話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2022年06月15日

経済

「インバウンド」再開 旅行・小売り…5兆円産業復活に期待【時事まとめ】

2年ぶりの受け入れ

 コロナ禍以降、とんと聞かなくなった「インバウンド」という言葉が、2年ぶりにニュースに登場し始めました。もとは「外から中に入り込む」という意味で、「訪日外国人客」のことです。訪日客は2019年に過去最多の3188万人を記録しましたが、年間を通して入国を制限した2021年はわずか25万人に落ち込みました。ようやくコロナが落ち着いてきたため、政府は6月10日から受け入れ手続きを再開しました。当面の対象は、政府が感染リスクが低いと判断した米国、中国など98カ国・地域で、旅行会社の添乗員が同行するツアー限定です。今の水際対策では入国者数の上限は1日2万人で観光客の受け入れもこの枠内です。2019年には1日9万人近い観光客が入国していたので、まだわずかではありますが、松野博一官房長官は記者会見で「段階的に平時同様の受け入れをめざす」と説明。2019年のインバウンド消費は5兆円近くにのぼる一大産業でしたから、旅行会社や小売店などの関連業界ではインバウンド景気再来への期待が高まっています。まだ先行きは不透明ではありますが、自分が志望する業界がインバウンドにどう関わり、これからどんなビジネスチャンスがあるのか。関連のニュースなどを参考に業界・企業研究を深めてください。(編集長・木之本敬介)

(写真は、多くの観光客でにぎわう浅草の仲見世商店街=2022年6月10日午後、東京都台東区)

観光地魅力度ランキングで日本が1位に

 コロナ前にインバウンドが増えた背景にあるのは、中国や東南アジアの経済成長です。東日本大震災があった2011年以降増え続け、近年の円安傾向、CSRLCC(格安航空会社)普及、東京五輪の話題も加わって、2018年には3000万人を超えました。訪日客は国内でお金を使ってくれるため、日本の経済活性化に大きな効果があります。政府は「観光立国」を目指すとして、2020年に4000万人、2030年に6000万人に増やす目標を掲げてきました。

 2019年の外国人旅行者受入数ランキング(国連世界観光機関調べ)は、①フランス②スペイン③米国④中国⑤イタリア⑥トルコ⑦メキシコ⑧タイ⑨ドイツ⑩英国⑪オーストラリアで、日本は12位でした。ただ、世界中で旅行が止まったコロナ禍の間にも日本の人気は高まったようで、世界経済フォーラムが5月に発表した2021年版の観光地の魅力度などのランキングで日本は初めてトップになりました。交通インフラの利便性、文化や自然の豊かさ、治安の良さなどが高く評価されました。

 最近、急速な円安が進んでいます。訪日外国人にとっては、日本のモノやサービスは相対的に格安になるため、これまでよりずっと「お得」に旅行や買い物ができることもインバウンド消費の追い風です。

課題は個人旅行再開、中国もポイント

 ただ、今回の受け入れ再開は添乗員付きのツアー客限定で、観光庁のガイドラインではコロナ感染対策として参加者にマスクの着用や行動履歴を記録することなどを求めています。個人客は同様の対応が難しいため、滞在中や帰国後に感染が判明した場合の対応が課題で、まだ見通せていません。インバウンド消費の中心だった中国の動向もポイントです。かつて日本での「爆買い」が話題になった中国人旅行客は、2019年のインバウンド消費の37%を占めていたからです。上海でのロックダウンは解除されましたが、感染者封じ込め政策が続いています。百貨店大手の高島屋の村田善郎社長は受け入れ再開に期待を示す一方、「本格的に動き出すのは、中国の水際対策が緩和されてからだ」と話しています。

他国の受け入れ状況は?

 他の国は、外国人観光客受け入れについてどんな対応をしているのでしょうか。観光関連業が国内総生産(GDP)の約2割を占めるタイは、2021年7月から入国制限を段階的に緩和して経済の立て直しにかじを切ってきました。今年6月からはワクチン未接種でも、陰性証明の提出などをすれば隔離も不要に。インドネシアは3月に日本などからの観光客受け入れを再開しましたが、6月の新規感染者数は1日当たり数百人で大幅な増加は見られていません。韓国も今月1日に、約2年間中断してきた観光客への短期ビザ発給を再開。入国者数の上限はなく、6月8日にはワクチン未接種者に求めていた入国後の隔離義務も解除しました。各国の感染状況に応じて入国規制をしてきた米国では2021年11月から、どの国の旅行者もワクチン接種と陰性証明を示せば原則入国できるようになっています。

 日本は今春まで厳しい入国制限を続け、世界から「鎖国」と批判されるほどでしたが、ようやく観光客受け入れに舵を切ったところです。岸田政権のコロナ対応は世論から比較的支持されてきたこともあり急に緩めることはしないでしょうが、経済回復への期待も高まる中、今後の対応が注目されます。

(写真は、水際対策が緩和され新たに増設された検疫所の「受付ブース」=2022年6月10日、関西空港)

旅行、ホテル、航空、外食、百貨店…

 インバウンドに関わる業界を考えてみましょう。
【運輸】航空、鉄道、バス、クルーズ船
【旅行】旅行会社、ホテル
【小売り】百貨店、家電量販店、ドラッグストア
【レジャー、エンターテインメント】テーマパーク、劇場
【外食】日本食レストラン
【メーカー】家電、化粧品、薬品、ファッション、ブランド品

 2023年卒採用では、JTBや全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)の新卒採用再開が話題になりました。今後のコロナの状況次第という面はありますが、インバウンド再開は関連業界にとって明るい話題です。この機会に、「これからのインバウンド」について考えてみましょう。

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