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(前編はこちら)
■逆質問
──面接で「気になるニュース」について聞きますか。
あえて確認することはありませんが、たとえば面接の最後に聞く逆質問で「ESG(環境・社会・企業統治)についてどのような取り組みをしていますか」と質問したり、SDGs(持続可能な開発目標)、プラスチックゴミなどの課題についての取り組みをしているのかを質問したりする人はけっこういます。そういう人はいろんな業界を調べているし、いろんなところに興味があって弊社を選んでくれたんだなと分かるので、「なるほど」と思います。
──SDGsやESGについて語る学生が増えている?
少しずつ増えています。とくにプラスチックゴミの問題が出てからは、多いですね。ホームページを見て「SDGsへの取り組みは、どういう目的がありますか」などとけっこう深い話を聞いてくる人がいます。
──学生から「逆質問で何を聞いたらいいか分からない」という悩みをよく聞きます。
やはり何でもいいから聞いてもらいたいですね(笑)。たとえば、「菊地さんはどうして伊藤園に入社したのですか」と質問をする人もいて、自分が入社するかどうかの参考にしているのかなと。質問から、どういう考え方をしている人かが分かったりもします。
■インターンシップ
──インターンシップについて教えてください。
2020年の9月にワンデーのイベントを実施予定でしたが、対面では難しく、WEBに変更して12月に行いました。2021年2月にも実施しました。午前と午後それぞれ3時間ずつ、最初に食品業界の説明をして、その後「伊藤園の新商品を自分たちで考えてみよう」というグループワークをしました。初めての人同士がZOOMで意見を言い合うのは難しいと思い、事前に課題を出しました。「自分ならどんな商品を提案しますか」というシートをつくり、それをもとにみんなで打ち合わせをして一つの商品に決め、各グループに発表してもらいました。我々がグループごとにフィードバックをしました。
──具体的には?
弊社の商品開発のコンセプトは「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」なので、「5つのコンセプトがないと商品化できないことを念頭に置いて」と伝えました。もう一つは、「STILL NOW(お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか)」。時代の流行を追うだけではなく、お客様が何を望んでいるか、何を不満に感じているかを考えたうえで商品設計をしてほしい。この2点を説明してつくってもらいました。
みなさん、とてもいい商品設計をしてくれました。たとえば、サブスクリプションの仕組みを使って、弊社のグループ企業のタリーズでお茶を飲めるシステムなど、すごく面白い発想がたくさん出てきました。柔軟な発想っていいなと思いました。
──営業というより商品開発的な内容ですね。
マーケティング的な考え方というか、商品のターゲットを誰にするか、どこで販売するか、どのくらいの容量で、どのくらいの金額にするか、まで考えます。
「学校の近くだと学生が多いからこんな商品がいいのではないか」といったマーケティング的な考え方と、お客様の立場に立って考える「お客様第一主義」の二つの観点から商品設計をしてもらいます。
──学生の評判は。
「商品づくりで伊藤園の考え方がよく分かった」という声のほか、一番多かったのは「ちゃんとフィードバックをもらえるのがうれしかった」という声ですね。
──9月のイベントの参加者数は?
前年より回数を増やして、4~5人の5~6グループで1週間ほど午前・午後と行ったので、計300人くらいです。WEBイベントはパソコンさえあればできるので、多くの学生に会えるし、弊社や食品業界のことも知ってもらえるので、いいシステムですね。
──参加者は面接で選ぶのですか。
いえ、書類選考のみです。なるべくたくさんの学生に会えるよう今後、回数を増やしたいと思っています。…続きを読む