SDGsに貢献する仕事

大塚製薬

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大塚製薬〈前編〉健康な社会づくりめざす事業内容がSDGsに直結【SDGsに貢献する仕事】

2026年07月01日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」。第35回は医薬品と、「ポカリスエット」や「カロリーメイト」といった独創的な製品や活動を通じてウェルビーイングへの貢献をめざす製薬会社・大塚製薬が登場します。さまざまな形で人々の健康維持・増進に寄りそう大塚製薬では、自治体や国などと連携し、熱中症対策などいろいろな啓発活動にも取り組んでいます。健康な社会づくりをめざす事業内容そのものがサステイナビリティーに結びつく、という大塚製薬の担当社員2人に、日々の仕事やSDGsに対する思いについてじっくりうかがいました。(編集長・福井洋平)

【お話をうかがった方のプロフィル】
サステナビリティ推進部 環境推進室 係長 高橋千陽(ちはる)さん(写真左)
大学ではクラシック音楽を学び、2004年に入社。営業、学術などを経て2019年より環境推進業務に携わり、2025年より現職。

ニュートラシューティカルズ事業グループ ソーシャルヘルス・リレーション部 課長 奥山元博さん(写真右)
大学では法律を学び、2012年に入社。営業を経て2023年より現職。

医薬品とNC関連事業製品で人々の健康に貢献

■大塚製薬のサステイナビリティー
 ──大塚製薬のサステイナビリティーに関する活動は、何を軸にされているのでしょうか。
 高橋千陽さん 当社の企業理念は「Otsuka-people creating new products for better health worldwide(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)」です。

 世界の患者さんに貢献する新薬などを開発・提供する「医療関連事業」に加え、科学的根拠に基づいた独創的な製品を通じて、日々の健康維持・増進をサポートする「ニュートラシューティカルズ(NC)関連事業」を展開するトータルヘルスケアカンパニーとして、健康・社会課題解決に向けて取り組んでいます。その考えのもと、サステナビリティだから取り組む、というよりも私たちの事業活動そのものがサステナビリティと結びついている、と認識しています。

■高橋さんのお仕事
 ──高橋さんの社歴を教えてください。
 高橋 2004年入社になります。もう二十何年になると思うと、自分でもびっくりです。現部署の前身の総務部 環境推進室には2019年から所属しています。2025年にサステナビリティ推進部が新設され、環境推進室もサステナビリティ推進部に組み込まれました。

 環境推進室に来る前は、「ポカリスエット」や「カロリーメイト」などを扱うNC事業部(現・NC事業グループ)に所属していました。そこでは営業、学術、チームリーダー、量販担当のサポートなど、さまざまな業務を経験しました。

 ──「ニュートラシューティカルズ」という言葉の意味を教えていただけますか。
 高橋 ニュートラシューティカルズは、ニュートリション(栄養)とファーマシューティカルズ(医薬品)を組み合わせた造語です。ただ「美味しい」というだけではなく、「科学的根拠に基づき健康維持・増進に貢献する製品を開発する」という考えに基づいた言葉で、事業の名前に使用しています。

 日本にも世界にも製薬会社はたくさんありますが、健康に貢献する飲料や食品などを含めて活動しているという製薬会社はそれほどないと思います。治療だけではなく日々の健康維持・増進にも寄与するのが大塚製薬だと考えています。

 ──大塚製薬のサステイナビリティーは、主にどんなことに注力していますか。
 高橋 大塚製薬は、健康に貢献する事業を通じて取り組むこととして、4つの重要項目(マテリアリティ)を特定しています。「トータルヘルスケア企業として世界の人々へウェルビーイングを提供」「企業理念を実現する人財の育成と環境整備」「ビジネスパートナーと協働したサステナブルな社会の実現」、そして私が担当している「地球環境への負荷低減」です。

環境問題は重要4項目で目標を立てる

■環境に関する取り組み
 ──高橋さんは、今は具体的にどういった仕事をしていますか。
 高橋 私たちは環境に関する重要項目を「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ウォーターニュートラル」「バイオダイバーシティ」と4つ定めています。それぞれに目標を定めており、その達成に向けた活動を推進しています。海外の子会社にも働きかけ、本社が主導するのではなく、各事業会社が主導権を持って活動を行っています。私たちは大塚グループ共通の環境目標を海外の子会社に実施してもらえるよう、ウェブ会議などで説明したり、取り組み状況の確認をしたりしています。

 例えば「バイオダイバーシティ」では「サステナブルな紙を100%使用」という目標があり、それに向けてガイドラインを制定したり、現状どういった紙を使っているかを社内で共有したりしています。「カーボンニュートラル」では温室効果ガス排出量についてスコープ1(自社の直接排出量)、スコープ2(自社の間接排出量)、スコープ3(サプライチェーン全体での排出量)の算定を行っています。「ウォーターニュートラル」では、水の使用量の削減を目標にしています。水は事業活動をする上で非常に大事で、それがないと事業になりません。限りある資源を有効に使用するため、使用量削減という目標を掲げています。飲料を増産すると当然水の使用量も増えるので、どうやって目標を達成していくかを含めて海外子会社と連携していくことが重要になります。

 ──その中で高橋さんが主軸にしている仕事は何ですか。
 高橋 先ほど申し上げたグループ子会社に対する働きかけや、バリューチェーン全体のCO₂排出量の算定です。

 ──バリューチェーン全体のCO₂排出量算定にあたって苦労されている点は。
 高橋 環境推進室がデータを持っているわけではないので、基本的には社内、一部は社外のメンバーにもお願いして必要な情報を入手しています。例えば、製造のための原材料から、社員の出張、通勤もCO₂排出量の算定には必要なので、資材部をはじめ人事部や経理など、いろんな部署に依頼し、協力をしてもらっています。今後は、海外子会社への働きかけも増えそうです。

ペットボトルは100%リサイクル原料

■環境目標の進展
 ──「バイオダイバーシティ」ですが、使用する紙をどのようにして切り替えていくのですか。
 高橋 紙資材の調達ガイドラインを大塚製薬を含む大塚グループ5社で作成し、それを社内に落とし込んでいきました。コピー用紙を例に挙げると、拠点によって仕入れ先が少しずつ違っています。それをある程度ガイドラインに適合するものを選べるウェブサイトを社内でつくり、「こちらから購入してください」とアナウンスしています。「ここで買えばいいと分かるのは助かる」という声を聞いています。

 大塚製薬の会社案内などでもFSC 認証(森林認証制度)の紙を使っています。きちんと認証を受けた紙を使うということは、バイオダイバーシティの目標にも、CO₂削減にもつながります。

 ──御社の事業には水が欠かせないと思いますが、「ウォーターニュートラル」はどのように実現されていくのですか。
 高橋 これは難しいテーマで、これからより具体的に働きかけを行うところです。バイオダイバーシティ、ウォーターニュートラルに関しては環境対策の目標の中では今後特に対応が必要なところです。一方でサーキュラーエコノミー、つまり資源循環の活動は進んでいまして、例えば飲料製品のペットボトル容器は100%リサイクルの原料を使っており、当社のペットボトル飲料製品の9割以上(本数ベース)が、リサイクルPET樹脂100%利用のペットボトル容器です。

 ──そこまで進んでいるんですね。どのようにリサイクルしていますか。
 高橋 いろいろな部署や自治体と協力して、自治体で回収しているペットボトルを原材料にして協力会社にプリフォーム(ペットボトルの原型)をつくってもらうという活動をしています。また、グローバルサポーターとして関わった東京2025世界陸上競技選手権大会では、会場で選手や観客が使用したペットボトルを回収し新たなペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進しました。この取り組みは他の大規模なスポーツ大会やイベントでも実施しています。

食品ロス削減にも取り組む

■今後の取り組み
 ──食品ロスの削減計画もあるのですね。これはどういう取り組みですか。
 高橋 私たちは飲料のみならず、「カロリーメイト」などの食品も製造しています。大塚グループでは、食品ロスは世界的な問題だと考え、目標の設定を行っています。例えば、工場で原材料として使えなくなってしまったものや製造段階で出る廃棄物などをさらに減らしていこうとしています。自社の取り組みとしては、すでに効率的な製造プロセスが整っているので、取り組みをさらに推進していきます。

 工場も生産効率を高めるためにいろいろな活動を日々やっているので、もともと廃棄になるものが少ない、それが再確認できたという状況です。

 ──今後、取り組んでいきたい分野はありますか。
 高橋 工場のエネルギー使用率をどのように削減していくかにも注力しています。省エネ活動も大事ですし、重油から環境負荷の少ないガスに切り替えるといった燃料転換や、太陽光発電設備の設置による、自社での再生可能エネルギー調達などもしています。あとは、大塚グループ内で統合エネルギーサービス体制を構築していて、再生可能エネルギーの一括調達などを行っています。

 現場の話を聞くと、「まだまだできることはありそうだ」という意見が出てきます。現場の協力なくして目標達成は実現できないので、各工場とこまめにやり取りをしています。

健康・社会課題にソリューションを提供

■奥山さんの仕事
 ──奥山さんの社歴を教えてください。
 奥山元博さん 2012年入社です。現在のソーシャルヘルス・リレーション部には2023年から所属しています。その前は東京や北海道で、NC関連事業製品の営業をやっていました。

 ──今のお仕事内容を教えてください。
 奥山 ソーシャルヘルス・リレーション部は、これまでの事業活動で蓄積したエビデンスや知見を基盤とし、有識者・関係団体と連携しながら、社会が抱える健康課題に対する解決策の提案から実装までを担う部署です。その中で私は、当社が30年以上継続して啓発に取り組んできた「熱中症対策」を中心にさまざまな業務を担当しています。近年では、2023年から「熱中症対策アンバサダー®講座」を大塚製薬主催(特別協力:独立行政法人環境再生保全機構、後援:環境省・文部科学省・農林水産省・国土交通省)で実施しており、講座の企画・運営を担当しています。さらに、環境省や環境再生保全機構をはじめ、日本スポーツ協会など、熱中症対策に関わるさまざまな団体と連携した活動も行っています。

 ──部署全体で取り組んでいることは、ほかにありますか。
 奥山 熱中症対策以外には、健康経営に取り組んでいます。経済産業省による「健康経営優良法人認定制度」により、企業は従業員のウェルビーイングの向上に取り組むことで、生産性や企業価値の向上につなげていくことが期待されています。大塚製薬は製薬会社として長年積み上げてきたエビデンスをもとに、熱中症対策にとどまらず、栄養や女性の健康など幅広い分野に関する知見を有しています。こうした強みを生かし、企業の健康経営を推進する取り組みの支援にも力を入れています。幅広い有識者とのネットワークを生かしながら、それぞれの課題に応じた具体的なアプローチを提供しています。

「熱中症対策アンバサダー」を養成し対策を訴える

■熱中症対策
 ──大塚製薬は、熱中症対策の啓発にどのような経緯で関わるようになりましたか。
 奥山 ポカリスエットの開発には、輸液事業で培ったノウハウが背景にあります。「飲む点滴液」というアイデアをヒントに、汗で失われる水分・電解質(イオン)を補う「汗の飲料」というコンセプトで開発され、1980年に発売されました。発売以降、汗をかくさまざまな場面で水分・電解質補給の重要性を伝える活動を開始しました。

 その後、1991年に日本体育協会(現・日本スポーツ協会)で「スポーツ活動における熱中症事故予防に関する研究班」が設置されたことをきっかけに、1992年から活動への協力を開始し、水分・電解質補給の重要性を、スポーツの現場にとどまらず、教育・職場・地域社会へと広げながら、今も伝え続けています。

 ―─当時はまだ「日射病」と言っていた時代ですね。
 奥山 そうですね。「熱中症」という言葉が一般的ではなく、「日射病」といった呼び方が主流でした。また、運動中は水分をあまり取らないほうがよい、という考え方が受け入れられていた時代でもあったと認識しています。

 ──熱中症の問題はかなり広まったと思いますが、今はどういった課題があると思いますか。
 奥山 気候変動の影響で気温が上昇しており、熱中症による死亡者数も増加傾向にあります。こうした中で、正しい知識に基づいた対策を一人ひとりが日常の中で実践していくことが、これまで以上に重要になっています。さらに、自分が得た知識を周囲に伝え、具体的な行動につなげていくことも課題のひとつだと感じています。私たちが提供している「熱中症対策アンバサダー講座」は、これまで蓄積してきた知見を体系的に整理し、基礎から、周囲へ伝えるための実践的な内容まで学べるものとなっています。

 ──「熱中症対策アンバサダー」はどういう人がなるのですか。
 奥山 対象は広く一般の方々ですが、例えば学校の先生、部活動の地域指導者の方々などに受講いただき、熱中症に関する知識を児童生徒への指導に生かしていただいています。当講座では、約1時間半の講義を受講後、確認テストに合格された方を「熱中症対策アンバサダー」として認定します。現在、認定者は全国で8万人を超えています。

めまい、頭痛、吐き気も熱中症の症状

■熱中症をどう防ぐか
 ──熱中症を防ぐうえで、重要なポイントは何でしょうか。
 奥山 まず、症状を正しく理解することが重要です。暑さで倒れてしまうことが熱中症だと思われがちですが、めまいや頭痛、吐き気といった段階からすでに注意が必要です。

 そのうえで、こまめな水分・電解質補給はもちろん、暑さを避けることや、身体を適切に冷やすといった行動が重要になります。

 ──どこを冷やせばいいのですか。
 奥山 手軽にできる方法としては、手掌、つまり手のひらの冷却が挙げられます。手のひらには血管が多く、効率よく身体を冷やすことができるため、子どもたちのスポーツ現場などでも水に浸すような指導が行われています。

 また、流動性のある氷状飲料である「アイススラリー」は、身体の内側から冷却できる方法として注目されており、暑熱環境下の労働やスポーツなどで、活動前に身体を冷やす「プレクーリング」にも活用されています。

 ──改めて、御社のポカリスエットが熱中症対策になる理由は何ですか。
 奥山 汗をかくと、水分だけではなく電解質(イオン)も失われてしまいます。ポカリスエットは、発汗により失われた水分と電解質をスムーズに補給できる健康飲料で、体液に近い成分を適切な濃度で含んでいるため、すばやく吸収されます。

 なお、夏場の熱中症予防対策として、厚生労働省などにおいて水分だけでなく塩分を合わせて摂取することが推奨されていることから、全国清涼飲料連合会では「熱中症対策」として表示できる飲料の範囲を明確にしています。また、日本スポーツ協会では、運動時に補給する飲料として、0.1~0.2%の食塩[食塩相当量が0.1~0.2g(100ml中)]と糖質を含んだものを推奨しています。

(7月8日公開の後編に続く)

(写真・山本倫子)

SDGsでメッセージ!

大塚製薬の事業は、「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」という企業理念のもとに行われています。その事業は、単に自分が良ければいいというものではなく、人々の健康に貢献したいというたくさんの人々の想いが、さまざまな製品や活動になって展開されています。私は大塚製薬の事業そのものがサステナビリティであると思っています。そんな想いを共有しながら、大塚製薬のこれからを一緒に盛り上げてくれる方、一緒にサステナビリティについて考えてくれる方、我こそは!という方、一緒に働けることを楽しみにしています。(高橋さん)

大塚製薬は製品開発を通じて蓄積してきたエビデンスを基盤に、人々のウェルビーイングに貢献することを大切にしています。社会に寄り添いながら、健康を支える仕事に興味がある方と、ぜひ一緒に取り組めればと思います。お会いできることを楽しみにしています。(奥山さん)

大塚製薬

【製薬】

大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、 未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、 人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。