
■仙台営業部時代
──下條さんの、仙台時代の思い出深い仕事を教えてください。
下條 仙台時代はたくさんあります。自分に自信を持てるようになったのは、仙台で売上ナンバーワンと言ってもいい設備店を担当したときのことです。その設備店のお客さまは開業以来、他社商品のみ取り扱っておられ、当社の商品が入り込む余地はないような状況が続いていました。なぜか私が担当したときにシェア0%から90%、100%まで逆転して、売り上げの向上に貢献することができました。本当にインパクトが大きいお客さまだったので自信がつきましたし、上層部の前で発表したときには、「いい仕事をしたのかな」と。
──何が良かったのですか。
下條 私が特別、営業力に秀でていたわけではないです。設備店の社長と信頼関係を築くことができて、気に入っていただき、本当に運良くLIXILの商品を採用していただきました。私だけではなく、デベロッパーの方にもサポートしてもらい、サンドイッチ形式で営業させていただきました。社長と接する中で、営業として丁寧に関係を築いたことが成果につながったのだと思います。
──学生は「営業」にあまりいいイメージを持っていない人が多いと思います。営業という仕事の面白さは?
下條 いろんな営業のパターンがあると思いますが、私の場合はLIXILの商品を買っていただくというよりも、この私、下條という個人を認めて買っていただくということに喜びを感じていました。それが営業の醍醐味じゃないかなと思います。
──営業の極意はありますか。
下條 私はキャラクター的によくしゃべると思われているのですが、自分は話さず、人を喜ばせることを心がけていました。たとえば、仙台だとプロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスファンが多く、野球の話をよくしました。当時は、田中将大選手など有名な選手の話をすることが多かったと思いますが、それだと面白くない。私はよく新聞を読んで、あえて二軍の選手をチェックしていました。「〇〇選手いいですね。多分もうすぐ一軍で出てきますよ」と言うと、「お前、何で知っているんだ」と話がはずみ、こうした細かい工夫で差をつけることができたと思います。
──海外でもそのアプローチは生かされていますか。
下條 はい。海外に行って思ったのは、やはり日本のことを知らないといけないなと。歴史や日本について調べて話すと、すごく興味を持ってもらって、コミュニケーションが加速します。「関係性が結ばれたな」と思う機会があります。最近だと、抹茶ですね。アッサムで、「アッサムもお茶が有名だけど、日本なら静岡などが有名かな」と言ったら、現地の1人が静岡のお茶が大好きで、直接買っていることがわかって、盛り上がりました。こういった話が、商品の説明と同じくらい大切なんじゃないかと思うことがあります。
山田 下條は、「この人にはこの話題が刺さるんじゃないか」と見極める力がすごいと感じます。