■昨年の採用実績・職種
――採用人数について教えてください。
2014年度入社予定は、業務企画職(総合職)事務系が約65名、技術系が約15名、客室乗務職(CA)が約270名。女性は事務系が約4割、技術系は約3割。客室乗務職は全員女性です。技術系は全員理工系で院卒が約6割ですね。事務系や客室乗務職にも院卒はいますが1割~2割程度でしょうか。
――エントリー数は?
プレエントリーは、職種に関係なく全体で5万~6万とほぼ経営破綻(はたん)の前の水準に戻りました。職種別の本エントリーは業務企画職がその半分程度。客室乗務職は1万~2万くらいですね。2010年に経営破綻し2011年度と12年度は新卒採用0人でしたが、13年度入社から復活し、14年度入社で2年目になります。
――募集職種について説明してください。
業務企画職は、いわゆる総合職にあたる職種なので領域はとても広いですが、ひと言で言うと、JALグループ全体のパフォーマンスが最大化するような仕組みづくりや、フライトに携わる部門を最大限サポートする仕事です。
具体的には、座席や貨物スペースを販売する営業や需要を喚起する施策を立案し実行する営業企画、お客様のニーズを分析しながら商品を作る商品サービス企画、路線・便数計画や路線収支管理、企業運営に必要な財務、調達、人事、広報、総務など多岐にわたります。
――営業職という感じではないんですね。
営業部門にいるものもいますが、けっして営業職ではありません。もちろんお客様と直接接する最前線の空港や予約部門で働いている者もいますが、割合としては、一般管理部門や現場のスタッフをサポートする間接部門が多いですね。
――技術系の仕事は?
ひと言で言うと、安全で高品質な航空機を、採算性を意識しながら提供する、技術的見地から経営をサポートする仕事です。
具体的には、航空機整備の技術管理、品質保証、整備部品の管理、工場での生産計画。航空機はメーカーから買いますが、使用していると車の車検と同じで定期的に整備しなければいけません。簡単な整備点検から、何年かに一度、航空機を分解して裏までチェックする詳細な整備点検まで、保有する全機を計画的に実施します。不具合や改修が発生すると、航空機や部品のメーカーと技術系が調整、検討しながら、整備方法や改修方法を現場に提供します。
――空港の整備工場でつなぎ服で仕事をしていらっしゃる方たちですか。
現場で整備作業をしているのは、主にグループ会社のJALエンジニアリングの社員です。日本航空の技術系社員は、彼らとともに、まず整備の現場で経験を積み、安全とは何か、整備の基礎、技術の基礎を徹底的に学びます。
その後、技術管理、品質保証などを担当することになります。昔は機械系、電気系が多かったのですが、最近は理工系の幅広い分野の人が多いですね。技術的なことは入社してからの訓練、研修で学びますので。
――パイロットは全く別の採用ですか。
パイロットは別です。しばらく採用していませんでしたが、2015年度入社の新卒から5年ぶりに再開します。
――エントリーする学生を見て、男女の差を感じることはありますか。
最近は女性のエントリーが増え、内定率も上昇する傾向にあります。女性は業界や企業研究などよく準備していて、どういう業界で、どんな課題を抱え、その企業がどんな取り組みをしているか、よく知っている人が多いですね。企業選択の軸が明確な印象があります。男女で優劣はないと思いますが、よく言われるように女性の方が芯が強くしっかりしている印象はありますね。
――「企業選択の軸」というと、たとえば?
「サービス業やインフラ業界志望で社会貢献している企業を回っています」とか、「サービスという切り口でお客様との接点の中で自己実現をしていきたい」であるとか……。
――客室乗務職の内定者は全員女性とのことですが、受けに来る男性はどれくらいいるんですか。
かなり少ないですね。実際のエントリーは、全体の1割もいない感じです。男性の内定者がいないのは結果論で、たまたま男性には選考基準を満たす人がいなかった。JALの客室乗務員(CA)として、こういうサービスがしたいというビジョンや熱意が足りなかったのかもしれません。
日本航空株式会社
2015シーズン【第14回 日本航空】
なぜJALか明確に 求めるのは感謝の心を持ち、自己成長できる人
日本航空 人財本部人事部 採用・育成計画グループ長 山本和則 (やまもと・かずのり)さん
2014年02月01日
CAはサービス業、大切なのは豊かで美しい「心」
■採用選考の流れ
――2015年度新卒採用の流れを教えてください。
12月から広報、プレエントリーの受け付けを始めました。会社説明会は、合同企業説明会に出て行くケースと、大学の学内説明会に参加するケースがあります。大学は30校程度でしょうか。自社開催説明会が1~2月。定員40~240人の講演を1日3~4回、業務企画職、客室乗務職など職種別に開きます。
去年までは東京地区だけでしたが、2015年新卒向けは東京以外に4都市で開く予定です。説明はわれわれ採用グループでやりますが、その後の質疑や学生との接点は現場の若い社員、CAが対応します。最初に会社側から具体的な仕事内容や仕事のやりがい、醍醐味などありのままのJALをご説明し、その後、全体質疑、そして個別に参加社員とのフリーでの質疑を行います。
その後の流れですが、既に職種別エントリーを開始しており、2月上旬からエントリーシートを受け付ける予定です。
――申し込みが殺到するんでしょうね。
大変ありがたいことなのですが、数十秒で予約が埋まってしまう。予約が取れないという不満の声も受けました。
――熱意があるのに参加できない学生も多いと思います。説明会参加の有無で優劣はつくのですか。
説明会に参加した方がいいですかという質問を受けますが、全く関係ありません。WEBでの説明会もあるのでインターネット上で聞いてください。チャット式で質問もできます。ただ、これも参加可能人数があります。何人かが同じ部屋で聞いてもらえるといいんですが。
■ES、面接
――書類選考は、適性検査とエントリーシート(ES)ですか。
まずはESで書類選考をします。適性検査は4月に入ってから選考の中で行います。これまではテストセンター形式のSPIです。1次もしくは2次合格者が対象です。
――面接にはどのくらいの人が進めるのですか。
数は言い難いのですが、ある程度は絞ります。ただし、客室乗務職は実際に会ってみないとわからないところがあるので、なるべく多くの方に会いたいと思っています。業務企画職に比べると通過率は高いかもしれません。
――大量のESをどうやって見るのですか。
基本的には人事部のメンバーが中心になって見ます。何千通とありますが、全て目を通します。1通あたり2~3分、もっと読んでいるかな。しっかり読み込むので相当時間はかかります。そこに思いがこもっているかどうか、JALに本当に入りたいと思っているか、求める人財の素養や本気度を見ます。
ESは全職種手書きです。ここにはこだわっていて、書いている内容とか字のうまい下手ではなく、丁寧に書いているかというところから、志望度合いや性格がある程度わかります。一番は、熱意とどれだけ気持ちを込めて自分の考えを自分の言葉で書いているかですね。
――パッと見てはじくのは、どんなESですか。
たとえば、空欄が多いもの、乱筆など、思いが感じられないものは厳しいかな。中身は、どうしてもみなさん書いてくる内容が似てくるので、そこからいかに見抜くかがポイントです。
――志望動機で多いのはどんなパターンでしょうか。朝日新聞社が主催する CA志望者向けの「就職フェア」で模擬ESを添削したときには「小さいころ御社の飛行機に乗ったときCAの方の笑顔が素敵で、私も……」というパターンが続出して閉口したことがあります。
「機内サービスを受けて、御社が好きになった」「幼少のころ海外に行ったとき、御社の飛行機を利用してよい印象を持ちました」といった書き出しが多いですね。そのころの印象って、本当に覚えてる?って聞きたくなります。どこかで聞いてきたテクニックなのかなと思うこともあります。
「飛行機が大好き」という人も多い。非常にありがたいですし、社員にも飛行機が好きな人間はたくさんいるので悪くはないんですが、それだけだと表面的で、「ありがとうございます。それで?」と聞きたくなります。なぜJALかという理由を含め出来るだけ具体的に書いてほしい。
――そういうありきたりな表現なら書かない方がむしろ目立ちますか。
目立つとまでは言えませんが、書いていない方が読みたくなりますね。それを書くために少なくとも2~3行使っていて、書かなければその分違うことを書けるはずですから。こんな観点もあるのか、と思ったりします。
――「なぜJALか」の動機で、説得力のあった例は?
JALは一度経営破綻して再建途上にあり、まだまだ社会の目は厳しいところがあります。そういう現状をちゃんと理解したうえで、たとえば「信頼はすぐに回復できるものではないが、自分もグループ社員がベクトルを合わせて一つの目的に向かうところに飛び込んでいきたい。あえて厳しいところで頑張りたい」などということが、過去の具体的なエピソードと絡めながら上滑りせず書かれているものを読むと、覚悟や気概が感じられますね。ここで話し過ぎると、みなさん同じ内容を書いてくるかな……(笑)。
――客室乗務職のESには、大きな全身写真を貼るんですよね。
昔はそうだったんですが、新生JALでは全身写真はなく、普通のサイズの証明写真だけです。選考の中で全身写真は必要ないと判断しました。実際にお会いする中で十分わかりますので。
――客室乗務職の選考において、容姿はどういう価値判断をするのですか。
難しいですね。容姿という評価はないです。基本的にはサービス業、機内でお客様に直接サービスする仕事なので、自然な笑顔や清潔感など、JALのサービスにふさわしいかというところを見ます。
――4月以降の面接は何回でしょうか。職種によって違いますか。
業務企画職は4回くらい。形式は、これまでは初回がグループディスカッション(GD)で30~40分くらい。2次、3次は数十分間のグループ面接ですね。最終は役員による個人面接です。客室乗務職は3回くらいです。初回はGDで2回目がグループ面接。最後は個人面接です。基本はそんなに変わらないですね。
――2015年度新卒採用の流れを教えてください。
12月から広報、プレエントリーの受け付けを始めました。会社説明会は、合同企業説明会に出て行くケースと、大学の学内説明会に参加するケースがあります。大学は30校程度でしょうか。自社開催説明会が1~2月。定員40~240人の講演を1日3~4回、業務企画職、客室乗務職など職種別に開きます。
去年までは東京地区だけでしたが、2015年新卒向けは東京以外に4都市で開く予定です。説明はわれわれ採用グループでやりますが、その後の質疑や学生との接点は現場の若い社員、CAが対応します。最初に会社側から具体的な仕事内容や仕事のやりがい、醍醐味などありのままのJALをご説明し、その後、全体質疑、そして個別に参加社員とのフリーでの質疑を行います。
その後の流れですが、既に職種別エントリーを開始しており、2月上旬からエントリーシートを受け付ける予定です。
――申し込みが殺到するんでしょうね。
大変ありがたいことなのですが、数十秒で予約が埋まってしまう。予約が取れないという不満の声も受けました。
――熱意があるのに参加できない学生も多いと思います。説明会参加の有無で優劣はつくのですか。
説明会に参加した方がいいですかという質問を受けますが、全く関係ありません。WEBでの説明会もあるのでインターネット上で聞いてください。チャット式で質問もできます。ただ、これも参加可能人数があります。何人かが同じ部屋で聞いてもらえるといいんですが。
■ES、面接
――書類選考は、適性検査とエントリーシート(ES)ですか。
まずはESで書類選考をします。適性検査は4月に入ってから選考の中で行います。これまではテストセンター形式のSPIです。1次もしくは2次合格者が対象です。
――面接にはどのくらいの人が進めるのですか。
数は言い難いのですが、ある程度は絞ります。ただし、客室乗務職は実際に会ってみないとわからないところがあるので、なるべく多くの方に会いたいと思っています。業務企画職に比べると通過率は高いかもしれません。
――大量のESをどうやって見るのですか。
基本的には人事部のメンバーが中心になって見ます。何千通とありますが、全て目を通します。1通あたり2~3分、もっと読んでいるかな。しっかり読み込むので相当時間はかかります。そこに思いがこもっているかどうか、JALに本当に入りたいと思っているか、求める人財の素養や本気度を見ます。
ESは全職種手書きです。ここにはこだわっていて、書いている内容とか字のうまい下手ではなく、丁寧に書いているかというところから、志望度合いや性格がある程度わかります。一番は、熱意とどれだけ気持ちを込めて自分の考えを自分の言葉で書いているかですね。
――パッと見てはじくのは、どんなESですか。
たとえば、空欄が多いもの、乱筆など、思いが感じられないものは厳しいかな。中身は、どうしてもみなさん書いてくる内容が似てくるので、そこからいかに見抜くかがポイントです。
――志望動機で多いのはどんなパターンでしょうか。朝日新聞社が主催する CA志望者向けの「就職フェア」で模擬ESを添削したときには「小さいころ御社の飛行機に乗ったときCAの方の笑顔が素敵で、私も……」というパターンが続出して閉口したことがあります。
「機内サービスを受けて、御社が好きになった」「幼少のころ海外に行ったとき、御社の飛行機を利用してよい印象を持ちました」といった書き出しが多いですね。そのころの印象って、本当に覚えてる?って聞きたくなります。どこかで聞いてきたテクニックなのかなと思うこともあります。
「飛行機が大好き」という人も多い。非常にありがたいですし、社員にも飛行機が好きな人間はたくさんいるので悪くはないんですが、それだけだと表面的で、「ありがとうございます。それで?」と聞きたくなります。なぜJALかという理由を含め出来るだけ具体的に書いてほしい。
――そういうありきたりな表現なら書かない方がむしろ目立ちますか。
目立つとまでは言えませんが、書いていない方が読みたくなりますね。それを書くために少なくとも2~3行使っていて、書かなければその分違うことを書けるはずですから。こんな観点もあるのか、と思ったりします。
――「なぜJALか」の動機で、説得力のあった例は?
JALは一度経営破綻して再建途上にあり、まだまだ社会の目は厳しいところがあります。そういう現状をちゃんと理解したうえで、たとえば「信頼はすぐに回復できるものではないが、自分もグループ社員がベクトルを合わせて一つの目的に向かうところに飛び込んでいきたい。あえて厳しいところで頑張りたい」などということが、過去の具体的なエピソードと絡めながら上滑りせず書かれているものを読むと、覚悟や気概が感じられますね。ここで話し過ぎると、みなさん同じ内容を書いてくるかな……(笑)。
――客室乗務職のESには、大きな全身写真を貼るんですよね。
昔はそうだったんですが、新生JALでは全身写真はなく、普通のサイズの証明写真だけです。選考の中で全身写真は必要ないと判断しました。実際にお会いする中で十分わかりますので。
――客室乗務職の選考において、容姿はどういう価値判断をするのですか。
難しいですね。容姿という評価はないです。基本的にはサービス業、機内でお客様に直接サービスする仕事なので、自然な笑顔や清潔感など、JALのサービスにふさわしいかというところを見ます。
――4月以降の面接は何回でしょうか。職種によって違いますか。
業務企画職は4回くらい。形式は、これまでは初回がグループディスカッション(GD)で30~40分くらい。2次、3次は数十分間のグループ面接ですね。最終は役員による個人面接です。客室乗務職は3回くらいです。初回はGDで2回目がグループ面接。最後は個人面接です。基本はそんなに変わらないですね。
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