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■採用実績とエントリー
――2018年春入社の採用数を教えてください。
総数は108人です。うち四年制大学卒業者が対象で、将来マネジメントを担う「総合コース」は17人で、男女はだいたい半々です。文系理系は特にこだわっていません。職種別の「専門コース」は東京採用60人、大阪採用31人です。四大卒と専門学校卒等がいます。
――総合コースのエントリー数はどのくらいですか。
プレエントリー、本エントリーという段階を設けず、3月1日にオープンした採用サイトからエントリーした人全員にイベント案内を出しています。この段階では1万人前後です。
――たった17人の枠に1万人がエントリー!?
大変ありがたいことに、「帝国ホテル」という名前に興味を持って多くの学生が登録しているのかなと思います。
――専門コースは、いろいろなホテル業務の専門職になるんですね。
専門コースは職種別に採用しています。とくに東京は宿泊部門とレストラン部門ではっきりと分けていますが、中には四年制大学の学生もいます。調理部門は調理師専門学校や高校の調理師コースの履修者など、調理師の免許を持っている学生を採用します。
■履歴書
――では、ここからは総合コースについて教えてください。エントリーシート(ES)はどんな内容ですか。
ESはなく、「履歴書」を提出してもらいます。弊社には「みなさんにきちんとお会いして選考するべきだ」という考えがあるためです。最初にグループディスカッション(GD)を行い、その際に出してもらいます。つまり、申し込んでもらえれば書類選考なしでどなたでも当社の選考に参加していただけます。
履歴書の左は経歴欄、右側の欄がESのような内容ですね。
――志望理由と自己PRの欄は、色を使っても写真を貼ってもいいんですね。
絵を描く人も、折り紙で扉を作って立体的なものを出してくる人もいます。自由です。
――罫(けい)線もありません。
真っ白のほうが志望度合い、力の入れようが見えやすいんです。どこにでも使い回せるようなふわっとしたことしか書いていないのか、弊社の事業内容を踏まえて書いているか、非常によくわかります。
■グループディスカッション
――GDではどんなことをするんですか。
時間は30分ほどです。1グループ6~8人で、ディスカッションのテーマはさまざまですが、たとえばブランドについて考えてもらうといった内容です。最後にグループごとに提案をまとめて人事担当者に3分間プレゼンしてもらいます。
――どこを見ますか。
「論理性」ですね。与えられたテーマに対して自分が持っている情報、他者から得た情報を咀嚼(そしゃく)し、組み立て直して、きちんと筋道立てて相手が納得するように説明できるかを見ています。「発想力」なども大事ですが、総合コースの場合、将来マネジメントに携わるときに絶対に必要なのが「論理性」です。求める人物像について役員全員にヒアリングしたときにも、「論理性は絶対に大事」という話になりました。
――意外ですね。ホテル業界は「ホスピタリティー」や「協調性」を最重視するのかと思っていました。
もちろんホスピタリティーも持っていてほしいのですが、数が少ない総合コースの社員はまわりを引っ張っていく役目です。「何となく感じたから」や「こんな風に思うから」と感性で話しても、まわりは付いてきません。ホテルとして一流であるためには企業として一流でなければなりません。他社との折衝の際にきちんと説明できる力も必要です。
――GDで「論理性」をどう判断するのですか。
場当たり的ではない発言が大事ですね。「思いつきました。発言しました。でも根拠がない」では困ります。GDで違いがはっきり出ます。学生のみなさんは感性豊かなのでアイデアはポンポン出ますが、それを引き取ってさらに一段上の話に持っていける人は目立つ。色々な意見をまとめてブラッシュアップしていく力ですね。…続きを読む