人事のホンネ

エイチ・アイ・エス(H.I.S.)

2021シーズン【第3回 エイチ・アイ・エス(H.I.S.)】(前編)
ワクワク提供のBtoCと企業貢献のBtoB 違う適性、採用も別

本社人事本部 採用・人材開発グループ 採用チーム チームリーダー 杉浦孝範(すぎうら・たかのり)さん

2019年09月18日

 人気企業の採用担当者に直撃インタビューする「人事のホンネ」の2021シーズン第3弾は、エイチ・アイ・エス(H.I.S.)です。旅行会社といえばBtoC(一般消費者向けビジネス)のイメージが強いと思いますが、BtoB(企業間取引)にも力を入れています。職分適性もやりがいも違うため、別々に募集しているとか。どう違うのでしょう?(編集長・木之本敬介)

■採用実績
 ──2020年卒採用はいかがでしたか。
 これまで以上に「個」をしっかり見て採用するのが課題でした。当社は採用人数が多いので、マスで採りにいく姿勢が必要でしたが、「どんな人に活躍してもらいたいか」「どんな人財が必要か」を考えて、一人ひとりをしっかり見るようにしました。

 ──内々定者数と男女比を教えてください。
 620人です。男性2割、女性が8割で、3対7だった例年より男性比率が下がりました。要因はまだ分かりません。社員全体の男女比は4対6です。

 ――女性が多いですねえ!
 社内にD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進室という部署もあり、女性だけでなく多様性を大切にし、様々な人が活躍しやすいよう環境や制度を変えようとしています。活躍して輝いている女性はいますが、管理職はまだまだ少ないのが課題です。

 ──採用数の推移は?
 2018年入社は350人、2019年は512人でした。今はホテル、電力などグループ会社の事業拡大もあり、採用を増やしています。2021年卒は未定ですが、積極的に採用していきたいと思っています。

■コースと職種
 ──募集職種について教えてください。
 これまでは「ビジネスリーダーコース(総合職)」と勤務地が採用エリア内に限られる「エリアプロフェッショナルコース(エリア総合職)」で募集していました。2021年卒採用からは、社員のさらなる活躍の機会を増やすために「グローバルコース」と「リージョナルコース」という新しい制度をスタートさせる予定です。いずれにしても、入社後のコース転換もあり、行き来は可能です。環境の変化や本人が目指したいことが変わってきたときに対応できます。

 ――専門職はありますか。
 SE職、WEB職、経理など専門職の募集があります。専門知識を持った人の初期配属を確約する仕組みで、本社・関東地区のみの募集です。採用は別枠で、2020年卒のSE職の内々定者は3人、WEB職は2人です。計10人くらい採りたいのですが、IT系の学生は企業検索しても旅行会社が引っかからないし、「旅行会社に自分の活躍する場があるのか」と悩むようでなかなか来てくれません。何か別アプローチを考えないと。経理は高校生も含めて5人ほどです。

 ──グローバルコースとリージョナルコースの仕事は営業ですか。
 まずは営業系です。BtoCの店舗での営業と、BtoBの法人営業があります。BtoCはレジャー目的のお客様にワクワクと感動を提供する仕事。BtoBだと取引先企業や社会・経済の発展に貢献できます。それぞれ提供する価値が違うので、入社後のミスマッチがないよう募集の段階から分けています。

 ──営業職を分けて募集するのは珍しいですね。
 BtoB部門を強化しようとしていて、選考段階からそこを目指している学生、適性がある学生と専門的な視点で向き合っていきたいと考えています。

 ──応募もBtoCが多い?
 やはり学生の皆さんがイメージしやすいBtoCのほうが多いですね。
 BtoBだとグループ・団体旅行、とくに修学旅行はイメージしやすいようです。BtoBにはもう一つ、企業の業務渡航や海外進出をサポートする事業があります。たとえば、車や化粧品、食品を販売したい企業に対し、世界の70カ国にある店舗を活用して海外マーケットの調査をしたり、イベントを開いたりするのも法人営業の業務です。「ツーリズムを通じて文化、相互理解の促進に貢献すること」も企業理念なので、日本の文化・食を海外の方に知ってもらう機会も提供できます。
 学生には「BtoB事業もあって、大きなプロジェクトで海外に進出するお客様に私たちが提供できる価値があるんだよ」と伝えています。

 ──売り上げの比率は?
 6割が海外旅行で、その中にBtoBも含まれます。まだまだBtoC中心で、オンラインでの申し込みもレジャーが圧倒的に強いのですが、BtoBも伸びてはいます。

 ──求める人物像に違いはあるのでしょうか。
 求める人物像は同じですが、職分適性が違います。BtoCは最先端でお客様と接するので、相手の求める真意をくみ取る力を重視します。BtoBは企業の課題を発見して解決する、といった提案ができるかどうかを見ます。

全国7地区で採用、その後東京へも インターン経験者は早めに選考

■地区別採用
 ──全国で地域ごとに採用しているそうですね。
 北海道、東北・新潟、中部、本社・関東、関西、中国・四国、九州の全国7地区。それぞれの地区で、グローバルコースも含めて選考しています。エリア別に選考を受け、原則そこに配属となります。地場に根づいた人と話すことで、お互いのカルチャーを知ったうえで就職してもらえる安心感があります。

 ──総合職だと入社後に地区の異動がある?
 はい。私も中部で採用されて東京に異動しました。キャリアについては、社命での異動のほか公募もあり、海外も含めて自分の活躍したい道に進むことができます。グローバル職は東京で一括採用してもいいのですが、最初は生まれ育った地で働いて、まず生活面を安定させたほうが伸びしろが大きいと考えています。

■採用スケジュール
 ──本採用のスケジュールは?
 地区ごとに違いますが、インターンシップ経験者は早めに当社を知っているので選考も早めに行います。2月ごろに集め、改めて「エイチ・アイ・エスはこういう会社だよ」と説明。3月に選考して、4月末からゴールデンウィーク明けにかけて内々定を出しました。
 インターン未経験者は、3月に情報解禁、5月までに選考して6月に内々定を出します。

 ──経団連が就活ルールの指針を廃止し、今後は政府が呼びかけることになります。
 今後も「3月企業広報解禁、6月選考解禁」のスケジュールはしばらく残ると思うので、採用が一気に通年化するとは考えていません。ただ、早めに学生との接点を設けるためにも、インターンシップには力を入れようとしています。今年も例年に比べてプレの時期の学生の動き出しが相当早くなり、イベントの参加人数が違いました。大学からも「プレからがスタート」と言われているようで、みなさんしっかりしていました。

■インターンシップ
 ──インターンシップについて教えてください。
 本社・関東地区ではもともと実施していましたが、2020年卒から夏インターンを全国展開しました。地区によって違いますが、東京の本社ではBtoC、BtoB、SE、WEBと4コースを設けています。応募は、東京が約7000人、全国では2万人くらいでしょうか。書類選考の後、選考を兼ねたガイダンスに来てもらいます。人数が一番多いのはBtoCで、次がBtoBです。
 BtoCは1DAY×3ステップ方式です。1人の学生がステップ1→2→3と進んでいきます。東京の場合、夏は3クラス計200人くらい。BtoBは5日間連続で仕事の現場を学びます。こちらは2クラスで計80人くらい。SE、WEBも5日間連続で実際にプログラミングをしてもらい、どんな作品ができたか、それがお客様にどんな体験価値を提供できるかまで評価します。秋冬も行う予定です。

 ──ガイダンス兼選考は面接ですか。
 ワークをして、取り組む姿勢やプレゼンテーション、成果物の仕上がりを見ます。また、ガイダンス後に全員に面接して参加するかどうかを聞くこともあります。