人事のホンネ

九州電力株式会社

2023シーズン⑦ 九州電力《前編》
安定供給の使命とチャレンジ精神 世界に広がるフィールド【人事のホンネ】

人材活性化本部 人事グループ 安藤里奈(あんどう・りな)さん

2021年11月17日

 人気企業の採用担当者に編集長が直撃インタビューする「人事のホンネ」の2023シーズン第7弾は、九州電力です。生活に欠かせない電力の安定供給が使命のインフラ企業だけに「安定」のイメージが強いのですが、電力自由化の時代になり都市開発や海外にも活躍のフィールドが広がっています。コロナ禍でも何ができるか考えて実行した人は、「チャレンジ精神」のある人だと判断するそうですよ。(編集長・木之本敬介)
(取材はオンラインで行いました)

■コロナ禍での採用
 ──コロナ禍での2022年卒採用はいかがでしたか。
 2022年卒採用は、新型コロナウイルスの感染拡大防止、採用活動の効率化・高度化という観点から、業界研究会、説明会、インターンシップ、選考と、感染状況に応じて対面に加えオンラインも多く取り入れながら実施しました。社員も学生も、2021年卒採用のときよりオンラインに慣れていたので、スムーズに対応できたと思います。
 一方で、対面でしか伝えられないことやつかめないこともあり、その大切さにも気づかされました。

 ──具体的にはどんなところですか。
 いわゆるノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)です。オンラインだと学生の表情やしぐさが分かりにくいだけでなく、面接官側の反応や雰囲気も伝わりにくいと実感しました。こちら側が意識して工夫すれば、学生も落ち着いて面接を受けられたり、リラックスして思いを伝えられたりします。対面の面接よりも相づちや表情の変化などリアクションを大きくして面接官側の雰囲気を伝えることが大切だと思い、その後の中途採用で面接官のノンバーバルコミュニケーションを強化する教育を実施したところ、コミュニケーションがスムーズになって学生の思いを引き出せる環境をつくることができました。今後の新卒採用にも生かしていこうと思っています。

 ──面接はすべてオンラインで行ったのですか。
 学生にとっても当社にとってもミスマッチを防ぐため、最終面接は、新型コロナウイルス感染対策をしっかり講じたうえで対面で行いました。
WEB面接は効率的な一方、対面でしか正確につかめない部分もあるので、今後もオンラインと対面のハイブリッドを続けたいと考えています。

 ──WEB説明会のメリットは?
 これまで関東、関西の学生のUターン就職のほか、もともと九州に縁がなくても当社でチャレンジしたい学生に向けて、全国の大学や合同企業セミナーなどに積極的に出向いて説明してきましたが、WEB説明会を導入していろいろなイベントに出やすくなり、学生も参加しやすくなったのではないかと思います。とても効率的になりましたね。

■採用実績と職種
 ──2022年卒の内定者数を教えてください。
 大卒・大学院卒は、事務系約60人、技術系約80人です。男女比は事務系は半々ですが、技術系は女性が少なくて1割程度です。
 Uターンの学生を含めて多くは九州出身者ですが、もともと九州とは無縁のIターンの学生も毎年入社して活躍しています。

 ──事務系は基本的に総合職だと思いますが、「エリア指定コース」もありますね。転勤がない職種ですか。
 「エリア指定コース」は、エリア内で活躍する人材なので、管轄エリア内での転勤はあります。当社が厳しい競争環境において勝ち抜いていくためには、各支店エリアに優秀な人材を確保し、地域との関係強化を図ることが必要なため、2021年卒採用から導入したコースです。選考はエリアごとに行い、2022年卒では計18人の採用でした。

 ──女性が多いのでしょうか。
 18人の男女比率は半々です。活躍するフィールドが違うだけで、いわゆる「一般職」というくくりではなく、営業所や支店において営業のほか広報や人事業務などを担当しています。
 「地元に戻って地元のために貢献したい」という思いを持った人が応募してくれるほか、「将来、結婚・出産をしても、地元でキャリアを積んでいきたい」という女性もいるので、好評です。

 ──事務系にある「技術提案営業」は理系の職種ですか。
 「技術提案営業」は専門的な技術の知識を生かし、電気設備などについてお客さまに提案します。一般の営業職には個人営業と法人営業があって、オール電化のPRのほか、料金プランや電気の使い方をコンサルティングします。技術提案営業は技術面からこれらをサポートする業務で、エネルギーに関するさまざまなお悩み解決や電力会社ならではの技術サービスを提供します。営業職よりも技術的な知識が必要なので主に理系の採用としていて、営業に興味がある理系の学生に応募していただいています。

 ──技術系の募集職種は「電気・電子・情報・機械・原子力・化学・土木・建築」と専門分野に分かれています。「ジョブ型」の採用でしょうか。
 いいえ。たとえば電気だと配電・工務・発電などの選択肢があり、本人の希望や適性、各部門の状況に応じて配属しますし、土木や建築、原子力、化学の職種で採用した社員はその部門に初任配属しますが、キャリアパスの中で育成の観点から他部門へ配置することもあります。

 ──事務系についてはいかがですか。
 同じくジョブ型の採用ではありません。事務系の新卒採用でも入社時に特殊なスキルや経験を求めていませんし、研修や育成を通じて本人の希望や適性に応じた配置をしたいと考えています。

 ──技術系の学校推薦はありますか。
 はい。技術系採用の学校推薦は、九州の大学だけではなく、関東や関西の大学もあります。

 ──通年採用もしていますね。
 通年採用は、海外の大学に留学している新卒に加え、中途採用、障がい者採用などを含めて20人の計画です。ただ、新卒採用では主に今まで通りの一括採用を続けると思います。学生に一斉にアプローチしやすく、採用活動の時期ごとの分析や課題抽出もしやすいためです。負担を最小限に抑えられるのが今のルールのメリットです。

強みや地域とのつながり生かした新規事業立案

■エントリー数と選考スケジュール
 ──2022年卒のエントリーの数は?
 プレエントリーはコロナで学生の危機意識が高まった2021年卒より少し減り、それ以前の水準に戻った感じです。多くの学生に当社の魅力を感じ、エントリーしてもらうため、九電グループセミナーなどグループ一体となった採用活動も実施しました。
 エントリーシート(ES)の提出数は前年と同程度でした。

 ──選考のプロセスを教えてください。
 ESの締め切りは5月初旬としています。ESを見て一定の基準を満たしていればSPI(適性検査)を受けてもらいます。SPIは性格検査で人柄が分かるので採用後の配属を決める際にも活用しています。
 6月1日から面接を始め、6月中に内々定を出しました。

■求める人物像
 ──どんな人材を求めていますか。
 三つあります。まず、「オープン」。異なる意見や考え方を大切にできる人です。世の中の価値観やニーズは常に変化し、技術も進歩するので、感度を高めて変化や進歩を先取りし、仕事に生かしていける人や、異なる意見や考え方も大切にしながらニーズに応えられる人に入社してほしいと思います。
 二つ目の「スピード&チャレンジ」は、スピード感を持って挑戦すること。「だからできない」のではなく失敗を恐れず「とりあえずやってみよう」という熱い思いを持ち努力できる人です。
 最後は「ラーニング」です。人はいくつになっても、どんな立場になっても、学ぶことで成長し続けることができます。常に学ぶ気持ちを持って、実践を通して知識や技術に日々磨きをかけていける人を求めています。

 ――九州電力には電力の安定供給の使命がありますね。「安定供給の使命」と「チャレンジ精神」は相反するような気もしますが。
 今まで電気事業でお客さまと歩んできた会社なので、電力の安定供給で人の役に立つこと、人を支えることに喜びを感じられることが大事です。一方で、今後は電気事業以外に活躍のフィールドが広がっていくので、チャレンジ精神も必要です。電力の安定供給に努めながら、チャレンジもする会社なので、バランス感覚のある人が必要なんです。

 ――九州電力といえば、「安定」のイメージでした。
 安定した企業と思われがちですが、2016年から電力の小売全面自由化の時代となり、変革や挑戦をしないと生き残れない時代になりました。2030年の目標を定めた「九電グループ経営ビジョン2030」では、国内電気事業50%、それ以外の海外事業、都市開発事業、エネルギー関連事業などの新規事業50%で利益をあげていくこととし、攻めの姿勢を明確に示しました。

 ──九州を代表するインフラの会社ですから、「安定」を求めて受ける学生が多いのでは?
 そういう学生もいると思いますが、九州電力の強みや地域・社会とのつながりを生かした新規事業をどんどん立案していて、活躍のフィールドも九州だけでなく、今まででは想像できないくらい世界にまで広がっています。説明会では、「変革や挑戦を重視して、九州から世界を変えていける人を求めています」と伝えています。