
■採用実績
──2020年卒採用を振り返ってください。
企業の動きが早まって学生の動く時期もかなり早くなり、途中で辞退する学生が例年になく多かったですね。今年はエントリーシート(ES)の締め切りを、初めて3月末と5月のゴールデンウィーク明けの2回に分けました。1回目で書類選考を通過した学生を対象に、当社の理解を深めるイベントを5月に開いたのですが、イベントの予約はしても当日来ない人、イベントに参加したのに面接に来ない人が続出しました。「5月時点で内定を得た学生が半数以上」との報道もありました。早い時期に決まった会社に行く人が多かったのだと思います。
──理解を深めるイベントとは?
事務系は管理職クラスとの座談会をしました。若手社員だと現業の仕事内容がメインの話になりがちなので、管理職クラスと話して、どんな部署がありどんな役割を担っているのか理解を深め、入社後にしたい仕事や将来何がしたいのかキャリアを考えてもらう狙いです。技術系は工場・研究所の見学会です。
──採用実績を教えてください。
2019年4月入社は事務系が29人(男性18人、女性11人)、技術系が14人(男性10人、女性4人)の計43人。
2020年卒の内定者は、事務系が32人(男性19人、女性13人)、技術系12人(男性7人、女性5人)の計44人です。来年はまだわかりませんが、例年通り40人前後だと思います。
──職種は?
事務系は全員総合職です。技術系は「生産研究部門」「エンジニアリング部門」の2コースに分かれており、エンジニアリング部門は電気系か工学系の出身者が対象で、採用は1~2人です。ジョブローテーションで他の職種に行く可能性もあります。
──エンジニアリングはどんな仕事ですか。
プラント全体の設計をするような仕事や、生産活動に必要な電気や水などのエネルギー供給設備の運用管理、製造設備保全です。製造ラインの新設や工場排水など環境周りの仕事で、機械メーカーと協力して進める仕事もあります。
生産研究部門の「製造部」も同じ工場勤務ですが、ある商品の量産に向けて適切なラインを検討し、テストをして量産化を実現する仕事です。
エンジニアリングは工場全体の設計で、商品に近い仕事をするのが製造部というすみ分けです。
──技術系に学校推薦制度はありますか。
現在は行っていません。自由応募です。
■就活ルール
──長年、就活スケジュールを決めてきた経団連がルールを廃止。今後は政府が引き継ぎ、「3年生の3月企業広報解禁、4年生の6月面接解禁」を維持する方向です。
当社は経団連ルールを遵守してきました。2021年卒採用は計画段階ですが、政府の方針を逸脱しない形で進めていきたいと考えています。ただ、学生が情報を求める時期に出ていかないと接点を持てなくなるのは懸念点です。インターンシップをしているので、これまでも3月1日前から企業情報は出してはいますが……。
──個人的なお考えは?
本当はルールはないほうがいいと思います。「一斉」のほうが学生にとって負荷が大きいからです。3月1日から一斉にESを書くので、とくに理系の学生は大学のレポートや学会などと重なって大変です。6月第1週は就活が一気に動くため、「まったく学校に行けない」と学生から聞きます。「通年採用」の企業もあれば少しスタートが遅い企業もある、という状況のほうが負荷は小さくなると思います。北海道や九州の学生からは「移動が大変だから、友だちみんなでウィークリーマンションを借りている」という話も聞きます。
──「通年採用」実施の予定は?
現時点ではありません。採用にかけられる人員を考えると難しいですね。採用チームは、私の上に1人、下に2~3人。インターンもすべてこの人数で担当していますから。ただ、今後は会社として考えなければならないと思っています。…続きを読む