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2022年08月24日

国際

「最低賃金」最大のアップ バイト代だけじゃない、給料にも影響【時事まとめ】

バイトの時給に直結

 みなさんのアルバイトの時給はいくらですか? 飲食店などに採用されたら、たいてい「最低賃金」から始まるので、東京だと1000円ちょっとでしょうか。その最低賃金が10月から上がります。引き上げ幅は過去最大31円アップの961円(全国加重平均)です。最低賃金は近年、政府の方針もあって年3%ほどの引き上げが続いてきましたが、とくに今年は食品やエネルギーなどの値上がりによる物価高で家計の負担が増えていることから、大きく引き上げられることになりました。それでも、日本の最低賃金は先進国の中ではまだかなり低い水準です。格差是正のためにも、もっと上げるべきだという意見が強くあります。最低賃金はバイトの時給だけでなく、みなさんが就職してから受け取る正社員の給料にも大きく影響します。今日は最低賃金の「基本のき」です。(編集長・木之本敬介)

そもそも「最低賃金」って?

 最低賃金とは、企業などの「使用者」が、そこで働く「労働者」に支払わないといけない最低限の賃金のことです。最低賃金法に基づいて都道府県ごとに1時間あたりいくらかを決めていて、パートやアルバイトを含め、原則すべての労働者に適用されます。それより少ない賃金しか支払わない使用者には、法律で50万円以下の罰金が科されます。年1回の引き上げ幅は、使用者と労働者それぞれの代表と、学者など中立的な立場の人が審議会を開き、都道府県を4ランクに分けて目安額を決め、次に各都道府県の審議会が実際の引き上げ額を決めます。額は都道府県ごと違って、大企業が多くて賃金が高く生活費もかかる都会ほど高い金額が設定されます。今回、最も高い東京都は1072円、最も低いのは東北、四国、九州、沖縄の計10青森、秋田、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の各県で853円になります。

 決める基準は、①労働者が生活するのに必要なお金 ②一般的な賃金水準 ③企業の支払い能力──の3点。今回は、労働者側は約5%の引き上げを主張したのに対し、使用者側は中小零細企業の賃金上昇率1.5%を重視すべきだとして、3.3%で決着しました。一気に上げられないのは、経営が厳しい中小企業の経営者から強い反対があるからです。

低水準の日本 海外は大幅増

 海外の主要国の最低賃金は、物価の違いを考慮しても日本より高水準です。英国は4月から約1530円(成人向け)に、フランスも5月から約1460円に引き上げていて、日本は他の先進国より低い水準です。米国も連邦の最低賃金は約800円ですが、州ごとの最低賃金もあり、高いと2000円程度のところもあります。

 日本の水準が低い背景に、勤続年数などに応じて賃金が上がる一般労働者と、短時間労働者との賃金格差の大きさがあると指摘されています。最低賃金は短時間労働者を念頭に決まるので、低くなりがちということです。一方、欧米では仕事内容で給料が決まる「ジョブ型」雇用のため、同じ職務であれば一般労働者と短時間労働者の賃金単価の差は比較的小さいとされているのです。

地域格差も課題

 過去最大のアップとなった最低賃金ですが、新しい目安額の水準で1日8時間、週に40時間働いても、年収は200万円にもなりません。安倍政権が掲げた「全国加重平均1000円」の目標にもまだ届いていません。

 地域格差も課題です。近年は新型コロナウイルスの感染が始まった2020年をのぞき、年3%程度の引き上げが続く一方、地域間格差は拡大してきました。今回は地方の上げ幅が都市部を上回ったため、地域格差はわずかながら縮小しました。ただ、1000円を超えるのは東京、神奈川、大阪の3都府県だけで、6割近い県が800円台。最高額と最低額の差は219円で、15年前の2倍に広がりました。

「時給1500円」掲げた野党も

 7月の参院選では、各党が最低賃金アップを公約に掲げました。与野党とも、物価が上昇する中で、消費を冷え込ませないためにも賃上げが必要だとの認識では一致していますが、どこまで引き上げるのかについては党によって差がありました。最も額が大きかったのは共産党、社民党、れいわ新選組で、全国一律1500円を主張。立憲民主党は将来的な目標を1500円、国民民主党は早期に1150円以上としました。一方で、公明党は引き上げ幅年率3%以上をめどとし、自民党は早期に1000円以上にすると掲げました。与党の自民・公明は現実的な目標を掲げたということですね。

募集要項でチェックしよう

 最低賃金は会社の給料とも無関係ではありません。月に180時間働くとして、初任給が月18万円なら時給はちょうど1000円。月20万円なら1100円ちょっとです。企業にとって賃金水準は優秀な人材を獲得するための極めて重要な要素ですし、最低賃金が上がれば正社員の給料を上げる圧力にもなります。募集要項には初任給が必ず載っています。大企業だと最低賃金水準を大きく上回る会社も多いはず。志望企業がどんな水準なのか、最低賃金をベースに比べてみるのも大事な企業研究ですよ。

(写真は、厚生労働省の中央最低賃金審議会小委員会=2022年8月1日、東京都千代田区)

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