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2020年03月11日

国際

米大統領選「基本のき」…仕組みは?共和・民主どう違う?【時事まとめ】

世界一注目される選挙

 米国の大統領選挙のニュースが増えてきましたね。「唯一の超大国」といわれる国のトップを決める選挙ですから、世界でもっとも注目度の高い選挙といっていいでしょう。米国は共和党民主党二大政党制です。共和党の現職ドナルド・トランプ氏が再選されるのか、民主党が雪辱するのか。民主党の候補は誰になるのかが当面の焦点です。その結果は、世界の政治・経済の行方を大きく左右し、みなさんの就活にも影響を及ぼします。基本的な構図、見どころなどを押さえておきましょう。(編集長・木之本敬介)

(写真は、共和党のトランプ大統領〈左〉、民主党のバイデン氏〈右上〉とサンダース氏)

選出まで1年がかり

 米国の大統領の任期は4年で、2021年の1月に新大統領の就任式があります。選挙はその前年、4年に一度のうるう年、夏季五輪があるオリンピックイヤーに行われます。2020年の投票日は11月3日です。

 選挙の仕組みは複雑です。日本の総理大臣(首相)は国会議員の中から国会の議決で決めるので、私たち国民が直接選ぶわけでではありませんよね。これに対し、米国の大統領は国民の投票で選ばれます。ただ、厳密いうと直接投票ではなく、州ごとに「選挙人」を選ぶ方式です。選挙人は人口に応じて州ごとに割り当てられていて、全米で計538人の選挙人の過半数を取った候補が勝ちです。ほとんどの州では、投票で1位になった候補者がその州の選挙人を「総取り」します。このため、全米の得票数が多かった候補が、選挙人の数では及ばず落選する「逆転現象」も起きます。前回2016年には、民主党のヒラリー・クリントン氏が得票数で上回ったものの、選挙人を多く得たトランプ氏に敗れました。

 両党が大統領候補を正式に決めるのは夏の党大会ですが、2月から6月にかけて、党大会に出席する「代議員」を決める予備選挙党員集会が全米50州などで順次開かれます。その結果に応じて候補に代議員が割り当てられ、誰かが過半数を獲得した段階で大統領候補に内定します。党大会から11月の本選挙までが、両党が激突する選挙戦本番です。候補が名乗りをあげてから本番の投票までほぼ1年がかり。この間に討論会が何度も開かれ、スキャンダル報道などで丸裸にされるため、候補者がどんな人物なのか、よくわかるといわれています。

赤の共和党VS青の民主党

 米国の2大政党、共和党と民主党はどんな党だか知っていますか? 以下はあくまで両党を比べての傾向ですが、それぞれの特徴を知っておくと、選挙報道がちょっと楽しくなりますよ。

共和党保守的。白人、男性、高齢の支持者が比較的多い。南部や中西部の農業地帯で強い。移民受け入れや銃規制妊娠中絶に慎重・反対の人が比較的多い。

民主党リベラル進歩的。黒人、ヒスパニック(中南米系)といったマイノリティー、女性、若者の支持者が比較的多い。東海岸や西海岸の大都市部に強い。移民受け入れや銃規制、妊娠中絶への賛成派が比較的多い。

 テキサス州は伝統的に共和党が強く、カリフォルニア州は圧倒的に民主党が強い――など多くの州は傾向がはっきりしていて、両党のシンボルカラーになぞらえて共和党が強い州を「レッドステート」、民主党が強い州を「ブルーステート」と呼びます。このため、選挙のたびに両党が競り合う10前後の「スイングステート」をどちらが取るかで勝負が決まります。報道でも、赤と青の勢力図で表されることが多いので、覚えておきましょう(地図は2016年8月8日付朝日新聞から)。

両党の支持者はこんな人

 以下は第2次世界大戦後の歴代大統領です。両党がほぼ互角の戦いをしてきたことがわかります。
(□共和党、■民主党)
■トルーマン
□アイゼンハワー
■ケネディ
■ジョンソン
□ニクソン
□フォード
■カーター
□レーガン
□ブッシュ(父)
■クリントン
□ブッシュ(子)
■オバマ
□トランプ

 イラストは10年前に朝日新聞に載ったものですが、今でも傾向は変わらないと思います。「古き良きアメリカ」を愛する共和党支持者、新しいものが好きで多様性を大事にする民主党支持者――という構図がわかりますね。

トランプ氏VSバイデン氏? サンダース氏?

 今年の共和党の大統領候補は現職のトランプ氏で決まりです。当面の注目は、挑戦者を選ぶ民主党内の候補者選びです。2月のスタート時には11人が乱立していましたが、14州が一斉に予備選を行った3月3日の「スーパーチューズデー」で2人に絞られました。

ジョー・バイデン氏(77)=写真左=穏健派。「トランプ氏により分断された米国を修復する」と3度目の挑戦。黒人初の大統領だったオバマ政権で副大統領だったこともあり、黒人の支持率が高い。高齢者、女性にも人気。

バ-ニー・サンダース氏(78)=写真右=若者から絶大な支持を集める革新派上院議員。公的な国民皆保険、公立大学の授業料無償化、学生ローン免除、富裕層への増税など急進的な主張を掲げ、「民主社会主義者」を自認する。

 みなさんの中にも奨学金を借りて大学に通っている人がいると思いますが、米国の学費は半端じゃありません。2016年度の平均でなんと年間約2万3000ドル(約240万円)! 就職後も返済に苦しむ人が多く、社会問題になっています。だからサンダース氏の主張が若者に受けるのですが、急進的なだけに民主党内に警戒感も生んでいます。穏健的な支持者も多いため「サンダース氏では支持者が逃げてしまい、トランプ氏に勝てない」との懸念が広がり、バイデン氏に支持が集まっています。これに対しサンダース氏は「政治の既成勢力にも挑んでいる。同じような古い政治ではトランプ氏を倒せない」と反論。バイデン氏とサンダース氏の一騎打ちに注目です。

「史上最高齢の大統領」は確実に

 米国の歴史には、まだ女性大統領がいません。前回トランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン氏は「ガラスの天井を破ることができなかったが、いつか、誰かが成し遂げてくれるでしょう」と演説しました。今回も女性候補は消えました。民主党では、第2次世界大戦後だけでもケネディ、クリントン、オバマの3氏が40代で大統領になりましたが、今回のバイデン、サンダースの両氏はいずれも70代。女性、若手、黒人、ヒスパニック、アジア系も含めた多様な候補者の中から、高齢の白人が残ったのも「トランプ氏に勝ちたい」という民主党支持者の考え方が反映したから、と言われています。共和党のトランプ氏も73歳。前回のトランプ氏は就任時の史上最高齢大統領でした。今回も記録更新は確実です。