SDGsに貢献する仕事

日本IBM

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日本IBM〈前編〉テクノロジーとコンサルの両輪でサステイナビリティー支援【SDGsに貢献する仕事】

2026年05月29日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」。第34回は外資系IT大手で、AIやハイブリッドクラウド、量子コンピューターなど最先端のテクノロジー力と豊富なコンサルティング実績をもつ日本IBMが登場します。サステイナビリティーをめぐる様々なビジネス上の課題に対し、テクノロジーとコンサルティングの両輪で解決策を考えていく日本IBM。最新の技術を理解しつつ、クライアントの要望にも応えていく資質が必要といいます。特にサプライチェーンの部門でサステイナビリティービジネスに携わる社員2人にくわしく話を聞きました。(編集長・福井洋平)

【お話をうかがった方のプロフィル】
日本IBM コンサルティングサービス事業本部 サステナビリティー・ビジネス推進 槇(まき)あずささん
新卒で入社以来、コンサルティング業務に従事。資源循環プラットフォームや製品カーボンフット・プリントの仕組み構築など多数の案件に携わる。社内において介護コミュニティー立ち上げなど自社のサステナビリティーにも挑戦中。

日本IBM コンサルティングサービス事業本部 サステナビリティー・ビジネス推進 関貴大(せき・たかひろ)さん
新卒で入社後、サプライチェーン領域における業務改革・システム導入プロジェクト等を経て現職。学生時代は環境資源工学を専攻し、卒論テーマは「米のもみ殻を活用した新素材の創出」。

部署横断で課題をクロスし解決策を考える

■日本IBMのサステイナビリティービジネス
 ──まず、御社が手がけているサステナイビリティー・ビジネス、中でもお2人の活動内容について教えてください。
 槇あずささん 私たちが手がけているサステイナビリティー・ビジネスには、コンサルティング部門、テクノロジー部門、リサーチ部門があります。コンサルティング部門はグリーン、環境分野でお客さまをサポートするビジネス、中でもやはりCO₂を削減しカーボンニュートラルへ対応すること、そして適切に資源を循環させていくことをお客さまと一緒に実現していくサポートが重要と考えています。

 日本は資源小国で、経済安全保障の観点からも資源を循環させ、大事に使わないといけません。その中で私たち2人が強みにしているのは、サプライチェーン(原材料から製品販売までの一連の流れ)全体をとらえたコンサルティングです。たとえば、製品の製造過程でどのようにCO₂が出ているのか=カーボンフットプリントはどのぐらいなのかを世の中に提示して、「カーボンフットプリントを提示している企業のものを買おう」と社会の関心度を上げたり、どうしたら削減する努力ができるのかをお客さまと一緒に考えていったりするサポートをしています。

 また、ペットボトルや食品トレイ、家電製品など法律が整備されているものは資源が循環できていますが、それ以外のものは基本的に使いっぱなしという状態になっています。私は、将来的にはゴミをゼロにできるようなサプライチェーンをどう作っていくかも考えています。さらに、再生できる材料がいつどこでどれくらい調達できるか把握するのが難しく、生産工程に入れることが難しい。ここを把握できるように、トレーサビリティーをとって可視化し、再生材をきちんと使えるサプライチェーンを構築していくということも支援しています。

■サステイナビリティービジネスの仕組み
 ──御社はいつごろから、サステイナビリティー関連のビジネスに力を入れるようになったのですか。
 槇 お客さまからの要望が目立つようになってきたのは2019~2020年ごろだと思います。グローバル全体でもサステイナビリティーが企業の一つの課題になってきて、そこに対して私たちはテクノロジーの観点からご支援できるのではないかということを考えるようになりました。

 サステイナビリティーと一言でまとめるのは簡単ですが、サステイナブルを実現するためにはファイナンス、サプライチェーン、人事などすべての業務がサステイナブルになるべきです。私たちはすべての業務にテクノロジーを活用するように、すべての業務にサステイナビリティーの観点を入れていくべきだと考えています。そのためサステイナビリティー専門の部署を作るのではなく、サプライチェーンにもサステイナビリティー担当がいる、ファイナンスの中にもサステイナビリティー担当がいる、業界別のチームにも担当がいるという形にして、そこに横串としてバーチャルチームのようなものをつくり、全社的に推進ができる体制にしています。

 私はサプライチェーンの担当をしながら、そのタスクフォースのリーダーをしています。横串を通すと、調達部門だとこういう課題がある、製造部門だとこういう課題があると、それぞれの部門から上がってくるサステイナビリティーの課題をクロスしてソリューションを一緒に考えます。そうすることで、お客さまの課題が解決できるようになるのです。

いろいろな会社と向き合う調整力が必要

■サプライチェーンとサステイナビリティー
 ──サプライチェーン特有のサステイナビリティーの課題はどういうものがありますか。
 槇 2つあります。1つは、CO₂の削減。製品やサービスのライフサイクルの中で、どのぐらい、どこにCO₂、水、廃棄物が出ているのかを可視化して、対応していく。製品自体にカーボンフットプリントをつけて、世の中にちゃんと示していくという課題がありました。特に、欧州の規制が関係する自動車業界からの要望は早かったです。

 もう1つは資源循環です。プラスチックなど、現状ではまだ十分に資源循環ができていない素材もあります。テキスタイル類、たとえば我々が着る洋服なども、現状は使い捨てが大半を占めており問題となっています。将来、製品に再生材料を入れていくことが当たり前になっていく中で、再生資源がなければ、モノづくりの技術があっても他の国から高い再生資源を買ってきてモノづくりをすることになりとても太刀打ちできません。資源をいかに循環させて、日本のモノづくりを強くしていくかということが課題です。

■共創関係と調整能力
 ──サステイナブルビジネスは、従来のコンサル業務とは発想を変える必要がありましたか。
 槇 基本的に一緒です。ただ、1企業だけに向き合うのではなく共創関係のなかでいろいろな会社と向き合うので、調整する力量は問われるなと思いました。

 たとえば資源循環の観点から見ると、鉄を採掘して鉄を作る素材メーカー、加工するメーカー、サプライヤーのように部品を作る会社があります。それが製品に組み込まれてメーカーで最終製品になって、ユーザーがいて、それを回収してくれる人がいて、解体してまた再生材に戻してくれる人がいます。サプライチェーン上の企業はすべて違いますし、日本国内だけでもありません。さらに業界や企業によってサプライチェーンの川上(素材側)が強い、川下(最終製品側)が強いという違いもあります。サプライチェーンに関わる人たちがみんな「ちゃんと循環させよう」となってくれないと、資源循環はどこかで止まってしまいます。どういう取り組みをすれば循環をうまく回せるのか、関わる企業にどのようなメリットが生まれるのか、新しい視点で物事を見たり、新しいアイデアを考えたりしていくことは1企業のコンサルをするのとはまた違う醍醐味があります。

3Dスキャナー使い体の採寸ができるように

■槇さんのお仕事
 ──槇さんは、サステイナビリティービジネスにかかわるようになったのはいつからですか。
 槇 2019年ごろからこのビジネスにかかわり、2023年からリードをするようになりました。

 学生時代は法学を専攻し、2008年に新卒で入社しました。ERPパッケージ(会社の基幹業務を一元管理するソフトウェア)導入やコグニティブ・コンピューティング、今で言うAIやウェブアプリケーション、モバイルアプリケーションなどのスクラッチ開発に携わってきました。そのなかで、複数の会社で共創し新しいサービスを作るような仕事が増えてきたのです。みんなで仲良く一緒に何かサービスを共創していくとなれば、サステイナビリティーの分野、サプライチェーンの分野でもどうしてもつながっていかなければいけないということが多くあります。そういった中でプラスチックの資源循環プラットフォームなど、多くの会社がかかわるプラットフォームビジネスを立ち上げた経験をいかし、サステイナビリティービジネスにも携わるようになりました。

 ──現在のポジションは希望されたのですか?
 槇 私自身の希望もありますが、会社がサステイナビリティービジネスを推進するにあたり、「経験者がいい」と判断したこと、また私が社内で女性活躍推進や介護のコミュニティーを立ち上げ、企業をサステナビリティーにしていく取り組みをしていたことから、現在のポジションに就くことになりました。
■槇さんの印象深い仕事
 ──これまで、槇さんが印象深かった案件を教えてください。
 槇 たとえば、衣料品メーカー様との取り組みがあります。男性には分かりづらいかもしれませんが、女性はインナーを買うとき、試着室に入ってサイズを計測されます。でも、店員さんに服を脱いで計測されたくない人もいらっしゃいます。かといって採寸しないでサイズの合わないインナーを長時間つけていると身体の負担となります。

 そこで新しい店舗を作ろうと考え、3Dスキャナーを使って自分1人で体のサイズが計測できるようにしました。自分の体形をチェックしながらスポーツトレーナーに「この部分を鍛えたい」と相談できるようにもなります。AIを活用して、好みの色や付け心地も相談できます。インナーを売るだけでなく、個人の美しさに寄り添う企業を一緒に創っていくことができました。このプロジェクトはクライアントのほか、3Dスキャナーの会社、基幹システムやモバイルアプリケーションの会社、そして我々と複数社が組んで新しい価値を世の中に提供する共創の取り組みで、すごく楽しい経験でした。

 サステナビリティーの案件においては、大手化学メーカー様と、プラスチックを資源循環させるためブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティープラットフォームを構築しました。恥ずかしながら、私はプラスチックが捨てられた先にどうなるかを実際に見たことがなく、お客さまと一緒に回収業者や解体業者の作業、再生材メーカーの製造工程を目の前で見せてもらいました。回収業者や解体業者にはどんな設計や素材でつくられているかという情報提供がされていないこともあり、ときには危険な素材が使われていることもあります。そうした情報の連携がないまま資源循環を回そうとしても無理があるので、現場の問題を一つひとつクリアして、資源が循環される社会を作っていく必要があるという難しさとやりがいを教えてもらいました。

コンサルティングから保守管理まで

■日本IBMのお客様ニーズへの関わり方
 ──サステイナビリティーに関するお客さまのニーズに対して、日本IBMはどういう形で関わるのでしょうか。
 槇 2つあります。1つは「レポーティング(データ収集、分析)をしたい」といった、明確なニーズがある場合です。この場合は、ツールとして弊社のテクノロジー製品を紹介したりします。

 もう1つは先ほどのように、たとえばプラスチックをたくさん排出している会社から「何とかしなければいけないけれども、どうしたらいいと思う?」といった漠然とした相談を受ける場合です。こういうときは、どういうサービスが考えられるか、まずはコンサルティングから入ります。原材料メーカーはグローバルでどういう動きをしているのか、今後の社会に求められる原材料メーカーとはどういうものなのかを一緒にディスカッションしたり、調査したりしながら、やるべきサービスを一緒に定義していきます。

 ──日本IBM側は何人ぐらいのチームを組むのですか?
 槇 フェーズごとに人数が変わっていきます。最初は1~2人で、相手のスタッフさんと互いに壁打ちし、「こういう社会になるといいよね」と夢を語り合いながら形にしていきます。ここはけっこう苦しい作業で、みんなで頭に汗をかきながら進めていきますね。「ここはテクノロジーで本当に実現できるのか実験してみよう」となると人数が増え、社会実装しよう、本格稼働させようとなると、また人数が増えます。

 ──コンサル業界はさまざまな会社がありますが、クライアントが御社を選ぶ理由は?
 槇 やはり一番の強みは、エンド・ツー・エンドで支援できることだと思います。コンサルティングから始まり、テクノロジーを活用したソリューションを一緒に考え、デリバリーして、保守運用まで当社で行うことが可能です。

 それから自分たちで製品を持っていますので、お客様が改修をしたいと希望されたときはアドオンをプラスすればいいのか、それとも製品を変えるべきか、的確に判断できます。そして、様々な業界に対して圧倒的に知見を蓄積しています。我々はBtoBのビジネスですので、ひとつの業界についてよく知っている人が何千人も国内外にいて、日本にない事例は海外に聞くこともできます。この3つが大きいと思いますね。

インプットだけでなく、アウトプットできる資質

■関さんのお仕事
 ──関さんは何年入社ですか。
 関貴大さん 私は海外留学を経て2019年の秋に新卒で入社しました。入社当初からサプライチェーンの部署にいて、サステイナビリティーをメインで担当するようになったのは今年からです。もともと昔からサステイナビリティーや環境に興味があり、自分で手を挙げました。横串でサプライチェーン全体を見ていますが、自分のメインの担当は自動車などの製造業です。サステナビリティーを考える上でサプライチェーンは欠かせない要素であり、現在はサプライチェーンの知識・経験を踏まえサステナビリティーのプロジェクトを推進しています。

 ──サプライチェーン部門に配属されて、印象に残っているお仕事はありますか。
 関 一番印象に残っているのは、自動車業界の需要予測のプロジェクトです。グローバルな会社だったので、海外で素材を加工して部品にし、部品を組み立てて製造、それを世の中に出していくという一連の流れがあります。調達拠点、製造拠点、販売拠点がいずれもグローバルという中で、どれくらい需要があり、どのように需要を予測し生産計画を立てるとムダな生産や在庫を削減することができ、結果的に廃棄が少なくなるのか。一方で、廃棄物が少なくなったとしても、在庫が足りなくなると売れなくなって機会損失になってしまうので、そこのバランスをいかに適切にしていくか機械学習を使って考えるというプロジェクトでした。そのあんばいをお客さまにヒアリングし、グローバルで最適な配置を考えつつ、一番良いモデルにしていくというプロジェクトで、一緒に考えて何かを作り上げるというのが印象的でした。
 ──関さんはどういうポジションで関わったのですか。
 関 コンサルタントのメンバーとして参画しました。お客さまと直接お話をして、どこに課題があって、どのように何を実現したいのかをヒアリングします。さらにデータサイエンティストと共同して、どういうデータを入力してどういうモデルを作っていくかを考えていきます。お客さまの要望に合って、課題を解決できるものを作るための調整役でした。

 ──関さんがやっている仕事は、どんな資質が必要だと思いますか?
 関 新しいことを知りたいという意欲と、それを適切に表現できることが重要だと思っています。日々新しいテクノロジーが出てきて、それを触れる環境にいるので、興味を持ってどんどん触って実践をしていきたいという意欲と知的好奇心が必要です。

 一方で、知識をインプットだけしても使えなければ意味がないので、適切に実践、アウトプットができ、お客さまや社内のメンバーと共にコミュニケーションできることも資質として重要かなと思っています。

最新のAI技術を知り、顧客のニーズをとらえることが重要

■AIによる開発
 ──サステイナビリティーの方に来られて、まだ数カ月ですね。
 関 所属チームとしてはそうですが、もともと興味がありサステナビリティー関連のプロジェクトや社内活動に参加してきましたし、先ほどの需要予測のプロジェクトも広い範囲でサステイナビリティーだと思っています。適切な需要予測をすることで在庫の廃棄を削減したり、エネルギー効率を良くすることでCO₂の排出量を減らしたりできるという観点でも、入社当初からサステイナビリティーには関わってきたと考えています。

 ──サステイナビリティー関連で今手がけていることを教えてください。
 関 AIを活用して、各企業の最新の法規情報を取得し、ユーザーの役割・責任に応じてそれをサマリーするAIアセットを開発しています。

 たとえば、この国でこのEVを販売するが、使われている素材が他の国から来る素材だという時、その国の原料を取る地域の法律、それを販売する地域の法律、さらに輸出をされた販売先での法律、それぞれに対応していく必要があります。その時に各企業の担当者は、その法律に適切に製品やサービスが対処できているかをいちいち確認しないといけません。そこの工数をうまく削減するためのAIです。法律はグローバルで日々アップデートされているので、最新の法律に自社の製品やサービスが対応できているのかが効率的に分かるAIサービスの開発をしています。
 ──必要な技術レベルはどのぐらいですか。
 関 まず最新のAIでどんなことができるのかを知っている必要があります。そもそもお客さまからどんなニーズがありそうか、それを解決するためにどんなことができそうなのかを想像し、キャッチアップできる資質も重要かなと思います。それに加えてお客さまが何を必要とされているのか、何が課題で、どのことを実現したいのかを引き出せることも大切です。

 ──今、関さんが感じているハードルは?
 関 アウトプットの質をどのように高めていくのか。それがお客さまのニーズにしっかりと応えられているのかが、一番の課題です。見た目や操作性は後からいくらでもきれいに変えられますが、アウトプットの質がしっかり担保されていないと、使い続けることができません。しっかりアウトプットしていくために、AI自体の開発をしていく。そのためにはインプット情報で何を入れるべきかをお客さまとやりとりをする必要があるというのが一番、難しいことです。

 AIだとハルシネーションみたいな形で、勝手にうその情報をそれっぽく言ってしまいます。出力する情報がお客さまにとって必要な情報になるよう、しっかり担保していく必要があると思います。

(後編はこちらから

(写真・大嶋千尋)

SDGsでメッセージ!

(槇さん)世界をよりよく変えていくカタリストになる。これがIBM のパーパスです。
カタリストになるとは触媒になるというだけではなく、変化を起こし、イノベーションを起こす、そして世界を変えていくリーダーになっていくという人です。 我々の会社は公平でインクルーシブな企業文化です。そんな中、どんな人と働きたいですか?

(関さん)やはり好奇心旺盛な方と一緒に働きたいなと思います。世の中に一緒にインパクトを与えていける人、そんな人と一緒に働きたいと思います。また、いろんな人とのコミュニケーションを通じて、いろんな学びも得られるので、コミュニケーション好きな方、好奇心旺盛な方、ぜひ入ってください。

(槇さん・関さん)待ってまーす!

日本IBM

【IT】

日本IBMは、175カ国以上で事業を展開するグローバル・テクノロジー企業であるIBMコーポレーションの日本法人です。世界最先端の研究開発力、深いコンサルティング知見、そしてITシステムの設計・開発から運用・保守にわたるエンドツーエンドの製品・サービスの提供を通じて、お客様の企業変革とデジタル・イノベーションの加速を支援しています。