話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2022年06月22日

政治

今さら聞けない!?参院選「基本のき」 衆院選との違い、投票方法は?【時事まとめ】

このあと3年間選挙なし?

 参議院選挙が6月22日公示され、7月10日の投票日に向けて選挙戦がスタートしました。新型コロナやウクライナ戦争で世界が激動する中での注目の選挙です。参院選は政権を選ぶ選挙ではありませんが、衆院の解散がなければ、大きな国政選挙は今後3年間ありません。この機会を逃すと政治に意思表示するチャンスはしばらくないわけです。普段あまり関心がない人も、政治や経済、社会について自分なりに考えて、ぜひ投票に行ってください。就活とも無縁ではありませんよ。企業は、世の中に関心のない人を求めていませんから。とはいえ3年に一度の選挙なので、今回が初めての参院選という人もいるでしょう。衆院選との違いや選挙仕組みなどの「基本のき」と、争点や意義をわかりやすく解説します。(編集長・木之本敬介)

(写真は、日本記者クラブで行われた党首討論会=2022年6月21日、東京都千代田区)

参院選は「中間テスト」

 まず、国会の衆議院と参議院の違いから。衆院は定数465人で任期4年ですが、任期の途中で解散されることがほとんどです。参院より任期が短く解散もあって国民の考えを反映しやすいため、国の予算の決定や首相選びで両院の意見が違ったときには、衆院の意見を国会の意思とする「衆院の優越」が憲法に定められています。

 一方、参院の定数は248人。任期6年で、3年ごとに半数を選ぶ選挙が行われます。解散がない参院は、長期的視点で議論できるため「良識の府」「再考の府」とも呼ばれます。今回は改選124議席(選挙区74、比例区=比例代表50)と、神奈川選挙区の欠員1の選挙が同時に行われ、計125議席を争います。

 衆院選は選挙後の特別国会で首相を選ぶので「政権選択選挙」と言われるのに対し、3年ごとに半数を選び直す参院選は政権の「中間テスト」の意味合いがあります。今回は、2021年秋に首相に選ばれ、直後の衆院選で国民の信任を得て本格的にスタートした岸田文雄政権のこれまでを評価する選挙です。過去には、参院選で大敗して首相が退陣したこともあります。

ちょっとややこしい参院比例区の投票

 衆院選でも参院選でも、みなさんは選挙区比例区に1票ずつ投票しますが、それぞれ仕組みが異なります。衆院選は、全国を289に分けて1人だけ当選する小選挙区と、全国を東北や近畿など11ブロックに分けた比例区の組み合わせで、「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれます。

 参院選は、都道府県単位(「鳥取+島根」「徳島+高知」は合区=ごうく)の選挙区と全国一つの比例区の組み合わせです。選挙区の改選数は人口に応じて、最大が東京の6、次いで4(埼玉、神奈川=今回は5、愛知、大阪)、3(北海道、千葉、兵庫、福岡)、2(茨城、静岡、京都、広島)と続き、1人区が32。計74+1(神奈川)議席をめぐる戦いです。

 ちょっとややこしいのが、計50議席の比例区の投票です。衆院選の比例区と違って、各党が出す候補者名簿に順位は付いていません。みなさんは投票用紙に党名を書いても候補者名を書いてもOK。まず政党名と候補者名の合計で各党の議席数を決め、次に個人名が多い順に当選者が決まる「非拘束名簿式比例代表制」という仕組みです。比例区には前回から、個人の得票に関係なく優先的に当選できる「特定枠」が設けられました。

 1人しか当選しない小選挙区は大きな政党に有利で、当選に結びつかない死票(しひょう、しにひょう)が多く出ます。一方、全国一選挙区の参院選比例区は小さな政党でも当選者を出しやすい仕組みです。衆参を違う制度にして、多様な人を国会に送ろうという考えの表れでもあります。

 なお、衆院選と参院選の期日を広く知らせる「公示」は天皇の国事行為で、地方自治体の選挙や衆院、参院の補欠選挙は「告示」を使います。

物価高が争点 立候補年齢引き下げ掲げる党も

 今回の参院選の主な争点は、新型コロナウイルス対策や、物価高、憲法改正、安全保障などです。6月21日の党首討論会では、ほぼ全員が一番訴えたいことに物価高対策をあげました。岸田首相はガソリンに対する補助金などの原油高対策、農林水産の生産者に対する支援策などを強調。一方、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主など野党各党は消費税の減税を訴えました。公明党は消費税は社会保障の安定財源で引き下げは無責任との立場です。ロシアのウクライナ侵略を受け、防衛費の増額も大きなテーマです。

 みなさんの世代に関わりが深いのが、選挙に立候補できる被選挙権年齢の引き下げ問題です。今は衆院は25歳以上、参院は30歳以上。投票できる選挙権が2016年の参院選から18歳に引き下げられたことに伴い、被選挙権年齢も下げて若い世代の政治参加を広げようと公約に盛り込む政党があります(参照)。自分は立候補しないとしても、同世代の候補者がいたらいいと思いませんか。立候補に必要な供託金の引き下げや、ネット投票の導入を掲げる党もあります。

自分に関わりそうな争点、比べてみよう

 ほかにも、各党や候補者が掲げる政策や争点はたくさんあります。一つでもいいので、自分の生活や将来に関わりそうなことを見つけて、主張を比べてみましょう。朝日新聞デジタルの特集コーナー「2022参院選」では、各党首の発言や各選挙区の候補者一覧も見ることができます。選挙区の候補者の主張は、家庭に配られる選挙公報のほか、新聞の地域面でも連日報じられます。選挙区、比例区で誰に、どの党に投票するか、考える材料がたくさんあります。これから2週間、各党首や候補者の発言をチェックして投票の参考にしてください。

 参院選の勝敗ラインについて岸田首相は「非改選の議員も含めて与党で過半数」と語っています。与党の自民、公明両党を合わせて56議席を獲得すれば非改選と合わせて過半数に達します。与野党対決の勝負を分けるのは32ある1人区です。野党は過去2回、候補を一本化しましたが、今回は足並みがそろわず11にとどまりました。野党第1党の座をめぐっては、立憲民主党とその座を奪おうと狙う日本維新の会が競い合う構図です。

 最後に投票率について。前回の参院選は過去2番目の低さで50%を下回りました。とりわけ10代は32.28%、20代は30.96%という低さでした。選挙は民主主義の基盤であり、投票率はその物差しです。こちらにも注目してください。

◆朝日新聞デジタルのベーシック会員(月額980円)になれば毎月50本の記事を読むことができ、スマホでも検索できます。スタンダード会員(月1980円)なら記事数無制限、「MYキーワード」登録で関連記事を見逃しません。大事な記事をとっておくスクラップ機能もあります。お申し込みはこちらから