業界MAP

商社

業界の仕組み

トレーディングから事業投資への転換

 「総合商社」は幅広い商品やサービスを扱い、「専門商社」は鉄鋼・医薬品・食品などの分野別に特化している。ビジネスの柱は、原料や商品・サービスを扱って手数料を得る「トレーディング」と、有望な事業に投資して配当などによって利益を上げる「事業投資」の二つ。1980~90年代に商社を介さない直接取引が増えたのを受けて、大手の商社は自社で積極的に事業投資を行うビジネスモデルへと転換した。

総合商社は「非資源」を強化

 豊富な資金力と情報を活用し、海外の大規模プロジェクトに関わったり、様々な業種と連携したりする総合商社は、日本ならではの業態だ。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅が5大商社とされ、豊田通商、双日なども大手だ。

 鉄鉱石、原油、天然ガスや太陽光発電などの資源分野は2000年代に入り、世界的なエネルギー・金属の需要増を受けて、莫大な利益を生み出してきた。だがここ数年、原油や鉄鉱石、銅などで相場の下落が続き、資源分野への依存が強い会社が業績を落として、総合商社の勢力図が変わった。

 多くの大手商社は資源分野への投資を慎重に進め、得意とする非資源の事業への投資を強化する一方で、市況の影響を受けにくい分野の育成を進めていく方針。新たなビジネスの創出が求められており、将来どのような分野に需要があるのかを見極めて的確に投資する情報収集力や判断力が重要になっている。

専門商社の再編相次ぐ

 ジャンル別に特化した専門商社の種類は多岐にわたる。主に鉄鋼系、機械系、繊維系、化学系、食品系、医薬品系、燃料系などがあり、各業界で大きな存在感を発揮している。メーカーから独立した企業や、総合商社と関係の深い企業も多い。

 これまでは内需への依存が強かったが、商品・製品を卸す仕事に加え、商品開発や製造、小売業を手がけたり、海外に進出したりする会社が増えている。化学系商社の長瀬産業や稲畑産業は、積極的にグローバル化に取り組んで業績を伸ばした。

 企業の再編や提携が相次いでいることも特徴だ。鉄鋼系の大手では、メタルワンが三菱商事と双日の合弁会社で、伊藤忠丸紅鉄鋼も総合商社が部門を統合して発足。世界的な半導体メーカーの再編を背景に、電子・半導体の分野では2015年にマクニカ・富士エレホールディングス、17年にネクスティエレクトロニクスと、経営統合が相次いだ。医薬品系で売上高1位のメディパルホールディングスは、日用品・化粧品卸の大手PALTACを傘下に持つ。

最新トピックス

食品ビジネスが拡大の動き

 世界の人口増に伴う食料需要の増加を見込んで、総合商社による食品事業の強化が目立っている。2013年には丸紅が米国穀物メジャーのガビロンを、伊藤忠商事が米国食品大手ドールのアジア青果事業を、14年には三菱商事がサーモンの養殖・加工で世界3位のセルマックを、それぞれ買収した。

 三菱商事は17年にローソンを子会社化、伊藤忠もファミリーマートを傘下に収めるなど、総合商社は小売りとの関連も深い。原料の調達から販売までのバリューチェーンに携わるビジネスは、今後拡大することが予想される。

新領域への投資広がる

 デジタル、エンターテインメントなど新しい分野への投資が広がっている。三菱商事はデータセンター事業に2000億円を投資、住友商事は中国企業と共同で海外でのコンテンツ事業を展開していく予定。三井物産は病院事業や医療機器など、ヘルスケア部門への出資に積極的だ。

中国での事業展開を図る伊藤忠

 伊藤忠商事は、タイの財閥大手「チャロン・ポカパン(CP)グループ」、中国最大の国有複合企業である「中国中信集団(CITIC)」とも資本・業務提携を結び、CITICの中核企業に約6000億円の巨額投資を行った。中国でのネット通販や新興国でのビジネス拡大を目指している。

採用の傾向

総合商社の主な採用

 総合職と一般職に分かれていることが多い。入社後は「エネルギー」「金属」「化学品」「金融」など、ジャンルごとの部門に配属され、「営業」「マーケティング」「仕入れ・物流」などの業務を担当する。最近ではあえて部門を横断させるケースや、早い時期に子会社へ出向させるケースも増えている。

専門商社の主な採用

 業務は「営業」「マーケティング」「仕入れ・物流」など。担当ジャンル、担当地域ごとに配属され、そこでキャリアアップしていくことが多い。

語学力だけではない力を

 ほとんどの社員が海外勤務を経験する大手商社では、語学力も評価の対象となる。内定者のTOEIC平均点が900点を超えるという会社もあるが、英語が苦手な学生も入社して活躍している。どのような環境の中でも働けるタフさや、日本の文化や伝統について語れる教養など、幅広い力を養いたい。