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2026年09月18日

国内需要減少の逆風の中、海外や新規分野への進出をはかる住宅メーカー業界【業界研究ニュース】

建設・不動産・住宅

 国内での一戸建て住宅の建設販売を主力とする住宅メーカーに、逆風が吹いています。日本の人口減少にともなって住宅着工戸数も減り、さらに大工の不足、資材価格の高騰、金利上昇なども需要への逆風になっています。そのため、中小事業者の倒産が増えているのです。

 そうした状況を乗り越えようと、大手住宅メーカーは海外事業を強化したり、ビル建設などこれまでゼネコンと呼ばれる総合建設業者がやっていた仕事に参入したり、リフォームや省エネ対策に力を入れたりしています。住宅は人の一生の中でもっとも高い買い物と言われます。住宅メーカーで働くということは、買い手のニーズや気持ちを汲み取り、買い手の満足感を高めることがないより大切です。買い手が喜ぶ住宅を提供できた時は、担当した社員の充足感も高くなります。買い手の満足感を高めるということはどんな製品のメーカーにおいても基本ですが、住宅メーカーはとりわけそこが大事になる業種でしょう。
(写真・整備が進む分譲住宅地=2026年9月、東京都八王子市/写真はすべて朝日新聞社)

大和ハウス、積水ハウスなどが大手

 国土交通省が建設業の許可を出している件数は全国で50万近くあり、そのすべてが住宅メーカーではありませんが、工務店などと呼ばれる中小の住宅業者は全国にたくさんあります。一方で、ほぼ全国を商圏とし、工場で部材を生産するなどしている大手メーカーは少数です。売上高が多い順に代表的な会社を並べると、大和ハウス工業(2026年3月期、5兆5768億円)、積水ハウス(2026年1月期、4兆1979億円)、住友林業(2025年12月期、2兆2675億円)、飯田グループホールディングス(2026年3月期、1兆5088億円)、オープンハウスグループ(2025年9月期、1兆3364億円)、旭化成ホームズ(2026年3月期、1兆343億円)、積水化学工業の住宅カンパニー部門(2026年3月期、5362億円)などとなっています。
(写真・大和ハウス工業の一戸建て住宅=2025年9月13日、静岡市葵区)

それぞれの会社に特徴がある

 大手メーカーにはそれぞれ特徴があります。大和ハウス工業は戦後に大阪で創業された会社で、プレハブ住宅を開発して伸びてきました。積水ハウスは累計建築戸数が世界でもっとも多いメーカー(2026年1月末現在)で、高いブランド力を持っています。住友林業は社名の通り木にこだわった住宅メーカーで、環境にやさしい木造住宅に強みがあります。飯田グループホールディングスは上場企業6社が経営統合して生まれた会社で、戸建て分譲住宅で高いシェアを持っています。旭化成ホームズはへーベルハウスのブランドで展開しており、災害に強い家との定評があります。積水化学工業は積水ハウスの源流の会社ですが、今はまったくの別会社で、セキスイハイムのブランドで大部分を工場でつくるユニット工法に特徴があります。オープンハウスグループは土地の仕入れから住宅販売まで一貫しておこなう形態で、都会の駅近の土地を主体にしています。

1~6月期の倒産件数は13年ぶりに100件越え

 住宅メーカーにとっての大きな逆風は、新設住宅着工戸数が減る傾向にあることです。2025年度は71万戸でピークだった1972年度から約6割減っています。人口減少により世帯数も一世帯当たりの家族数も減る傾向にあるためで、この傾向はこれからも続くでしょう。また、大工の不足も大きな課題で、大工を自社で育成しようとしている大手メーカーも出てきています。中東危機によるナフサ不足や円安からくる資材価格の高騰も逆風になります。金利が上がる傾向にあるのも買い手にとって住宅ローンの負担が重くなることになり、住宅需要にはマイナスです。住宅メーカーの倒産は増えており、東京商工リサーチによると2026年1~6月の住宅メーカーの倒産件数は118件で、13年ぶりに100件を上回りました。中小のメーカーを中心に経営が苦しくなっていることころが増えています。

ビル建設から土木事業にも手を広げる

 国内住宅市場に逆風が吹く中、大手住宅メーカーが力を入れているのが海外事業と非住宅分野への進出です。大和ハウス工業や積水ハウスはアメリカ事業を強化し、住友林業は2026年5月にアメリカの住宅大手のトライ・ポイント・ホームズを約6500億円で買収しました。ただ、アメリカでも住宅ローン金利の上昇などで住宅販売に逆風が吹いており、積水ハウスはアメリカの戸建て住宅事業の売上高を落としています。非住宅分野への進出の中心はビルの建設で、旭化成ホームズは中低層のビルである「へーベルビルズ」を手掛けています。また、大型土木事業ができるゼネコンを買収したり提携したりして、ビル建設や土木事業へも手を広げようという動きも強まっています。大和ハウス工業はこれまでにフジタや住友電設を買収し、積水ハウスは鴻池組と、住友林業は熊谷組と資本提携、パナソニックは松村組を買収しました。
(写真・積水ハウスが米国で展開する木造住宅ブランド=2024年9月27日、米カリフォルニア州)

都市部の高価格住宅へ絞り込み

 大手住宅メーカーは販売価格や販売エリアの絞り込みも進めています。大和ハウス工業は東京や大阪などの都市部に営業機能を集約し、注文住宅の販売は5千万円以上に限ることにしました。全国で幅広い価格帯の住宅を提供してきましたが、建設費の高騰や人手不足を受け、効率を重視して採算の取れる高価格の商品に絞る戦略です。東京や大阪はマンション価格が高騰しており、相対的に一戸建て住宅に割安感が出ています。大都市部周辺に重点を置き、高価格商品で勝負していこうということです。

住宅展示場を訪れて会社を身近に感じよう

 住宅メーカーの仕事には、買い手を探したり買い手の要望を聞いたりする営業、図面をひく設計、建設に責任を持つ施工管理、新しい部材や技術を開発する研究部門、経理や人事などの事務部門などがあります。また、語学力が必要となる海外事業の部署もあります。とりわけ大事なのは営業です。一生に一度の高い買い物という買い手が多く、様々な要望を受けて設計部門などと調整しなければなりません。買い手を満足させる調整には、自社商品の特徴や技術を細かく知り、自社商品への自信を持っておく必要があります。住宅メーカーを志望する人は、いろいろな住宅メーカーが出展している住宅展示場を訪ねてみるといいでしょう。それぞれのメーカーがどういうところに力を入れているかがわかり、会社を身近に感じることができると思います。

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