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(前編はこちら)
■説明会とES
──選考本番のスケジュールは?
経団連の指針にのっとっているので、3月1日から説明会、6月1日から面接です。学内説明会は人事部だけでは回りきれないので、今年は各地のMRにも行ってもらい、全国の約50大学に行くことができました。現地のMRに協力してもらうことで、採用担当の予定が合わない日程でも当社や製薬業界について説明できるうえ、担当したMRにも刺激になったのか、みんなモチベーションを高めて帰って来ました。
──「MR・総合職」のESの内容を教えてください。
志望理由、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)とオーソドックスです。質問項目を増やすと学生の負担になるので、主に面接で聞く部分だけに絞っています。ただ、ビデオエントリーは学生の志望度や強みなどを見ることができる貴重な情報源なので、次回は本選考でもビデオエントリーを導入するか検討しています。
――「英語力」の欄は重視しますか。
専門職ではビジネスで英語を使うことも求められるので大事なスキルです。一方、MR職は英語力の欄が未記載でも、また苦手だからという理由で不合格にすることはありません。得意だと英語論文や海外の医学・薬学情報を集められるため武器になりますが、日本の医療関係者と面談する仕事なので急に「ハロー」と話しかけたら心配されてしまいます(笑)。
──適性検査は大事?
大事ですが、あくまで参考資料の一つとして利用しています。前回は、成果を創出する能力やストレスに対処する行動特性、チームでシナジーを生み出すことができる力、判断推理力などさまざまな側面から、学生の強みを見ました。誰しも多少は自分を良く見せたいと思いますが、行き過ぎると回答に一貫性がなくなり、「虚偽傾向」があると判断される恐れがあるので、直感で回答することをお勧めします。
■面接
──面接はどんな形式ですか。
前回は3回の面接を行いました。1次は50分間のグループディスカッション(GD)で、1テーブル6人くらいでテーマを二つ与えます。20分ずつ話し合い、発表してもらいます。テーマは一つが医療に関すること、もう一つは一般的なテーマです。たとえば医療系では「『最後の10年を、最高の10年に』そのためにMRとして、何ができるか?」、一般的テーマでは「従業員にとって『世界でもっとも幸せな会社』とは、どのような会社か」といった内容です。すぐネット上で情報共有されてしまうので、テーマは毎日変えました。
──その後の面接は?
2次は1対1で30分間。志望理由の深さや学生時代に力をいれたことを中心に、主体的に何を成し遂げてきたのか、その人の強みやコンピテンシーなどを確認します。
3次が最終で、幹部クラス2人対学生1人で30分間くらい面接し、総合的に判断します。
──面接のポイントは?
志望動機をじっくり聞きます。とくに薬学部以外の学生の場合、数多くある業界のなかでどうして製薬業界なのか、その中で「なぜ武田なのか」を聞きます。
幼少期に大切な誰かを亡くしたとか、自分が病気になったとか、「医療」「命」に対して特別な思いを持つ人も少なくありません。社会貢献がしたい、人の役に立ちたいという人も多いように思います。
――重い体験ですね。
そうですね。病気に苦しむ人の気持ちを理解していること、命の大切さを理解していることは、当社の従業員にとって最も大切なことです。その意味では、「とりあえずメーカー志望で……」という人とは違い、患者さんのために貢献したいという想いがあるなら、入社後のミスマッチは少ないと考えています。
──MRは医師を相手にいろんな話をしなければなりません。ニュースへの関心は大事ですか。
大事だと思います。面接で問うことはありませんが、たとえば新聞などでニュースを理解している人と知らない人の差は感じることがあります。文理系の夏インターンでは「製薬を一から学びにきた」という人と、「医療や行政の動き、業界についてここまで知っているのか」と驚かされる学生がいて、大きな差を感じました。そのようなニュースを知っている人はGDでもリーダー役になるなど、一歩先んじている印象がありますね。…続きを読む