材を取り上げてしまうと、考えが浅いため自分の意見が出て来なくて大変だったみたいですね。
興味がどこに向いているかも見ています。世の中のいろんなことにアンテナを張っていることが大事です。たとえば、お茶の新商品を出すとき、お茶の市場だけを分析してもうまくいきません。食全体のトレンドや健康ブームなど全然違うものを掛け合わせたとき、どういう化学反応が起きるかに考えが及ばないと。お客様の求めている半歩先くらいの商品を出して初めて喜ばれるんです。どの部門に行っても、アンテナを高く張っていないと業界のスピードについていけません。
──キャリア育成方針にある「ゼネラリスト社員」「経営視点」とは?
当社には、毎年100~200人採用していたバブル期入社の世代が多いのですが、これから入社するのは年30~40人。世の中の変化は早いので、社員の成長速度も早まらないと会社が回りません。また、プレーヤーで成功した人がマネジャーでも成功するとは限らないので、若いうちから広い視野を持ってもらいたい。若いうちからいろんな部門を経験することで、視野も広がり汎用性も出てきます。
だから柔軟性、適応力のある人が望ましい。飲料業界はかなりスピードが速いので、指示待ちではなく、自分の頭で「今何をすべきか」を考えられることが必要です。新入社員なら、納期まで「うーん……」と一人で考え込むのではなく、先輩に「助けてください」と早く言えるのも年次に応じた仕事能力の一つです。…続きを読む