SDGsに貢献する仕事

JTB

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JTB〈後編〉感動のそばにいつもいる仕事【SDGsに貢献する仕事】

2026年03月04日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」の第32回。創業114年の歴史を持つ旅行会社最大手のJTBの後編をお届けします。市場に出回らない魚をメイン食材にした食堂「クセモノズ」運営、廃棄される野菜をつかった缶詰「ロス旅缶」開発……。「なぜJTBが?」と思ってしまう事業に社員が力を注ぐ背景には、JTBに息づくサステナビリティへの思いがあります。JTBで働くやりがい、働きやすさについてもじっくり聞きました。(編集長・福井洋平)

【お話をうかがった方のプロフィル】
高松支店 観光開発プロデューサー 山田裕木(やまだ・ゆうき)さん
2008年龍谷大学経営学部卒業、同年JTB入社。大阪、広島、上海を経て2013年に高松支社、2023年に観光開発プロデューサーに。

ビジネスソリューション事業本部 第三事業部 営業第三課グループリーダー 小糸美鈴(こいと・みすず)さん
2016年中央大学総合政策学部卒業、同年JTB入社。東京で法人営業を経験し、2021年より社内新規事業開発組織である未来創造部会兼務に。
(前編はこちらから

JTBがハブになりパートナーをつないでいく

■新規事業開発
 ──前編では小糸さんが担当されている、規格から外れた野菜を使った缶詰「ロス旅缶」についてうかがいました。缶詰づくりはJTBの事業の1つである旅行業とは種類が違いますが、こういった事業をできる枠組みが社内にあるのですか。
 小糸美鈴さん 私が所属するビジネスソリューション事業本部には新規事業開発組織があり、そこにコロナ禍後の2021年「未来創造部会」という部会ができました。そこで「規格外の野菜を使った缶詰をつくってみたい」と私が手を挙げ、第1弾としてできた商品が「ロス旅缶」です。
 JTBにはそれぞれの事業ごとに新規事業開発プログラムがあったり、JTBグループ全社員を対象とした「JUMP!!!」という事業アイデアコンペティションがあったりします。未来創造部会に関しては投資もつけて形にするというところから始まっています。一年以内に事業化をして、3年目までに単月黒字、5年目までには累損を解消するというお金の流れが決まっています。

 ──何をするか制限はないんですか?
 小糸 未来創造部会は基本的には「JTBのビジネスソリューション領域において、今後企業課題となるテーマを選定し、未来から逆算した思考で事業創造を行う」という枠はありますが、それ以外は大きく決まっていません。 
(写真はJTB提供)
■社内の説得
 ──さすがに缶詰をつくると言ったら「え?」という反応だったんですか。
 小糸 JTBは無形の商材を売っている会社で、そもそも物を持たない会社です。缶詰をつくることで在庫を抱えるリスクもありますし、食品はそもそもやっていない事業で、後発です。「本当にリスクがないのか」というところが課題でもあり、社内を説得するのは大変でした。

 ──どのように説得されたんですか?
 小糸 本当に一つずつ乗り越えていくという感じでした。在庫リスクはJTBの財務と連携して、「缶詰が残ったらどう売っていくのか」「在庫のコントロールはどうするか」を話し合いました。食品という観点では法務と「食のリスクがないような形でお客様に展開するには」「一緒につくっていくパートナーはどうするか」といった話をしました。私が法人営業の中では関わることが少なかった社内の皆さんと連携をしながら、一つずつ解決していきました。

 ──「なぜ、JTBがこれをやるのか」はどう説明されたのですか?
 小糸 規格外野菜は農家から直接仕入れることもあるんですけれども、観光の動線上である道の駅から仕入れたりもしています。道の駅を束ねている株式会社ファーマーズ・フォレスト という会社と話をして、道の駅と連携している農家で出ている 規格外の野菜を仕入れました。メニュー開発については、私たちはホテル、旅館とつながりがあるので、そこのシェフにメニューを開発していただき、JTB がハブになることによって、いろんなパートナーをつないで、つくることができた商品でした。
 第1弾の開発では、東京ドームホテルさんと連携しました。ちょうど東京ドームホテルさんもSDGs推進室ができたタイミングで、「会社としても何かSDGsに貢献できることを一緒にやっていきたい」と。話をしていく中で、シェフの方たちと「自分たちが毎日料理をしてビュッフェをだしているけれども、そこで毎日食材が残ってしまって、自分で廃棄しなければいけないのがいたたまれない」と思いが一致し、「ぜひ、メニュー開発も協力したい」というお声掛けをいただきました。

コース料理の一品として出してもいい味に

■開発時の苦労
 ──商品開発で一番苦労されたところは。
 小糸 もう、本当に苦労はいっぱいありました。メニュー開発という観点では、缶詰にする際に煮沸したり長時間煮たりすると、味が変わってしまう。酸味が飛んでしまって、なかなか思う味にならない……というところは、何度も何度も試作品をつくって、シェフの思いと同じ味に近づけていきました。シェフの方と試食会を開き、社内のメンバーや役員にも食べてもらいながら味を決めていきました。
 通常のツナ缶などはそのまま食べることは少なく、何かしらの調理をする必要があると思いますが、これは温めずに開けてそのまま食べられたり、防災食としても使えたりします。もう熱を加えずにおいしい食事として、東京ドームホテルのコース料理の一品として出しても問題がないような食品です。

 ──味以外にこだわられた点は。
 小糸 規格外の野菜や一部未利用魚を多く使っていきたいというところもテーマですので、少しずつ使える量を増やしました。野菜は賞味期限が短いので、例えば「カレーをつくろう」という時にトマト、人参などがいろんな野菜が同じ時期に規格外として出てくるとは限りません。トマトなら規格外野菜になったタイミングで粉末にして、その粉末をカレーのルーの中に入れるとか、さらに賞味期限を延ばせる工夫をしていますね。
 ──これは事業化されて何年ですか?
 小糸 事業開発としては3年目なので、今は会社からの投資はなく、基本的には売り上げの中から経費として使っていくフェーズです。ボランティアではないので、売上を上げて事業を継続すること自体もサステナブルです。これが1年、2年で終わってしまったとなると、結局また在庫が残り、SDGsではなくなります。この事業を継続させていくことそのものが持続可能性につながると考えています。

 ──この缶詰は主にどこで流通しているんですか?
 小糸 もともとの私の所属がビジネスソリューション事業本部なので、我々のB to Bの営業がこれを企業様のイベントのギフト、防災備蓄品、贈答品として販売をしていました。一般消費者の方からも「流通に出さないんですか?」「手軽に手に取って食べてみたい」という声をいただいて、B to C向けにも販売を始めました。今は池袋にある東武百貨店でも販売しています。

「食材が旅をする」絵本でも啓発

■「ロス旅缶」のネーミング
 ──値段はおいくらですか?
 小糸 700円~最大3,000円までラインナップによって価格が違います。スーパーに700円の缶詰と通常の缶詰が一緒に並んでいると、なかなか手に取ってもらいにくいですし、背景やストーリーが伝えづらいので、ちゃんと背景を伝えて、手に取ってもらえる百貨店を中心に置いていただいています。
 いろいろな地域でさまざまな規格外の野菜、未利用魚が出ています。最初はいろいろな地域から野菜を集めてつくったので、いろんな野菜や魚が旅をしてこの缶詰に集まってきたという思いを込めて「ロス旅缶」という名前にしました。

 ──なるほど、食材が旅をしているんですね。
 小糸 そうです。子ども向けに環境教育を分かりやすく伝えたいと考えて、ロス旅缶にまつわる絵本もつくりました。野菜や魚が旅をして集まってきて、最後に「ロス旅缶」の缶詰のステージでダンスをする。それを見ていたお肉も「僕たちも仲間に入れてよ」と言ってできたものが「ロス旅缶です」というストーリーになっています。この絵本は販売もしていますし、JTBで扱う「教育旅行」に組み込んで学生向けに講義をしたり、幼稚園などで紙芝居風に読んだり、パネルシアターで展開したりしています。

 ──小糸さんも山田さんもお二人とも食材を扱う事業なんですね。
 小糸 たぶん同じ思いをお互いに持っているシンパシーを感じますし、社内なので、連携できるかなと思います。

 山田裕木さん ぜひお願いします。
(ロス旅缶に関する社内記事はこちらから

学生時代の経験後押し、感動つくる仕事がしたい

■小糸さんの就活
 ──小糸さんは新卒で JTBに入られたのですか。就活のときはどういった業界を見ていましたか。
 小糸 けっこう幅広く見てはいたんですけれども、モノではなくてコトを売りたかったので、無形商材を売っている会社を中心に見ていました。
 交流をつくることや、地域の活性化にはもともと興味がありました。JTBに興味を持った一番のきっかけが、高校・大学時代に中央大学でチアダンスをしていたことでした。世界大会に出場したときのアテンドがJTBだったんです。JTBには「感動のそばにいつも」というブランドスローガンがあります。感動のそばにいたり、人の人生に関わったりする仕事をしたいと思いました。

 ──学生時代にJTBとつながりがあったのですね。
 小糸 初めての海外旅行でものすごく不安な中、しかもチームなので30人ぐらいで現地に行って踊らなければいけない状態でした。JTB のサポートチームの人たちのおかげで、本当に現地でいいパフォーマンスができ、力が発揮できました。こういう感動をつくったり、近くでサポートしたりする仕事ができたらいいなと感じました。

 ──面接ではどんなことを話しましたか。
 小糸 私が入社した時はJTBコーポレートセールスという、首都圏エリアで法人営業をする専門部隊のような会社があり、そちらで面接を受けました。なので、「営業はできますか?」「営業として何をやりたいですか?」「課題解決したいですか?」という営業職に関する質問が多かったです。今は統合されているので、採用の形は昔と変わっていると思います。

 ──JTBに決めた理由は何でしたか。
 小糸 JTBはいろいろな交流を生む、ハブになっていろんな会社や事業パートナーをつないだりすることで、社会課題を解決できます。自分も感動創出をしたい、サポートしたい、いろんな人の課題を解決したいという気持ちがあり、そこのハブになれる仕事に関わりたいと思ったので、最終的にJTBにしました。

 ──これまでに思い出深い仕事はありますか?
 小糸 スポーツ系に興味があって入社し、ずっとスポーツメーカーを担当させてもらいました。入社した2016年にリオオリンピック、2018年に平昌、2019年にラグビーワールドカップ、2021年が東京オリンピック、とずっとこのスポーツに関わる仕事をしてきました。直近ではパリオリンピックも1カ月間ぐらい現地に行って、アテンドをしました。

 ──パリに1カ月いながら、缶詰もつくっていたのですか。
 小糸 はい。欧米はサステナビリティの考え方がすごく進んでいて、オリンピックの期間中も本当に街の中にいろんなところに水道の蛇口があって、みんなマイボトルを持ち歩いて、水を飲んで、と日本ではあまり見かけない光景でした。皆さんがサステナブルな取り組みをしている、自分事化しているなという発見がありました。
 人を支えたり、選手を支えたり、お客様を支えたり。スポーツは「見る、する、支える」と言われるんですけれども、その3つの観点で営業をお手伝いできているのがすごく印象的で、本当に入社してよかったと思っています。

上海で飛び込み営業も経験

■山田さんの就活
 ──山田さんは2008年入社ですが、就活時はどういった業界を見ていましたか。
 山田 いろいろと受けました。自分の1つ上の世代は就職難だったんで「これはやばいぞ」と思い、もう無我夢中で受けまくれ、という感じでした。

 ──JTBを選んだ理由は何だったんですか?
 山田 もともとJTBはいいなと思っていました。自分が就活で言ったことをそのまま、わりと近い形でできるのが JTBだと思ったからです。

 ──どういうことを話していたのですか?
 山田 学園祭の実行委員長をしていた話です。実行委員会には委員が400人いるんですよ。多分、日本で一番多いと思います。学祭ではいろんなイベント、コンサート、模擬店などをやりました。
もう一つ就活で言っていたのが、僕はテレビ番組の影響でバックパッカーにあこがれがあり、20歳で初めて海外に行き東南アジア5カ国を周遊しました。卒業旅行はもうちょっと冒険したくなり、インドを一周したんですよ。当時、元サッカー日本代表の中田英寿さんがサッカーボールを持って現地の方と交流していたのを「かっこいいな」と思ってみていたので、僕もサッカーボールをバックパックに詰めて、子どもたちとサッカーしながらインドを一周しました。
  JTBの仕事はこうしたことの延長線上という感じでした。JTBは「イベントも旅行もどっちもできます」と言って採用活動をしていたので、私を選んでくれたのだと思います。

■山田さんの社歴
 ──入社後の社歴を教えてください。
 山田 自分は最初は大阪の営業部に赴任し、広島、上海、高松と異動しました。現在の高松は4カ所目です。

 ──上海には何年くらいいらっしゃったんですか?
 山田 当時、海外拠点に選抜した社員を1年間派遣させる「SAMURAIプロジェクト」というのがあり、それで上海に赴任しました。異動を聞いたときは正直「ええっ!」という感じでしたね。
 現地では当社のパックツアーである「LOOK JTB」の受け入れの仕事をしていました。それに加えて当時JTBは日本発海外着、海外 発日本着だけではなく、世界発世界着の旅行に力を入れていこうとしていました。JTB上海は200人ぐらい社員がいましたが、アウトバウンドと呼ばれる上海発世界着というのは営業部隊が足りません。そこで若手社員が会社などの飛び込み営業をしていくというミッションがあったのです。私も一日50件ぐらい回り、たまに日本の駐在員を呼んできてくれて「どうされました?」「ああ、ああ、日本人でよかったです。ちょっと話聞いてください」みたいなことをしていました。確かに、サムライみたいだなとは思いました。

JTBは地域から逃げない

■JTBの働きやすさ
 ──JTBで10年間働いてこられて、働きやすさを感じることはありますか?
 小糸 私が入社した時と比べると、フレックス制度が導入されたり、在宅勤務ができたりして、さらに働きやすくなっていると思います。私はこれから産休に入りますが、産休、育休制度も取りやすく、周りのフォローもあります。
「JTBの法人営業」は出張や添乗業務が多くハードな働き方というイメージがあるかもしれないんですけれども、ちゃんとその分、土日に働いたら平日に休みが取れます。お子さんがいたとしても、働きやすい環境だと思います。

 ──山田さんはいかがですか?
 山田 働きやすいと思います。特に地域に行けば行くほど、もしかしたら働きやすいかもしれません。なぜなら、そこに困っている人がいて、JTB の活躍する機会があるからです。「頼りにされている」というのが私たちの原動力にもなりますし、やっぱり頼られていないと人は力が発揮できないと思うんですよ。人口減少、地方創生とか叫ばれる 中で僕らが活躍する舞台はあるんじゃないかと。

 ──最近は旅行もオンラインサービスが盛んですが、地域にいくと「JTBだからこういうことをやってほしい」というニーズがたくさんあるということですね。
 山田 そうですね。私たちはそこに寄り添って、同じ目線になって動く会社です。だから、今後も全国に支店はあり続けると思います。JTBは地域から逃げないし、いい関係ができていると思います。

■JTBで働くやりがい
 ──JTBで働くやりがいを教えてください。
 小糸 本当にいろいろありますが、どの仕事もやっぱり誰かの役に立っていたり、誰かの感動を生んでいたりするところです。お客様から直接「ありがとう」という言葉をいただけたり、「この旅行がこういう思い出になった」とか、今回の事業開発もお客様から直接「ここが良かった」「逆にここはダメだった」という声をいただけたりするのが無形商品を売っている会社としては、魅力です。個人的にもやりがいを感じますし、自分の人生にも大きく寄与していると思いますね。

 山田 人から頼りにされるということは、もうかけがえのない原動力なので、それが一番のやりがいですね。

(インタビュー写真・岸本絢)

SDGsでメッセージ!

 今の時代は良いことも、良くないことも、いろいろなことが最も早いスピードで変化していると言われています。今後はJTBなのか、他の会社か分かりませんけれども、新しい世界に飛び込んでいくのであれば、かなり先の未来を見据えて決めた方がいいんじゃないかなと思っています。そういう意味ではJTBは20年、30年先の地域の在り方などを見据えながら、いろんな事業をやろうとしていますので、ぜひ興味があれば JTB を受けていただければと思っています。お待ちしています。(山田さん)

 今は就職活動で大変な時期だとは思うんですけれども、いろんな会社があると思いますが、入った先がゴールではなくて、そこからがスタートだと思います。その会社で何をしたいか、どんな課題を解決したいのか、どんな仕事を担いたいかがすごく重要です。その中で、JTBは交流創造事業をグローバルに展開していますので、世界中の人々の感動を生み出したりとか、交流を生み出したりしたいという方がいらっしゃったら、ぜひ JTB を選んでいただけたら嬉しく思います。 私たちは就活生の皆さんを応援しています。(小糸さん)

JTB

【旅行業】

 JTBグループの事業ドメインは「交流創造事業」です。交流とはすなわち“つながり”です。“つながり”が生み出す価値は無限です。旅行者と地域、企業と地域、旅行者と企業、あるいは日本と世界、リアルとバーチャルなど、つながりは多様です。そして、つながりが増えるほどイノベーションが生まれ、共創による社会課題の解決にもつながります。あらゆるステークホルダーを“つなぐ・つくる・つなげる”ことで、地球を舞台に「新」交流時代を切り拓いていきます。