SDGsに貢献する仕事

伊藤園

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伊藤園〈後編〉世界のティーカンパニーめざしていく【SDGsに貢献する仕事】

2026年05月07日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」の第33回。「お~いお茶」ブランドで知られるお茶飲料業界のパイオニア、伊藤園の後編をお届けします。荒れた農地を茶畑に生まれ変わらせるなど、お茶を基軸にサステナブルなビジネス環境作りに取り組む伊藤園。若手のうちから大きな責任をもって事業をすすめられる風土があるといいます。社員の2人に、伊藤園で働くやりがいや働きやすさについてもじっくり聞いてきました。(編集長・福井洋平)

【お話をうかがった方のプロフィル】
サステナビリティ推進部 GX推進課 グループリーダー 庄司翼(しょうじ・つばさ)さん(写真左)
2012年法政大学社会学部卒業、同年伊藤園入社。営業、官庁出向を経て2025年より現職。

サステナビリティ推進部 GX推進課 榊有裟(さかき・ありさ)さん(写真右)
2023年関西大学政策創造学部卒業、同年伊藤園入社。入社当初より現職。
(前編はこちらから

行政、農家と手を組み荒廃農地を生まれ変わらせる

■新産地事業
 ──前編では、御社が取り組んでいる「茶産地育成事業」についてうかがいました。一から茶畑をつくることもされているそうですね。
 庄司翼さん そうですね。「新産地事業」といって、例えば地元の事業者などが主体となって、自治体等と協力しながら荒廃した農地を茶畑に生まれ変わらせる取り組みです。2001年から、宮崎県の都城地区ではじめました。ちなみに都城市とは2025年8月より、資源循環についても協定を結び、茶産地の振興とともに、ペットボトルの資源循環についても協力しています。都城市内で集められたペットボトルは、すべて伊藤園製品に生まれ変わっています。

 ──大変な取り組みではないですか。
 庄司 農業も高齢化、後継者不足という課題があり、荒廃農地という誰も手入れができなくなった土地や農作物を育てた畑が放置されるケースがあります。それを地元の行政と事業者が、茶畑につくり替え、茶生産のノウハウを伊藤園が全面的に提供しているのです。雇用の創出にもつながりますし、高齢化、後継者不足がネックというところでも、私たちの技術やノウハウを提供することで参入のハードルを下げられます。

 ──荒廃している土地に、新たにやって来る人はいるのですか。
 庄司 たとえば、もともと建設業をしていた事業者は開墾が得意ですが、それを活かす形で、茶農業に参入いただいたケースもありました。そうした協力関係を築けるようになったことは、画期的だと思います。

 ──直接、農家とやり取りされることはどれくらいありますか。
 庄司 我々が進めているTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures 自然関連財務情報開示タスクフォース)を開示していく際に、農家のみなさんがどのような取り組みをしているか、担当部署を挟んでヒアリングしたり、年に一回ほど産地の事業者に対し、我々からの方針を伝える会議がありますので、そこで我々の方針を説明したりするなどの接点があります。
■茶殻リサイクル
 ──2001年からは「茶殻リサイクル」もはじめられたそうですが、どういったものにリサイクルされているんですか?

 庄司 紙製品や畳製品、人工芝の下のチップの部分、消臭・抗菌効果のある吸音パネルなどに茶殻をリサイクルしています。

 「お~いお茶」は急須でお茶を淹れるように茶葉から抽出しているため、製造過程では、茶殻が排出されます。茶殻は湿ったままだと腐ってしまうのですが、水分を含有したまま茶殻の腐敗を抑え、輸送・保存・製品に配合する技術を確立しました。畳に使う建材に茶殻を練り込むことによって建材の使用量を下げたり、代替品として茶殻を使うことによって限りある資源をより有効活用したりしようと取り組んでいます。

 ──名刺にも、茶殻が入っているのですね。
 庄司 香ってもらうと、茶殻の匂いがしっかりしますよ。

自販機1台1台を店としてとらえる

■庄司さんの社歴
 ──庄司さんは何年入社ですか。
 庄司 2012年入社です。最初はルートセールスから入り、その後は2016年にできた東京オリパラ開催年を見据えてコーポレートブランディングを推進する部署に配属され、その後、文化庁などへの出向を経て、今のサステナビリティ推進部に2020年に戻りました。

 ──ルートセールス時代は、どの地域を担当されていましたか。
 庄司 最初の配属は東京にある品川支店で、品川区、港区、目黒区、大田区の一部というエリアでした。その中で私が担当していたのが品川駅の港南口から天王洲アイル、品川シーサイド、五反田あたりまでのエリアです。最初は自動販売機ルートの営業から入り、エリア内に設置している自動販売機約85台を担当し、毎日回って、フォローしてという営業をしていました。

 ──毎日回るのですか?
 庄司 基本的に毎日です。あとは自動販売機の新規営業もしていました。

 売上はやはり量販店とかドラッグストアが大きいのですが、ルートセールスは地域に根差した営業です。自販機 1台をお店として捉えて、その拠点の営業員が販売計画やディスプレイ陳列、メンテナンス、横のリサイクルボックスから空き容器の回収、訪問計画も担当者一人ひとりが組んでいます。

 自動販売機のルートセールスに3年携わったあと、一般店のルートセールスを担当しました。お店に訪問して、実際にうちの商品を売ったり、新商品が出たら案内したりという商談をする仕事です。

 その後、5年目からコーポレートブランディングを推進する部署にうつり、半年後に文部科学省に出向して東京オリンピックパラリンピックに向けたキックオフイベントなどの取り組みに携わりました。その後一度同部署にもどったあと、文化庁に出向したという流れです。

 ──ルートセールスは全国に何人ぐらいらっしゃるんですか?
 庄司 約3000人ぐらいですね。営業員が乗っている車両の数が3000台ぐらいあります。

足しげく通って課題聞き出し新規開拓

■ルートセールス
 ──ルートセールス、特に自動販売機を回るとき、どういったことに気をつけて仕事をしていましたか?
 庄司 我々は自動販売機をお店として捉えています。そこにどれだけ真剣に向き合えるか。売れているのか、売れていないのか。売れるためにはどういったことをすべきかを真剣に考えていました。

 ──自動販売機が売れるためには、どういうことをするんですか?
 庄司 いくつかありますが、やはり、きれいさが大事です。リサイクルボックスがあふれているだけで、心理的に買いにくくなりますので、見た目のきれいさと周囲の清潔さは大事にしています。今は営業員全員が拭き掃除やシールを剥がすスプレー、落書きを消すためのスプレーといった掃除セットを用意して、自販機を清潔に保っています。

 ──地域によって自販機の売れ方は違うのですか?
 庄司 そうですね。東名阪の人が集まるところは外でも、オフィスの中でもけっこう売れると聞いています。逆に地方や郊外では車を停められるようなところにポツンと置いてある自動販売機も売れると聞いています。

■新規開拓
 ──新規開拓はどのようにされるのですか?
 庄司 自動販売機は目立つ場所、売れる場所に置きたいので、オーナーのところに足しげく通ってコミュニケーションを取り、自販機の設置ができるとやりがいを感じます。

 ──ご自身の経験はありますか?
 庄司 ある駅前のたばこ店にはすでに他社の自販機が設置してあったのですが、そこに1年ぐらい通い、ようやく先方から自販機に関して清潔度や回収頻度が足りないなど、課題があることをうかがえました。それらを一つひとつ解消していくことで、ようやく自販機を入れ替えることができましたね。

 ──ルートセールスで身についたもの、学んだことはありましたか。
 庄司 自分で考える力が身についたと思います。ルートに出てしまうと、上司や同僚と一緒に営業するわけではありません。どうしたら売り上げがつくれるか、どうしたら新規営業が行えるかという課題を自分で考えて、解決していく力が必要になったからだと思います。

お茶文化を世界に広げる仕事も

■文化庁での仕事
 ──文化庁にもいらっしゃったのですね。
 庄司 はい。ちょうど弊社がお茶を日本から世界に広げていこうという目標をより一層強く掲げたタイミングでした。東京オリパラという世界の注目が日本にあつまる絶好の機会に、どのようにしてお茶を世界に広げていけるか、という施策を文化庁の中で一緒に企画立案し、実際に動いていました。伊藤園という名前が出なくても海外から来られた方、あるいは国内にいる方々も含めて、日本茶の魅力というものを発信して、広げていく仕事に取り組んでいました。残念ながら新型コロナの影響で東京オリパラが一年延期になったこともあり、開催前に出向先から帰任しました。

 ──オリンピックに4年ぐらい関わられて、思い出に残る仕事はありましたか。
 庄司 2016年に政府が東京オリンピックパラリンピックのキックオフイベントをしたときに関わり、WEFのクラウス・シュワブ元会長やIOCのトーマス・バッハ元会長にお目にかかったことは印象に強く残っています。

 ──伊藤園としてはお茶文化を広めるということでは、どういった成果、手応えを感じましたか。
 庄司 キックオフイベントで我々のお茶を「呈茶」する機会を頂戴しました。伊藤園という文字は伝わらなくても、お茶を通じた日本文化の魅力を伝えられたと感じました。
 ──お茶文化を広めるには、何が必要だと思いましたか。
 庄司 当初は単純に、飲んでもらって魅力が伝わればいいと思っていましたが、お茶の苦み、渋みを生臭さと感じられる外国の方も多くいらっしゃいました。我々が良い魅力だと思っている部分が、海外の方にとっても同等にいいわけではないと分かりました。

 ──そこをどう解決したのですか。
 庄司 我々は温かいお茶を勧めようとしましたけれども、水出しのように甘みが際立つお茶のいれ方をすることによって、海外の方にも好んでいただけました。サーブするときも「みなさんのことを思い、本日のお茶をご用意しています」と伝えることで、受け入れられるようになったのかなと思っています。飲んでいただいて、「It tastes good」という反応をいただけたときは、よかったなと思いました。

■仕事の切り替え
 ―─現部署で印象深かったお仕事は?
 庄司 榊が入社した当時、私はGHG算定の立ち上げのグループにおりました。算定をどうするかというロジックをつくったのですが、それをグループに拡げていくときに、各社各様の事情があるため「全部これで、一律でお願いします」とはできませんでした。そこを榊にも入ってもらい、一つひとつ解決していって、今ようやくこの形になったというのは達成感があります。

 ──幅広い仕事にかかわられていますが、ご自身のなかでの切り替えはうまくいかれたんですか
 庄司 切り替えをした記憶はあまりないですね。「お客様第一主義」という考えのなかで、今のお客様をどなたであると考えるかだけかなと思っています。いま、我々のお客様がグループ会社のみなさんであるだけで、もともとはB to Cでお客様が消費者でしたし、その次はB to Bになり、今でいうと社内、グループ会社になってきたという認識です。

自分の可能性広げられる会社と感じた

■榊さんの就活
 ──榊さんは就活のときはどういった業種を見ていましたか。
 榊有裟さん 私は人々の日常生活を支えたいという思いから、食品・飲料メーカーを中心に就職活動を進めていました。就職活動の軸は大きく2つです。まず一つが経営理念、企業理念に共感できるかといった点でした。伊藤園は「お客様第一主義」を経営理念に掲げており、これが商品開発、品質管理、営業活動のすべてに一貫されている点に魅力を感じていました。

 もう一つの軸は、自分の可能性を広げ続けられる環境があるかどうかでした。伊藤園は実力主義で、事務職でありながらも入社直後から会社の中枢業務に携わることができるところに魅力を感じました。また、伊藤園には「Voice制度」という部署、職種に関わらず社内の誰もが商品提案ができる制度があり、配属部署に関わらずマーケティングの知識を活かせます。この会社であれば自分の努力次第で、可能性を無限に広げられる環境だと確信しました。

 ──この会社を選ばれた決め手は?
 榊 最終的な決め手は、面接での対話です。最終面接の際に「あなたはこの会社で何がしたいのですか?」と問われ、「マーケティングの知識を活かして、お客様を第一に考えた商品を世に広く伝える仕事に貢献していきたいです」と伝えると、「それは素晴らしい、ぜひ一緒にやっていこう」と非常に前向きに受け止めていただけました。この会社であれば自分の想いを真剣に聞いてくれる、可能性を信じてくれると確信し、入社を決めました。

■庄司さんの就活
 ──庄司さんは就活のときはどういったところを見ていましたか。
 庄司 もともと私は社会学部の出身で、メディア系を中心に見ていました。ただそのころに東日本大震災を経験し、製造業が直接的に被災地の支援をしているのを目の当たりにして、かなり軸が変わり、そこから製造業を受けたと記憶しています。

 ──最終的に伊藤園に入社を決めた決め手は。
 庄司 最後は人で決めました。当時の採用部長や採用課長と話す機会がありましたし、今の私の上長である課長は当時の採用部署のメンバーの一人でした。そうした縁にも恵まれていて、人で選んでよかったと思っています。

若手でも裁量をもって働ける

■伊藤園の働きやすさ
 ──会社に入られて、働きやすさは感じることはありますか?
 榊 若手でも、大きな裁量を持って業務に取り組める点です。性別や世代に関係なく、広く業務を任せてもらえるので、3年目である現在、グループ全体の環境戦略に携わり、経営判断の材料となる分析や提案も担当しています。若手のうちから責任ある仕事を任せてもらえる環境は成長実感も多いく、非常に働きやすいです。

 庄司 やりたいことを、信念を持って強くやると、ちゃんと応援してくれる人が社内にいるところだと思っています。そうした方々と一緒に仕事ができることは、やはり入ってよかったかと思うところです。

■伊藤園でのやりがい
 ──伊藤園で働くやりがいを教えてください。
 榊 大きく2つあります。一つ目は、会社の持続的成長と社会貢献が両立できることです。グループ全体の脱炭素の取り組みは、100年企業を目指す伊藤園の持続可能性を高めると同時に、気候変動対策という地球規模の課題解決にも直接貢献します。日々の業務が、未来世代のためになっているという実感が大きなやりがいにつながっています。

 二つ目は、若手でも大きな裁量を持って働けることです。実際に入社2年足らずで、企業としてのSBT認定取得に貢献し、今年度は水素燃料電池自動車(FCV)の導入を経営層に提案して実現しました。2、3年目から環境プロジェクトのコアメンバーのような存在としてグループ全体の戦略に関われる。期待以上のチャンスをいただける環境は私にとってのやりがいです。

 庄司 我々は、世界のティーカンパニーに向けて、より一層グローバルに進んでいいきます。ただ、それだけではなく、足元の国内でも同様に市場を広げていくという使命がありますので、世界で戦える人材もそうですし、国内で戦える人材も一緒に両輪でやっていけるというのが、我々のやりがいだと思っています。

(インタビュー写真・山本倫子)

SDGsでメッセージ!

 これから就職活動をはじめられるにあたって、いろいろと大変で、気になることもあるかと思います。ただ、これからの人生を自分で唯一決めていけるのが新卒だと思っています。その中で、伊藤園で一緒に働けるような、お付き合いができたら、私としてはとても嬉しいと思っています。これから最終的に様々な選択肢からそれぞれの道を選ばれると思いますが、我々伊藤園としては製品でお会いする機会もあろうかと思いますので、いろんなところで我々との接点を持たせていただければと思っています。(庄司さん)

 就職活動は終わりが見えなくて、周囲と比べて焦ってしまうこともあるかと思います。ですが、焦ると自分が本当にやりたいことを見失ってしまいます。今回のテーマにもある SDGs は、「すべての人にとってのより良い未来」を目指すものです。だからこそ、まずは「自分にとってより良い未来とは何か」を追求してみてください。誰かにとってのより良い未来を、世界のティーカンパニーを目指す伊藤園で共につくることができると嬉しいです。お待ちしています。(榊さん)

伊藤園

【飲料】

 当社グループは「お客様第一主義」の経営理念のもと「お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会を実現すること」を社会における使命として、日本のお茶が持つおいしさや価値を幅広い世代のお客様に提供しております。今後も、長期ビジョンの「世界のティーカンパニー」の実現に向け、「お~いお茶」ブランドを世界に広め、世界各地域の茶文化と繋がり、日本をはじめとする世界中のお客様の健康で豊かな生活に貢献してまいります。