業界MAP

運輸

業界の仕組み

暮らしや経済を支える役割

ill_unyu.gif 東日本大震災の直後には、交通網が寸断され、人々の往来や生活必需品の流通に大きな影響が出た。運輸に携わる会社は様々な手段で被災地への輸送を行い、日常生活を支えるライフラインとしての役割が見直されるきっかけとなった。

 主な業態は「鉄道」「陸運」「空運」「海運」「倉庫」など。経済活動の多くは「モノ」が売り手から買い手に「動く」ことで成り立つので、正確かつ信頼できる輸送は、消費者や企業にとって不可欠なサービスだ。近年はサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)と呼ぶ、荷主企業の物流全体を受託するビジネスも拡大している。

海外進出や事業拡大で競争が進む

 「鉄道」は少子高齢化、就労・就学人口の減少による定期利用者の伸び悩みが課題。JR・私鉄各社は利用者を確保するために、「エキナカ」などの商業施設や、レジャー、不動産といった鉄道以外の事業を積極的に進めている。鉄道本業では、北陸新幹線や北海道新幹線の開業、JR東海のリニア中央新幹線の着工などがトピック。海外への展開も拡大しており、米国やアジアで新幹線や鉄道システムの受注を目指している。

 「陸運」は主にトラックで貨物の輸送を代行する。小回りが利き、国内貨物輸送の主役だ。宅配便や引っ越しなど、生活に身近なサービスも多い。業界全体では、中小企業が多いことが特徴。メーカーが海外に工場を設ける際、その近くに物流拠点を設けるケースもある。国内の人口減少を見すえて、大手各社は海外展開を急いでいる。

 「空運」は、2017年3月末に日本航空(JAL)の新規投資や路線開設の制限が解除され、ANAホールディングスとの競争は新たな展開に。ジェットスター・ジャパン、バニラ・エア、ピーチ・アビエーションなどの格安航空会社(LCC)も、国際線の拡大を図る。羽田空港で発着枠の増加が検討されており、20年の東京五輪に向けて首都圏空港の機能強化が見込まれる。世界の航空需要がアジアを中心に伸びることが予想されており、各社とも新規路線の開拓に力を入れている。

 「海運」は、日本郵船、商船三井、川崎汽船が大手3社。海外から資源や食料を運ぶ一方、国産の工業製品等を海外へ運び、貿易を支える。世界的に荷物よりも船舶過剰の状態が続いており、大手3社はコンテナ船事業を統合して新会社を設立。グローバルな規模での再編が進む中、競争力の向上を図っている。

 「倉庫」は、顧客から様々な物品を預かって保管する。大手会社は、その他にも荷受けや配送など、物流も含めた総合的なサービスを提供していることが多い。

最新トピックス

「クルーズトレイン」が相次いで運行開始

 鉄道各社が観光客の需要を取り込むために導入した観光列車「クルーズトレイン」が人気を集めている。2017年5月に「トランスイート四季島」、6月に「トワイライトエクスプレス瑞風」と、JR東・西日本の豪華寝台列車が相次いで運行を開始。観光を楽しみながら各地を周遊できることから、地方創生の面でも期待を集めている。

無人配達に向けた実験がスタート

 ネット通販の拡大によって宅配便の取扱個数が増える一方で、単価が低いために利益につながらない状況が続いている。トラックドライバーの高齢化による人手不足が重なって深刻な問題となっており、ヤマト運輸は時間帯指定配達の一部見直しに踏み切った。将来の無人配達を見据えて、自動運転の車やドローンを使った配達の実験も始まった。

タクシー業界に海外からの波

 東京都心部のタクシー初乗り運賃が2017年1月、2キロ730円から約1キロ410円になった。「ちょい乗り」需要を喚起するだけではなく、欧米の水準に合わせた運賃変更。一般ドライバーによる有料のライドシェア(相乗り)は、日本では「白タク」として禁止されているが、14年にライドシェア最大手の米国ウーバー・テクノロジーズが日本市場に進出。過疎地で自社の配車システムを提供するなど、規制緩和を見据えて本格参入を虎視眈々と狙う。

採用の傾向

鉄道業界の主な採用職種

「鉄道サービス企画(旅行プラン・イベントの企画)」「建設(鉄道施設の企画開発)」「不動産開発(駅ビル等の企画開発とテナント管理)」「運行管理」「鉄道事務」「営業企画」「販売促進」「広報宣伝」等。

陸運業界の主な採用職種

「サービス企画」「セールスドライバー」「配送管理」「カスタマーサービス」「営業戦略」「営業」「販売促進」等。

空運業界の主な採用職種

「パイロット(運行乗務職)」「キャビンアテンダント(客室乗務員)」「グランドスタッフ(空港内の地上勤務職)」。
※この3つは職種別採用となっている。「商品企画(個人・旅行代理店向けのフライトプランの企画)」「運行整備」「機体・部品計画」「営業」「販売計画・企画」等。

海運業界の主な採用職種

「技術開発・調査」「設備計画・管理(船舶をはじめとするインフラ設備の建設企画・施工管理)」「運航管理」「調達」「営業」「販売促進」。

倉庫業界の主な採用職種

「企画開発」「設備計画・管理」「入出庫管理」「営業」「販売促進」等。

【主要各社の大卒採用計画】
(2018年4月入社、カッコ内は2017年度実績)
JR東日本(短大、高専、専門学校、高校卒を含む) / 1200(1222)、JR西日本(短大、高専、高校卒を含む)/約600(628)、JR東海/約450(410)、全日本空輸(短大、高専、専門学校卒を含む)/ 650(939)、日本航空(短大、高専、専門学校、高校卒などを含む)/ 570(538)、ヤマト運輸/約200(163)