人事のホンネ

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2019シーズン【第1回 P&G】
ESなし!志望動機も聞かない! 過去の経験からポテンシャルを判断

P&Gジャパン ヒューマンリソーシズ部門 人材採用・開発グループマネージャー 伊藤隆広(いとう・たかひろ)さん

2017年10月17日

 企業の採用担当者に直撃インタビューする人気企画「人事のホンネ」。2019シーズンの第1弾は、トイレタリーと呼ばれる日用消費財でシェア世界一を誇るプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)です。採用時期も手法もグローバル企業ならでは。ユニークかつ合理的な姿が見えてきました。(編集長・木之本敬介)

■採用実績
 ──2017年と2018年入社の採用実績を教えてください。
 2017年4月の採用人数は50人前後です。男女比は職種にもよりますが、おおむね半数ずつ、文系・理系の割合もほぼ半数です。2018年も同じくらいですが、2019年入社は採用人数を少し増やす予定です。

 ──採用は職種別に行っているんですね。
 基本方針は、どの職種も将来的には経営やリーダーシップのロールモデルになれる人を採用して育成する考え方です。新卒採用した社員を将来のリーダーとして育成する「内部昇進」に重きを置いています。
 入社1日目から専門性を生かしたり、身につけたりしてほしいので、職種別採用を行っています。「研究開発(R&D)」「情報戦略本部(IT)」の二つは理系分野を学んでいた方がいいので、理系の人に絞られると思います。学部の指定はなく、理系であれば学部生、院生、博士でも構いません。

 ──9職種ありますね。それぞれについて教えてください。
 職種を製品の流れに沿って説明すると、一番最初が製品を開発するR&D、一番最後がお客さまに近い「営業統括(Sales)」になります。
 この間にいろいろな部署があって、R&Dで開発したものを商品としてつくるのが「生産統括(PS)」です。研究所で10個つくるのと、商品として1億個つくるのでは規模が違うので、生産ラインをつくる役目も含め、「何個必要か」「どれだけ売れるのか」といったサプライチェーンに関わる戦略から実行までの全てをPSが策定します。
 その次の「消費者にどのようなブランドとして届けたいのか」というマーケティングに特化した部隊が「マーケティング(MKT)」です。
 経営戦略、ファイナンスの部分は「経営管理(F&A)」。P&Gにはたくさんのブランドがありますが、たとえば「アリエールにどれだけ投資して、レノアにどれだけ投資するか」といった点はブランド単体では判断できません。全体のバランスを見ながら投資選択をするのがF&Aの役目です。
 「消費者・市場戦略本部(CMK)」は消費者データを扱います。製品の情報戦略を立てるのが「情報戦略本部(IT)」です。
 この7職種とは別に、すべての部署を横串で見るのが「人事統括(HR)」。コミュニケーションに関しては社内・社外すべて含めて「広報・渉外(COMMUNICATIONS)」が統括しています。

 ──日本の会社では文系は総合職採用が一般的なので、珍しいですね。
 職種別採用をする理由は二つあります。一つは「成長を加速させてあげる」ためです。総合職で採用すると、どうしても経験年数の長い社員が判断する「年次ベース」になります。職種別に「セールスのプロ」「マーケティングのプロ」「ファイナンスにおけるプロ」という形で採用して専門性を規定してあげると、入社して数カ月経てば「ファイナンスとしての知見を聞かせてほしい」というように一定の裁量権を渡せます。若手のうちから裁量権を与えることが「成長を加速する」と考えています。
 もう一つは、「やりたいことをやらせてあげる」ためです。一人ひとりやりたいこと、興味があることは違います。希望を満たすのも職種別採用の目的です。

 ──職種は世界共通ですか。
 世界で統一しています。組織戦略や採用戦略に関しては、どこかの国で特別な施策を打つことはありません。…続きを読む

みなさんに一言!

 人と会うこと、会いに行くことをおすすめします。
 学生に限らないのですが、「なんか変わりたい」っていう人って多いと思うんです。もうちょっとキレイになりたいとか、イケてる社会人になりたいとか。それに対して何をしたらいいかわからないっていう人、実は多いと思うんです。いくら立派な目標を立てたところで、家でジーッと考えこんでいては「よしやろう!!」とはならないんですよ。僕なんかまさしくそうですけど、誰かとの出会いとか、誰かが言ったひとこととか、全部誰かが引っ張ってくれました。もし「なんか変わりたいな」と思っているんだったら、それを引き上げてくれそうな人に会いに行く。それはちょっと自分が勇気を出して、コンタクトをとってみるだけ。自分から行く。そういうことの数珠つなぎで、自分のキャリアって変わっていくと思います。

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社

【化粧品・生活用品】

 P&Gは世界180カ国で製品を提供している世界最大の日用消費財メーカーです。2017年で設立180年。高い信頼と優れた品質の製品ブランドを通じて、世界中の人々の暮らしに触れ、約70カ国で働く社員一人ひとりが、お客様の暮らしをよりよいものにするために日々努力しています。日本では、アリエール、ファブリーズ、ジョイ、パンパース、パンテーン、SK-II、ブラウンなど、さまざまな製品を提供しています。これからも時代とともに変化するお客様の価値観や暮らしをしっかり見つめ、“生涯のパートナー”と思っていただける製品ブランドを築いてまいります。

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