2025年、新卒採用数を8割減らすと公表して話題となった大和ハウス工業。筋肉質で生産性の高い組織づくりと前線で「稼ぐ力」を強化する構造改革の一環で、いったん新卒採用を「最小限」まで減らしたといいます。今後も厳選採用を続けていくという大和ハウス工業に、新卒採用の意義や採用プロセス、求める「人財」像、選考の基準などをじっくりうかがいました。学生優位の「売り手市場」が少しずつ変化しつつあるいま、必読のインタビューです。(編集長・福井洋平)
大和ハウス工業
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【人事のホンネ 特別編】「新卒採用8割減」 今後の採用計画は? 厳選採用の効果は? 徹底インタビュー
経営戦略本部人事部 採用・人財開発グループ長 松本由香子(まつもと・ゆかこ)さん
2026年04月01日
2025年、新卒採用数を8割減らすと公表して話題となった大和ハウス工業。筋肉質で生産性の高い組織づくりと前線で「稼ぐ力」を強化する構造改革の一環で、いったん新卒採用を「最小限」まで減らしたといいます。今後も厳選採用を続けていくという大和ハウス工業に、新卒採用の意義や採用プロセス、求める「人財」像、選考の基準などをじっくりうかがいました。学生優位の「売り手市場」が少しずつ変化しつつあるいま、必読のインタビューです。(編集長・福井洋平)
「稼ぐ力」強化めざし、いったん採用を「最小限」に
■採用数の変化
――昨年(2025年)、26年卒(2026年4月入社)の採用数をそれまでの700人規模から150人程度まで減らす、と公表して話題となりました。実際には、どのような採用数になりましたか。
26年卒は約200人に内定を出しました。1年前の25年卒は733人入社していますので、約4分の1程度まで減らしたことになります。
――改めて、これほど大幅に採用を抑制した狙いは何でしょうか。
いま、当社では会社全体で構造改革を進めています。
具体的には、本社の管理部門などをスリム化し、そこで生まれた人員を事業の最前線にシフトすることで「稼ぐ力」を強化しようとしているのです。それによってより生産性の高い組織を目指すという大きな改革を、ちょうど昨年はじめごろに進めていました。業績が良いときにこそ改革を進めるべきだという経営判断です。
そのため、まずは全社で部門ごとに適正な人員が何人なのかをしっかりと見極め、そのうえで採用計画を立てる必要がありました。こうした背景から、2026年卒の採用については、一旦「最小限」の人数にしようという方針が決まりました。その最小限の数字が今回の採用数、ということです。なので、今後もずっと採用数はこの数字、ということではないです。
――昨年(2025年)、26年卒(2026年4月入社)の採用数をそれまでの700人規模から150人程度まで減らす、と公表して話題となりました。実際には、どのような採用数になりましたか。
26年卒は約200人に内定を出しました。1年前の25年卒は733人入社していますので、約4分の1程度まで減らしたことになります。
――改めて、これほど大幅に採用を抑制した狙いは何でしょうか。
いま、当社では会社全体で構造改革を進めています。
具体的には、本社の管理部門などをスリム化し、そこで生まれた人員を事業の最前線にシフトすることで「稼ぐ力」を強化しようとしているのです。それによってより生産性の高い組織を目指すという大きな改革を、ちょうど昨年はじめごろに進めていました。業績が良いときにこそ改革を進めるべきだという経営判断です。
そのため、まずは全社で部門ごとに適正な人員が何人なのかをしっかりと見極め、そのうえで採用計画を立てる必要がありました。こうした背景から、2026年卒の採用については、一旦「最小限」の人数にしようという方針が決まりました。その最小限の数字が今回の採用数、ということです。なので、今後もずっと採用数はこの数字、ということではないです。
今後はキャリア採用にも力を入れる
■採用計画――今回の採用数はあくまで「最小限」なのですね。それでは、2027年卒の採用計画はどのようになっていますか。
現状、400人で計画を立てています。26卒採用からは倍増となりますが、かつてと比べると「厳選採用」であることに変わりはありません。
今回の採用計画をつくるにあたっては各事業の戦略に必要な人員が何人か、単に人数を考えるのではなく「どんなスキルや資質を持った人が何人必要なのか」を精査しました。その上で、当社に合った人財に絞って採用していこうという計画を策定しています。この厳選採用の方針は、2027年以降も継続していきたいと考えています。
■キャリア採用の強化
――採用全体の方針に、これまでとの違いはありますか。
大きく変わったのは、キャリア(中途)採用の割合を増やしたことです。
キャリア採用では、これまでは「即戦力」の採用、似たような業界や職種で仕事をされてきた方を採用する方針でしたが、それだけでは採用人数が増えないので、これからは「ポテンシャル採用」にも力を入れていきます。異なる業界で違う仕事をされていた方でも、当社に合う資質をお持ちであれば、入社後に育成やリスキリングを通じて活躍していただくことを想定しています。キャリア採用の方が増えることで、会社も今以上にダイバーシティーを受け入れ、互いに刺激し合える風土へと進化するはず。そこから新たなイノベーションがどんどん生まれる組織になればすばらしいと思っています。
――中途採用の母集団はどのように作っていかれるのですか。
社員からのリファラル(紹介)採用を強化していきたいと考えています。これまでは技術者のキャリア採用が多かったのですが、今後は営業職の採用も増やしていきたいので、より多くの社員にリファラル採用に協力してもらえるよう、「全員リクルーター」のマインドで一丸となって取り組んでいきます。
最適な配属先を丁寧に見極められるように
■厳選採用の成果――厳選採用に切り替えたことで、どのような効果がありましたか。
採用数を絞ったことで、採用プロセスの各段階で学生さん一人ひとりとじっくり向き合うことができました。私たちも学生さんのことを深く理解できましたし、学生さんにも私たちのことをより深く知っていただけたと思います。その結果、内定辞退率がこれまでの半分程度にまで大きく減少しました。
また、一人ひとりの個性や強みを把握できたことで、その人に最適な配属先はどこかを丁寧に見極めることができました。受け入れる事業所側も、少数の新入社員一人ひとりに合わせた育成体制を整えやすくなっています。厳選採用によって、私たちが求める人財にアプローチしやすくなっただけでなく、入社後もその人が本当に活躍できるまで寄り添える体制が築けたと考えており、これは本当に良かった点です。
――厳選採用にしたことで、選考基準に変化はありましたか。
これまでは、「採用できない要素(マイナス面)」がないかという点を重点的に見ていましたが、厳選採用にしたことで、本当にいい人、採用したいと思える人を採用しようという発想に切り替わったと思います。
「考」えて「動」く「考動」できる人を求める
■求める人財像
――2027年卒採用で求める人財像を教えてください。
2027年卒採用から、新たに「考動で夢をかたちに。」というキーメッセージを掲げました。この「考動」は、「考える」に「動く」と書く当て字です。全社員へのアンケートで、複数の候補の中から圧倒的な支持を得て決まりました。
大和ハウス工業の社員は頭で考えるだけで動けない「頭でっかち」では務まらず、かといって思考力なしに行動するだけでも活躍は難しい、という全社員共通の認識の表れだと考えています。「思考力」と「行動力」、この両方を高いレベルで両立させている人と一緒に働き、夢をかたちにしていきたい、という思いが込められています。
――「思考力」は、なぜ御社にとって大切なのでしょうか。
当社は創業以来、変化する時代にあわせてその時々の社会課題をどう解決していくかというところから事業が生まれ、発展してきたという歴史があります。現場で考えながら行動していくことが成功の秘訣だと、社員のみなさんが思っている会社なんだと思います。いまのような変化の激しい時代では、ずっと同じことをやっているだけでは衰退してしまいます。
もちろん、ただ考えているだけで、動かないようではではだめで、行動することが求められます。そういうメッセージを、「考動」という言葉に込めています。
――2027年卒採用で求める人財像を教えてください。
2027年卒採用から、新たに「考動で夢をかたちに。」というキーメッセージを掲げました。この「考動」は、「考える」に「動く」と書く当て字です。全社員へのアンケートで、複数の候補の中から圧倒的な支持を得て決まりました。
大和ハウス工業の社員は頭で考えるだけで動けない「頭でっかち」では務まらず、かといって思考力なしに行動するだけでも活躍は難しい、という全社員共通の認識の表れだと考えています。「思考力」と「行動力」、この両方を高いレベルで両立させている人と一緒に働き、夢をかたちにしていきたい、という思いが込められています。
――「思考力」は、なぜ御社にとって大切なのでしょうか。
当社は創業以来、変化する時代にあわせてその時々の社会課題をどう解決していくかというところから事業が生まれ、発展してきたという歴史があります。現場で考えながら行動していくことが成功の秘訣だと、社員のみなさんが思っている会社なんだと思います。いまのような変化の激しい時代では、ずっと同じことをやっているだけでは衰退してしまいます。
もちろん、ただ考えているだけで、動かないようではではだめで、行動することが求められます。そういうメッセージを、「考動」という言葉に込めています。
AIと「人の目」両方でチェック
■選考フロー――厳選採用にしたことで、採用プロセスに変化はありましたか。
採用プロセス自体は、25卒と26卒で大きくは変わっていません。
営業職の場合、ナビサイトなどからエントリーいただいた後、SPIによる適性検査を実施します。私たちはエントリーシート(ES)で合否を判断することはなく、SPIの結果で次のステップに進んでいただくかを決めさせていただいています。
その後はAIによる面接、先輩社員との質問会を経て、最終面接に進んでいただきます。先輩社員質問会は選考の場ではありませんが、仕事や事業についてリアルな部分を理解していただいた上で最終面接に臨んでほしいため、参加を必須としています。
(※2027年卒生の採用プロセスは上記と異なる部分があります)
■AI面接の導入
――AI面接では、どんな質問をされるのですか?
AI面接は2026年卒採用から導入しました。AIが応募者のエントリーシートを読み込み、そこに書かれている「学生時代に頑張ったこと」や志望動機などに対して質問をします。回答に対し、AIがさらに深掘りをしていくという形式です。
この面接では経済産業省が定めている「前に踏み出す力」「チームで働く力」「考え抜く力」の3能力で構成される「社会人基礎力」が、その方にどれくらい備わっているかをAIが判定します。
ただ、実際に会って話したときの「感じの良さ」や、人として愛されるキャラクターか、自分の部下にしたいか、一緒に働いて育てていきたいと思えるかといった点は、人の目で見ないとわからないと思っています。
一番困難だったことにどう立ち向かったかを聞く
■評価のポイント
――AI面接と、人が行う最終面接では、評価のポイントが異なるのですね。
はい、明確に役割を分けています。社会人基礎力のようにビッグデータを持つAIで判断できそうなポイントについては、面接官による評価のばらつきをなくす狙いもあってAIに委ねています。一方でさきほど述べたような実際に会って話したときの感じの良さ、ひたむきさや素直さ、折れなさといったAIでは測れない部分を、人の目でしっかりと見ていくというすみ分けをしています。
AI面接で高評価だった方が、必ずしも人の目で見たときに高評価になるとは限りません。見ている部分が違うため、そこに相関関係はないと考えています。AI面接の評価が適正だったかどうかは、今後検証をしていく必要があります。
――人の目でしか判断できない部分は、どのような質問で判断されていますか。
たとえば学生生活の中で情熱を注いできた活動についての質問をします。そのエピソードの中から、今後起こり得る逆境にも負けずに立ち向かっていけそうか、といったところを判断しています。仕事ってうまくいくときばかりではないですが、そういうときでもどうやってこの状況を乗り越えるか、気持ちが折れることなくできる方法を考えられるかが大事であり、そういった人が、当社に向いていると思っています。キャリア採用の方に対しても、同様の判断基準です。
――AI面接と、人が行う最終面接では、評価のポイントが異なるのですね。
はい、明確に役割を分けています。社会人基礎力のようにビッグデータを持つAIで判断できそうなポイントについては、面接官による評価のばらつきをなくす狙いもあってAIに委ねています。一方でさきほど述べたような実際に会って話したときの感じの良さ、ひたむきさや素直さ、折れなさといったAIでは測れない部分を、人の目でしっかりと見ていくというすみ分けをしています。
AI面接で高評価だった方が、必ずしも人の目で見たときに高評価になるとは限りません。見ている部分が違うため、そこに相関関係はないと考えています。AI面接の評価が適正だったかどうかは、今後検証をしていく必要があります。
――人の目でしか判断できない部分は、どのような質問で判断されていますか。
たとえば学生生活の中で情熱を注いできた活動についての質問をします。そのエピソードの中から、今後起こり得る逆境にも負けずに立ち向かっていけそうか、といったところを判断しています。仕事ってうまくいくときばかりではないですが、そういうときでもどうやってこの状況を乗り越えるか、気持ちが折れることなくできる方法を考えられるかが大事であり、そういった人が、当社に向いていると思っています。キャリア採用の方に対しても、同様の判断基準です。
ビジネスモデル変化に伴い営業職は少数精鋭に
■技術職採用の強化――技術職の採用について教えてください。
技術職については採用数を減らしておらず、むしろ増やしています。特に近年は、建物の外側だけでなく、電気や空調といった内部の「設備」の重要性が高まっています。例えば、これから当社が力を入れていくデータセンター事業では、建物そのものよりも内部の設備が事業の核となります。
そのため、高度な専門性を持つ「設備技術者」のニーズが非常に高まっており、採用を強化しています。そのため、これまでは建築学を専攻する学生さんがターゲットの中心でしたが、最近では電気電子工学や機械工学を学んでいる学生さんの採用にも力を入れています。院卒採用にこだわっているわけではないですが、ハイレベルな学生の方に来ていただけるようリクルート体制を強化しているところです。
■営業職採用の変化
――一方で、営業職の採用が大きく絞られた背景は何でしょうか。
当社のビジネスモデルが変化してきていることが大きな理由です。私たちが手掛ける案件は年々大型化しており、もはや営業の人数が増えれば売上が伸びていくという単純な構造ではなくなっています。
かつては一軒一軒の戸建住宅を丁寧に建築するビジネスモデルが中心でしたが、現在では売上の大半をそれ以外の事業が占めるようになっています。そのため、営業職については、業績目標に対して比例的に人員を増やすという考え方ではなく、少数精鋭で付加価値の高い仕事をしていく方針に変わりつつあります。
AI時代生き抜くためにアウトプットの習慣を
■新卒採用の意義――キャリア採用が増える中で、新卒採用の意義をどうお考えですか。学生にとっては厳しい時代になるのでしょうか。
新卒採用がなくなることはありません。誰もがファーストキャリアを歩むわけで、その受け皿がなければ日本社会が成り立ちませんから、そこは安心していただきたいです。
ただ、企業側は「なぜ新卒で採用するのか」その意味を、これまで以上に真剣に考えるようになると思います。私たちも、キャリア採用と新卒採用では求める役割が違うという意図を明確に持っています。
そうした中で学生の皆さんには、より「自分に合った会社」を見極めていく必要が出てくるでしょう。入りたいという気持ちも大切ですが、その会社が本当に自分に合っているのかをしっかり見つけていく姿勢が、これまで以上に問われる時代になるのではないでしょうか。
■学生に求めること
――学生時代に何をしておくべきでしょうか。
どんなに小さなことでもいいので、「こんな自分になりたい」という夢を描くことが大切だと思います。当社の創業者も「夢を描かない人や企業は成長できない」と言っていたそうですが、私たちも「夢」という言葉を非常に重視しています
また、スキル面では、どんな仕事でも一人で完結することはありませんから、人とコミュニケーションを取り、協力して何かを生み出す力は必ず求められます。
そして、これからの時代はAIがどんどん進化していきますから、それに頼りきるのではなく使いこなせるようなすための「思考力」を鍛えることが大切です。そのためには、たとえば人の話を聞く、本を読む、ニュースを見るなどしてインプットのシャワーを浴び、それをしっかりかみ砕いて自分なりの意見を持つ、アウトプットをしていくという訓練を習慣づけておくといいと思います。最近の若い方は勉強は好きでインプットはしっかりしている印象ですが、アウトプットはそこまでできていないと感じることが多いです。アウトプットの習慣は大切ですね。
志望動機は聞かない
■企業理解の考え方――選考において、企業理解はどの程度求められますか。
実は、最近はあまり求めていません。かつては、どれだけ当社の事業や仕事を理解し、志望してくれているかを重視した時代もありました。しかし、その方針を大きく転換しました。
私たちはこれを「ファンから選ぶ採用から、求める人をファンにする採用へ」と呼んでいます。これまでは当社に元々興味を持ってくれている学生さんの中から採用することが多かったのですが、それではハウスメーカーとしての当社にしか興味がない層に偏ってしまいます。
これからは、元々は当社に興味がなかったとしても、私たちが求める「考動」できる人財であれば、こちらからアプローチし、選考を通じてファンになってもらい入社していただく、という採用を目指しています。ですから、面接で「どれだけ当社を志望していますか」といった質問をすることはありません。面接官をする社員にも、志望動機を聞くより一緒にこの人と働きたいと思えるかどうかを見てほしい、という考えを浸透させていきたいと考えています。
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【総合住宅・不動産メーカー】







