業界MAP

銀行・証券・保険

業界の仕組み

効率化を急ぐメガバンク

 企業が新しく事業を始めたり、個人が家を買ったりする時、資金を調達しなければならない。そんな時に必要とされるのが金融機関だ。銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合などは、企業や個人から預金を集め、そのお金を貸して利子を得ることで、収益をあげている。社会にお金を流通させるという役割も果たし、経済活動を広く支えている。

 かつては数多くの都市銀行があったが、経営統合を経て現在は三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFG、三井住友FGの3大メガバンクが中心となり、グローバルなビジネス展開を図っている。資金や土地などを預かって運用し、利益を配当する信託銀行は、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行などがある。

 2016年に日本銀行がマイナス金利政策を打ち出したことで、貸出金利と預金金利との利ざやが縮小している。メガバンクはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる事務作業の自動化ツールを導入し、効率化を進める。時代の変化に伴って新しいニーズへの対応能力が銀行員にも求められる。

地銀や信用金庫は個性を発揮

 各都道府県には多数の地方銀行や第二地方銀行があり、地域に密着して営業している。信用金庫や信用組合は、地元企業や個人との関係が深い。総資産が10兆円規模の横浜銀行、千葉銀行、静岡銀行、福岡銀行など、地域経済に大きな影響力を持つ地銀もある。2016年に横浜銀行と東日本銀行(東京都)が経営統合し、コンコルディアFGに。18年には関西アーバン銀行、近畿大阪銀行、みなと銀行の3社が経営統合し、関西みらいFGが生まれた。長崎県では、親和銀行を傘下に置くふくおかFGと十八銀行の経営統合が、公正取引委員会の長期の審査の末、承認された。

 郵政民営化で誕生したゆうちょ銀行や、住信SBIネット銀行、大和ネクスト銀行、ソニー銀行などのネット専業の銀行も、独自のサービスを提供してその存在感を増しつつある。ATMの維持コストを軽減するためにメガバンクがATM統合への動きを見せる一方で、流通系のセブン銀行やイオン銀行はスーパーやコンビニのATMを基盤に利用客を増やしている。

個人投資家の獲得を図る証券会社

 証券会社は、株式の売買を仲介して手数料収入を得たり、証券会社自らが売買に参加して収益をあげたりしている。企業が新たに株式を発行する際の引き受け業務などを行う証券会社もある。これら全てを手がけるのが野村証券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券などの総合証券会社だ。SBI証券、マネックス証券、楽天証券などのネット証券は、店舗を持たず、割安な手数料で存在感を増している。

 個人顧客を相手にしたリテール部門と、法人向けのホールセール部門に業務は分けられる。2014年に始まった少額投資非課税制度(NISA)に続き、運用益に対する非課税期間の長い「つみたてNISA」が18年にスタートし、個人投資家の囲い込みを狙う。証券会社に投資家が資産運用を一任する「ファンドラップ」も、各社が積極的に取り組んでいる。

生保・損保のカギ握る海外展開

 保険会社は、保険契約者から保険料を集め、契約者が死亡したり事故に遭ったりした時に保険金を支払う。突然の災難に遭った人や企業を、金銭面で支援する役割を持つ。生命保険、損害保険(火災保険、自動車保険、傷害保険など)の他にも、第三分野保険(がん保険、医療保険、介護保険など)、サイバー保険やゴルファー保険などのユニークな商品がある。少子高齢化を見すえて、海外企業の買収などが相次いでおり、海外での事業展開が将来のカギを握りそうだ。

 生命保険会社は、日本生命、第一生命ホールディングス、住友生命、明治安田生命などが大手。2015年に上場したかんぽ生命は、第一生命と資産運用について包括業務提携を結んだ。外資系のメットライフ生命、アフラック生命、アクサ生命などは医療保険で強みを見せる。

 損害保険会社は、損害保険ジャパン日本興亜を傘下に持つSOMPOホールディングス、東京海上日動火災保険を中心とする東京海上ホールディングス、あいおいニッセイ同和損害保険や三井住友海上火災保険を子会社に持つMS&ADホールディングスの3メガグループで、市場シェアの大半を占める。

最新トピックス

フィンテックで進むキャッシュレス化

 金融(Finance)にITを活用した金融サービス「フィンテック(FinTech)」に注目が集まっている。2018年施行の改正銀行法によって、金融機関とベンチャー企業との協業が進展するとみられる。ビットコイン(仮想通貨)のブームは価格の乱高下や巨額の流出事件などもあって現在は安定していないが、メガバンクなどは将来の脅威ととらえ、基幹技術である「ブロックチェーン」を活用しようとしている。三菱UFJによる「MUFGコイン」の実証実験や、みずほFGによる人工知能を使った個人向け融資サービスなど、新しい取り組みが始まっている。日本は海外に比べて現金での決済が中心だったが、フィンテックの普及によってキャッシュレス化が進むとみられている。

顧客本位の金融サービスへ

 金融庁は、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)という概念を掲げ、2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表した。顧客に合ったサービスの提供や、わかりやすい情報提供を求めるものだ。顧客の声を営業現場に反映させるなど、信頼性向上のために金融サービスにも新たな取り組みが求められる。

採用の傾向

銀行業界の主な採用職種

 「法人営業」「営業企画」「財務戦略サービス」「リテール営業」「プライベートバンカー」「融資審査」「ローン審査」「外国為替」「金融商品設計」「資産運用」「資金調達支援」など。

証券業界の主な採用職種

 「コンサルタント」「法人セールス」「投資アドバイザー」「フィナンシャルアドバイザー」「スーパーバイザー」「投資業務」「融資審査」「金融商品開発」など。

生命保険業界の主な採用職種

 「法人営業」「営業企画」「年金開発」「リテール営業」「代理店営業」「契約査定」「営業教育」「法人情報センター」「資金運用」「財務企画」「リスク管理」など。

損害保険業界の主な採用職種

 「法人営業」「商品開発」「パーソナル営業」「代理店営業」「契約査定」「損害サービス」「営業支援」「販売促進」「契約事務」「資金運用」「財務企画」「リスク管理」など。