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サイバーエージェント

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【人事のホンネ 特別編】就活生の人気上昇 「素直でいい人」求める意図は? エントリー学生は全員面談の理由

採用育成部 採用戦略室マネージャー 中村怜樹(なかむら・れいじゅ)さん

2026年03月25日

 学情が毎年公表する「就活人気企業ランキング」の最新27年卒学生ランキングで、過去最高の36位にランクインしたサイバーエージェント。インターネット広告業からはじまり、ゲーム事業やメディア&IP(知的財産)事業にウィングを広げてきたことで認知度も向上し、若いうちから活躍できる風土が評価されています。同社が採用したい「素直でいい人」とはどういう人で、どこで見抜くのか? エントリー者全員を面接する理由は? 採用方法やその狙いなど、採用担当者の中村怜樹さんにじっくり聞いてきました。(編集長・福井洋平)

「ウマ娘」「今日好き」 若い人向けコンテンツ育つ

■人気上昇の理由
 ――学情が毎年公表する「就活人気企業ランキング」の、最新27年卒学生ランキングでサイバーエージェントさんは36位と過去最高順位、前年(142位)からは100以上順位を上げています(25年卒53位 24年卒88位)。近年、学生からの人気が高まっているのはなぜだと思われますか。

 そうですね、二つの要因があると考えています。

 一つは、当社が採用の広報・ブランディング領域にここ数年、特に力を入れてきたことです。これまでは説明会や選考など対面の場で学生さんに私たちの魅力を伝えてきましたが、最近は応募してくれる学生さんも非常に増えてきました。なのでYouTubeやInstagram、Xといったソーシャルメディアを活用し、選考に参加しない方にも当社の魅力が伝わるように情報発信を強化した結果、より多くの学生さんにリーチできるようになったと考えています。将来的には、就活生の1割が受ける会社になりたいですね。

 もう一つは、当社が手がけるBtoCのコンテンツやサービスで知名度が上がったことです。私たちはインターネット広告事業からスタートした会社ですが、いまはグループ会社のCygamesが手がける「ウマ娘 プリティダービー」や、当社の動画配信サービス「ABEMA」で放送中の恋愛リアリティーショー「今日、好きになりました。」など、若い人たちにも人気のコンテンツが育ちました。2026年度の四半期決算で、ABEMAは2016年の開局以来はじめて、株式会社AbemaTV単体での黒字になっています。その結果、「このサービスを見ていたから受けようと思いました」と言ってくれる学生さんが増えたのだと思います。

 ――「今日好き」は、2017年から放送していますね。

 はい、いま番組の総合プロデューサーは20代の若手社員がつとめています。彼女は2019年に「今日好き」を見てファンになり、当社に入りました。若手だからこそ、若者に響くコンテンツが作れるという良い例だと思います。

「昨日の当たり前を疑う」柔軟性持つ人欲しい

(ABEMA人気コンテンツの「今日、好きになりました」=サイバーエージェント提供)
■素直でいい人
 ――御社は採用基準として「素直でいい人」を掲げています。その理由は何ですか?

 当社のメイン事業領域であるIT業界は非常に変化が激しいです。「昨日の当たり前を疑う」ことが、常に求められる業界だと思います。当社もインターネット広告事業から発展し、ゲームやメディアビジネスに事業を広げるなど大きな変化を経てきました。そういった世界で成長するために非常に重要なことは、物事を柔軟に、素直に受け入れられることです。当社創業者(会長)の藤田晋も、よく口にしていることです。

 ――その「素直さ」という要素は、選考のどこで見極めているのでしょうか。

 当社はインターンシップや、あとで説明しますが「トライアウト」といった選考過程の中で学生と社員が対話する機会が多く、そこで見極めようとしています。「トライアウト」では就活生のアイデアに社員がフィードバックをするのですが、それをどう咀嚼し、どう自分の考えをアップデートしていくか、そういった柔軟性を見ていますね。自分のやり方に固執したり「この仕事しかやりたくない」となったりではなく、何事にも興味を持って、前向きに取り組める方を求めています。

 ここはしっかり学生さんと会って見極めたいということもあり、当社は選考にあたってずっと書類選考はせず、エントリーいただいた学生さんは全員グループディスカッションという形でお会いしています。SPIも、超早期選考を除いてエントリーシート(ES)選考もありません。これは昔から一貫しています。

 能力だけで採用したいのではなく、その人の気持ちやポテンシャル、そして何より当社のカルチャーに合う「素直でいい人」かどうかを重視しているからです。そうした人物本位の部分は、やはり直接会わないと分からないと考えています。

 ――つまり、エントリーすれば必ず面接やグループディスカッション(GD)に進めるということですか。

 おっしゃる通りです。インターンシップや選考を希望してくださった学生さんには、必ずGDに参加していただく機会を提供しています。
■「いい人」とは
 ――全員会われるというのはすごいですね。もうひとつの要素「いい人」とは、具体的にどのような人物を指すのでしょうか。

 シンプルに「一緒に気持ちよく働ける人」ということです。当社はインターネット広告の代理店業から事業を拡大してきました。お客様とコミュニケーションをしっかりとることが私たちの事業の根幹です。当社は「チーム・サイバーエージェント」という言葉を大切にしており、どの事業部に配属されても仲間と協力して仕事を進めることが基本です。

 自分一人だけが良いということではなく、仲間と協力して大きな成果を出せるかどうかが、大事なポイントだと思っています。

 ――チームで成果を出すためには、どのような能力が重要だとお考えですか。

 根底には「素直でいい人」であることが必要ですが、それに加えて「当事者意識」や「ラストマンシップ(最後までやり遂げる責任感)」が重要です。チームで仕事をしていると、誰かに任せるという逃げ道が生まれがちですが、そうではなく、チームの一員として最後まで自分が責任を持つという気概のある人が、当社では非常に活躍しています。

挑戦した上での失敗は「次への成長の機会」ととらえる社風

■挑戦と自由
 ――サイバーエージェントのカルチャーを、他に言葉で表すとどうなりますか。

 二つあると考えています。一つは「若手から挑戦できるカルチャー」です。若いうちから大きな裁量権を持って、大きな舞台で挑戦する機会を非常に大事にしています。さきほどお話しした「今日好き」のプロデューサーも若手ですし、どの 事業でも若手がどんどん活躍しています。もちろん若手だけでなく、役員や社長まで全員がチャレンジ、トライするという社風は、ずっと変わっていないのかなと思っています。

 もう一つは「自由と自己責任」です。当社は事業領域が拡大してキャリアの選択肢もどんどん増え、広がっています。その中で、自分が何をしたいか、するべきかを自分で決断し、自己責任でやり遂げることを大切にしている会社だと思います。

 ――そうした挑戦を後押しする制度もあるのでしょうか。

 はい。「あした会議」という独自の制度があります。執行役員が選抜して若手からベテランまで活躍している社員がチームを組み、1ヶ月間、会社の未来、「あした」について考え、社長に新規事業や課題解決案を提案する会議です。ここで決議されれば、実際に事業化や制度化が進みます。挑戦したいという気持ちを形にできる場です。

 また、挑戦した上での失敗は「次への成長の機会」と捉える文化があり、「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。」という言葉があるほど、挑戦をすすめています。大きなチャレンジができる、ということは、当社の「売り」としてプッシュしていきたいポイントですね。

■応募学生の傾向
 ――御社にエントリーする学生はどういう傾向があると思われますか。

 コロナ禍以降、先行き不透明な時代になったことで、むしろ何か大きなチャレンジをしたい、何か世の中の記憶に残るようなことをしたいという気持ちを持った学生が増えてきた印象があるんです。コロナがあって外出もできない中で、自問自答を重ねて自分のフィールドを外に求めていこうというマインドの学生がすごく多くなってきたと感じます。

 当社は2021年に新たなパーパスとして「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」と掲げました。このパーパスに共感してエントリーしてくれる学生が多くなっていますね。そのなかでも、かつては何か漠然と大きなことをしたいといった希望の学生が目立ちましたが、近年は自問自答の機会が増えたからか、例えば ABEMAでこういうことをしたい、など自分のやりたいことを具体的に語る学生が増えてきました。

3つの選考ルート

■2026年卒採用
 ――2026年卒の入社予定人数を教えてください。

 採用職種がビジネスコース=いわゆる総合職とクリエイターコース、エンジニアコースの3コースあり、このうちビジネスコースが約220人、トータルでは300人ぐらいになる予定です。

 ――採用規模は例年このくらいなのでしょうか。

 いえ、採用人数は業績や、どの事業を強化するかといった経営方針とシンクロしながら毎年決めているため、増減があります。最近は300人規模での採用が続いています。

■3つの選考ルート
 ――採用選考は、どのようなルートが中心となっていますか。

 基本的には、インターンシップを経由するルートが主になります。当社の採用は大きく3つのシーズンに分かれており、まず大学3年生になる前に募集する「超早期」選考、次に夏に実施する「インターンシップ選考」、そして冬の「本選考」です。「超早期」選考は26卒生採用から取り入れました。いずれのルートでも、時間をかけて学生と会社がお互いを理解し合う期間を設けています。

 ――ルートごとに、採用人数の目安などはあるのでしょうか。

 大体の目安はありますが、固定はされていません。当社の採用基準を満たす「素直でいい人」がいれば、その方々をしっかりと採用するというスタンスです。

 ――選考に一度落ちてしまった場合、再挑戦の機会はありますか。

 はい。学生の方からよくいただく質問ですが、再挑戦の機会は用意しています。例えば、超早期選考で不合格だった場合でも、夏のインターンシップ選考に再度挑戦できるリベンジの機会などを一部設けています。

インターンシップに社員も多く参加

■超早期選考
 ――選考方法に違いはありますか。

 超早期選考は、他の選考に比べてステップが短いのが特徴です。早くから動き出す学生の「自分の実力を試したい」「早く会社を知りたい」という気持ちに応えるため、選考を長引かせず、選抜された方にはインターンシップの場で会社のことを深く知ってもらえるように設計しています。

 ――具体的な選考ステップを教えてください。

 一次選考がGD、二次選考が集団面接、その次に人事面接があり、そこでインターンシップに参加できるかどうかが決まります。例年、非常に多くの学生が応募しています。

 ――インターンシップはどのような内容ですか。

 例年、6月頃に3日間連続で実施します。会社のことを知ってもらうのが主な目的で、社員が実務で取り組んでいるようなことをお題としてチームで向き合ってもらいます。各チームにはメンターとして社員がつき、3日間サポートします。

 ――過去にはどのようなお題が出されたのでしょうか。

 2026年卒採用(2024年実施)のインターンシップでは、当社も非常に力を入れている領域であるAIやDXをテーマに、新しい事業を創出するというお題で取り組んでいただきました。

 ――インターンシップには社員の方も多く参加されるのですか。

 現場の社員が25人から30人ほど参加します。そのほか事業責任者や役員など、レイヤーを問わず多くの社員が参加し、学生と向き合います。

 ――このインターンシップは内定に直結するのでしょうか。

 はい。「内定直結型」と打ち出しており、インターンシップへの参加が内定につながる選考となっています。2026年卒、2027年卒ともにビジネスコースで30名から35名程度が参加しました。

社員からフィードバックもらう「トライアウト」選考

■夏インターンシップ選考
 ――夏のインターンシップ選考はいつ頃から始まりますか。

 超早期選考が終わった後、4月から5月頃に募集を開始し、7月頃からインターンシップを実施します。インターンシップ自体は、複数回に分けてすべて3日間のプログラムで行っています。

 ――選考フローはどのようになっていますか。

 グループディスカッション、面接を受けていただき、その次にさきほどお伝えした当社独自の「トライアウト」という選考があります。それに合格すると面接に進み、インターンシップへの参加者が選抜されます。その後、さらに人事面接と、役員が担当する最終面接を経て内定に至ります。2027年卒の夏インターンには約3万人の学生さんがエントリーしてくださいました。

■トライアウト
 ――「トライアウト」とは、どのような内容なのでしょうか。

 10年以上前から続いている独自の選考です。お題がひとつ与えられ、学生は選考官役の社員に対して決められた時間内で何回でも自分の考えをぶつけ、フィードバックをもらいます。そのフィードバックを基に、また自分でブラッシュアップして提案するというトライアンドエラーを繰り返す選考です。オンラインで実施していて、取り組みはチームではなく個別で行います。

 ――お題はどのようなものですか。

 毎年変わりますが、例えば「サイバーエージェントで活躍する人材に必要な要素を考えてください」といった、答えのないテーマについて考えてもらうことが多いです。当社は、実際業務にたずさわる中で日々自分たちでアイデアを考え、トライアンドエラーをくりかえしていいものをつくっていくカルチャーがあります。日々、正解のない課題に向き合っているということもあり、それを体感してほしいと考えてこの選考を取り入れています。学生がどう社員のフィードバックを取り入れ、どう行動を変えていくか、そういったところから当社に必要な柔軟性をチェックしています。

■冬の本選考
 ――冬の本選考はいつから始まりますか。

 例年10月頃からエントリーが始まります。夏のインターンシップに参加した学生には、本選考への優先的な案内があり、少し早く選考がスタートします。

 ――選考フローは夏と同じでしょうか。

 はい。グループディスカッション、集団面接、面接、トライアウト、社員や人事との2度の面接、最終面接という流れで、夏とほぼ同じです。夏のインターンシップに参加し、評価された方には、最初のいくつかの選考をスキップできるといった優遇措置があります。

仕事の難しさ、大変さも赤裸々に伝える

■採用時に心がけていること
 ――採用時に心がけていることはありますか。

 ミスマッチがないよう、できるだけ会社のリアルな実態を伝えようと思っています。こういう事業があります、こういう魅力がありますということだけではなく、仕事の難しさ、大変なところ、やりづらいところなども赤裸々に話すようにしています。

 ――たとえば、中村さんはどういったことを話すのですか?

 そうですね、私はつらかったこと、イコール大きなチャレンジをさせてもらっているときととらえるタイプなので、いい意味で身の丈以上の挑戦をさせてもらっているということは伝えています。「自由と自己責任」という言葉にもつながるのですが、何か役員に提案するとそれやってみなよと全肯定してもらえることが多く、身の丈以上の挑戦をするために成長痛を感じることも多いですが、結果ハッピーととらえています。

 ――ベンチャーの旗手的存在ですが、近年は企業の規模も大きくなっています。変化は感じますか?

 確かにベンチャースピリッツをどう維持するかは課題とは感じます。ただ個人的には、たとえばゲーム事業などは子会社が非常に多く、そこに出向する社員もたくさんいるので、子会社ならではの意思決定の速さ、スピード感などは維持できているんじゃないかと思います。

学生時代に最大限のチャレンジしてきてほしい

■学生に求めること
 ――これからサイバーエージェントを目指す学生に、どのような学生生活を送ってほしいですか。

 後悔のないように、自分なりのチャレンジをしてきてほしいと思います。チャレンジをすることで、自分の強みや弱み、自分という人間が見えてきます。それはどんな会社に入る上でも役立つはずです。趣味でも学業でも何でもいいので、自分なりに最大限のチャレンジをして、その経験を自信を持って私たちに教えてほしいです。

 ――中村さんご自身は、面接で学生に必ず聞くことはありますか。

 「自分を一言で言うと、どんな人間ですか」ということと、「あなたの人生のハイライトを教えてください」という質問をよくします。「一言で言うと」という質問からは、その人がいかに自分と向き合い、自身をどう捉えているかを知りたいです。「ハイライト」の質問では、どんな経験を価値あるものとして選ぶのか、その選択からその人の価値観や人となりが分かると考えています。

■中村さんの就活
 ――中村さんは就活生時代、学生時代はどういうところを見ていましたか?

 いつまでたっても成長できる環境に身を置きたいと思い、メディア業界を中心にみていました。そのなかでも、30歳までに大きな挑戦ができる、若い内から成長できる環境がいいと考えていまして、若手への投資状況も含めてサイバーエージェントを選びました。

 実際、入社してよかったって毎日思っています。私は採用の部署にいますが、採用という領域を飛び越えてチャレンジをさせてもらった6年間だと感じています。

 いまチャレンジしているのは、当社の抜擢文化のなかで、どういう人を登用したらどの程度活躍するのかもっと科学的に検証していこうという組織を立ち上げました。データを集めたりAIを駆使したりしながら、よりよく社員が気持ちよく働けて成長できるルールや環境をつくることが目的です。いずれは会社のサイトでも紹介されるような取り組みに育てていきたいですね。