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■人事部と人事委員会
──最初に、お二人が所属する人事委員会と総務局人事部の役割分担を教えてください。
矢田将大さん(写真左) 民間企業とは異なり、地方公務員法に基づき、中立的な立場で公平・公正な採用試験等を実施する人事委員会と、職員の配置・異動といった採用後の人事を行う任命権者に人事の機能が分かれています。任命権者の業務は総務局人事部で実施しています。
望月貴洋さん(写真右) 採用PRイベントは人事部と人事委員会が共同で実施しています。
──内定はどちらが出すのですか。
矢田 人事委員会は任命権者の求めに応じて必要な規模の採用試験を実施し、合格者を地方公務員法に基づく「採用候補者名簿」に登載します。「採用候補者名簿」という名称のとおり、合格者は東京都に採用される資格を持つ候補者という位置付けであり、採用が内定しているわけではありません。任命権者は、その「採用候補者名簿」の中から採用すべき人を決め、内定や採用後の配置を行っていきます。
──合格しても内定を出さないケースも?
望月 合格の後に人事部で採用面談をします。態度や責任感などを総合的に判断し、職員としてふさわしくないと判断すれば、内定を出さないこともあります。
■ランキングアップ
──2023年卒生による、あさがくナビ「就職人気企業ランキング」で東京都が前年の33位から15位にアップしました。地方自治体が10位台に入ったのは初めてです。どう受け止めていますか。
矢田 東京2020大会の開催などで注目を浴びたことが要因の一つだと思います。いろいろな方に東京都を志望してほしいので、ランキングが上がったことは嬉しく思います。
望月 まず都庁に興味を持ってもらうことが一番重要で、採用PRイベントを通じてそのための種まきをしています。こうした活動の実りがあったのだと思うと、純粋に嬉しいですね。
──学生と接していて都庁への注目度が高まっている実感はありますか。
望月 ニュースで真っ先に五輪や新型コロナウイルス感染症が取り上げられたので、学生が都の施策を知る機会が多く、興味を持つきっかけになったのかなという印象です。採用PRイベントの中で、これまでも「オリンピックはどうなっているんですか」などメジャーな課題についての質問はありましたが、「コロナ関係で福祉保健局○○部の施策について教えてください」といった具体的な内容の質問が増えました。
■コロナ下の採用
──コロナ下での2022年卒採用を振り返ってください。公務員試験に筆記試験は必須ですが、WEBテストは考えなかったのですか。
矢田 大学入試と同様に、大学の会場に集まる形で筆記試験を実施しました。民間の適性検査の導入についても検討したのですが、公務員としての専門知識を問うには不十分ではないかという結論になりました。法律や経済の試験を課すことによって専門性を担保していますから。
──感染対策には気を使ったのでしょうね。
矢田 はい。筆記試験の会場では座席間隔の確保、検温、マスク着用、係員のフェイスシールド着用などの対策を行いました。面接でも同様の対策を行いましたが、受験者同士で議論などを行うグループワークでは、受験者の皆さんにもフェイスシールドの着用に協力してもらいました。
望月 合格後の採用面談は2021年卒年からWEBで行うようにしました。…続きを読む