業界MAP

介護・福祉サービス

業界の仕組み

高齢化で拡大を続ける介護市場

 介護・福祉サービス業界は、高齢化の進行にともない今後も安定的な拡大が見込める業界だ。

 2016年度の「介護給付費等実態調査」(厚生労働省)によると、介護保険を利用した人は613万8000人で、過去最高を記録した。介護給付費は年間9兆6924億円で、こちらも過去最高額だ。団塊世代が75歳を迎え後期高齢者となる25年には、75歳以上の人口が2179万人、全人口の2割近くを占める見込みだ。

 介護保険制度によるサービスは訪問介護や通所介護(デイサービス)、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で行われる介護、特別養護老人ホームや介護療養型医療施設での介護などがあり、料金は利用者が一部を自己負担し、残りは介護保険と税金でまかなわれる。介護サービス企業の売り上げの柱は介護保険収入だが、有料老人ホームやサ高住では介護保険収入に加え、施設の賃料や利用料も収入となる。

 業界最大手のニチイ学館は有料老人ホームから通所介護や訪問看護まで総合的にサービスを展開。一方、ツクイは通所介護、訪問介護、小規模多機能型居宅介護などを中心に展開している。このほかSOMPOケア、ベネッセスタイルケアなど異業種からの参入も多い。

保険外サービスと合わせた「混合介護」も

 市場が拡大している介護業界だが、需要に介護職員数が追いつかない問題を抱えている。厚生労働省は、高齢化がピークを迎える2025年には介護職員が約34万人不足する恐れがあるとの推計を発表した。介護ビジネスへの参入促進や労働環境・処遇の改善といった対策を強化するとしている。

 介護保険への政府の税負担、国民の保険料負担も年々重くなっている。介護報酬は3年に一度改定されるが、18年度の改定では従来の介助中心から自立支援型の介護を推進する方針が打ち出された。また高所得の利用者の自己負担率は18年8月から最大3割に上がった。膨らみ続ける社会保障費の抑止策の一環だ。

 介護大手ではAI(人工知能)を導入し、ケアプランを自動的に作成させる試みが始まった。ケアプランづくりはベテランのケアマネジャーの職人技に頼るところがあったが、人材不足のなか、AIを利用して高水準のサービスを提供できないか模索中だ。

 介護保険の対象となるサービスと対象外で利用者が全額負担するサービスを合わせた「混合介護」の可能性も注目されている。デイサービスを利用する高齢者の買い物代行や外出への付き添いといった保険外サービスを介護事業者が行えるようにするものだ。利用者の利便性が高まるほか、介護事業者が税金や保険料に頼らずに収益を上げやすくなる。政府は、混合介護のルール明確化の方針を明らかにしている。

最新トピックス

パナソニック系が時間制正社員制度

 サービス付き高齢者向け住宅を拡大中のパナソニックエイジフリーは、介護職を対象に時給制で勤務時間を選択できる業界初の「時間制正社員制度」を2018年4月に導入した。介護職員が不足するなか、優秀な人材を確保し、定着を目指す。

ソニー系が有料老人ホームに新型aibo導入

 ソニー・ライフケアグループは2018年4月、傘下の会社が運営する介護付き有料老人ホームに自律型エンタテインメントロボット「aibo」を導入した。新型aiboはソニーが開発した音声認識技術やAIを搭載。かわいがってくれる人になつくようになっている。aiboとのコミュニケーションによって入居者の生活が豊かになると期待されている。

ツクイなど15業者が連携してAI活用に

 介護大手ツクイなど15業者が連携して、ケアプラン策定にAIの試験導入を始めた。システム開発のシーディーアイが開発したAIに利用者の要介護度などのデータを入力すると、最適なケアプランを三つ提示する。試験導入では104人のケアマネジャーがケアプランの作成にAIを活用し、得られたデータをもとに精度を高め、実用化につなげていく予定だ。

採用の傾向

求められる主な資格

介護福祉士(ケアワーカー)
 「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格。心身の障害によって、日常生活に支障がある人に対し、状況に応じた介護を行う。また、家族や介護者への指導・助言もする。介護の知識と技術を兼ね備えた専門家。

社会福祉士 (ソーシャルワーカー)
 「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格。心身の障害によって、日常生活に支障がある人に対し、状況に応じた介護を行う。また、家族や介護者への指導・助言もする。介護の知識と技術を兼ね備えた専門家。

介護支援専門員 (ケアマネージャー)
 2000年に導入された介護保険制度によって誕生した公的資格。要介護者からの相談に応じ、心身の状態に応じた適切な介護サービスが受けられるよう、自治体や介護施設との連絡調整役をする。また、要介護者が自立した生活が送れるよう援助する。

訪問介護員(ホームヘルパー)
 高齢者や障害者の家庭を訪問し、日常生活全般をサポートする資格。介護サービス(食事・入浴・排泄など)、家事援助サービス(調理・洗濯・掃除・買い物など)に加え、家族の相談にも応じる。