人事のホンネ

最新記事

2020シーズン【第8回 トヨタ自動車】(後編)
「日本一」企業の影響力実感 !面接で聞く「周囲巻き込める?」

人材開発部 採用・計画室 採用グループ長 唐澤俊章(からさわ・としあき)さん

2018年12月18日

 人気企業の採用担当者インタビュー「人事のホンネ」2020シーズン第8弾、トヨタ自動車の後編です。エントリーシートや面接で重視するのは「周囲巻き込めるか」と「人の話が聞けるか」だとか。なぜでしょう?(編集長・木之本敬介)
(前編はこちら

■エントリー
 ──2019年卒の本採用のエントリー数を教えてください。
 プレエントリーは事務系で1万2000人、技術系で6000人くらい。本エントリーは事務系4000人、技術系1200人ほどで、業務系は600人くらいです。技術系の学校推薦は含んでいないので実際はもう少し多くのエントリーしてもらっています)
 2018年卒採用で3割減、2019年卒採用ではさらに1割減りました。

 ──3月の企業広報解禁後の説明会は?
 基本的には全国の大学の学内説明会に参加し、自社説明会、合同説明会はしていません。
 エントリーシート(ES)は、事務系は3月末、技術系は5月中旬に締め切りました。技術系は学校推薦の時期がまちまちなので、少し締め切りを遅らせています。

■エントリーシート
 ──ESを見せてください。「身近な人からどのような人だといわれますか」はユニークな質問ですね。狙いは?
 チームで仕事をして成長するには、人の話を聞いて、それを自分の課題としてとらえて改善していけるかが大事。家族のように近い「身近な人」は、自分は気にもとめないことをいろいろ言うと思います。それをしっかり受け止めて、「自分はこういう人間なんだ」と客観的にとらえて改善していける力があるかどうかを見ます。
 ESで読んでもインパクトがありませんが、面接で「この学生は人の話をちゃんと聞けるのかな?」と思ったときにこの質問をします。書類選考より面接の材料です。

 ──学生はどんなことを書いてきますか。
 ESの段階だと「挑戦する力がある」「主体的に動ける」などですね。そこを突っ込んで聞くと、どんな人か分かります。たとえば「あなたのどういう行動が、そういう言葉になっていると思いますか」と聞くと、自分のことを把握しているか、どういう行動で改善したかが分かります。

 ──「チームを巻き込んで成果を出したエピソード」とは?
 求める人材像は「高い目標を掲げて周囲を巻き込んでいける人」です。車は部門間調整が必要な「すり合わせ商品」なので、周囲を巻き込んで仕事ができないと困る。それを模擬体験で証明できるような学生時代の経験を聞きます。「学生時代に力を入れたこと」と重なりますが、運動部の主将やサークルの経験を書く人が多いですね。

 ──「コミュニケーションが苦手なAI人材」の場合は?
 「何もないです」と書く人もいますが、ソフトウェア開発を競うハッカソンについて「○○大会で優勝しました」などと書いてくる人が多いですね。複数人で何かをして、どのように働きかけをしたかを書いてもらえればOKです。

 ──「志望動機」はどんな内容が多いですか。
 一つは「社会貢献」です。「日本の経済を支えたい」「日本に良い影響を与えたい」という人も多い。産業を通じて日本を豊かにするという「産業報国」という企業理念に共感した人ですね。
 もう一つは「自動運転」。ご家族や本人が事故に遭い、「安全な社会をつくりたい」という人が多くいます。本人の経験に基づいていると伝わります。
 社会貢献でも自動運転でも、「なぜそこに至ったか」をしっかり書いてくれれば響きます。

 ──書類選考はESとSPIですね。
 はい。…続きを読む

みなさんに一言!

 自分が何をしたいか。就活を通じてしっかり理解してほしいですね。何をやりたいかが見定まったら、大学で何を勉強すべきかを考えてください。大学時代は人に会って情報も集められるし、講義も受けられるので、学びを深めてほしい。
 今までの人生をしっかり振り返ってみて、自分が一番頑張ったとき、苦労を乗り越えられたとき、モチベーションエンジンが何だったかを理解すると、就活時にミスマッチがないと思います。ぜひ、自分を振り返ってみてください。

トヨタ自動車株式会社

【自動車製造業】

 トヨタ自動車株式会社は、創業以来、自動車を通じて豊かな社会づくりに貢献することを目指し、事業を展開してまいりました。「愛車」という言葉があるように、自動車は単なる移動手段ではなく、人々の心までも動かすものだと思っております。どんなに時代が変わっても、「愛」がつくモビリティをつくり続け、世界中のお客様に笑顔をお届けしたい。それが私たちトヨタの願いです。

過去の記事一覧へ