業界MAP

ソフトウェア・情報処理

業界の仕組み

社会を支える一方で、人手不足が課題

 ビジネスや暮らしのあらゆる場面でIT(情報技術)が活躍する現代において、ソフトウェア・情報処理産業は社会に不可欠な存在だ。2017年の国内ITサービス市場(IDC Japan調べ)は、前年比1.4%増の5兆5389億円で、今後も安定した成長が見込まれている。企業の経理や顧客管理、工場の生産管理、銀行のATMのほか、マイナンバーなどの個人情報を扱う官公庁や金融機関の巨大システム開発に携わることもある。

 変化が激しいことも業界の特徴。最先端の技術が数年で入れ替わることも珍しくなく、学ぶことは多岐にわたる。経済産業省の調査では、15年時点でのIT業界の人材は約90万人で、約17万人が不足していると推計。不足数は20年に最大約37万人、30年に同約79万人に増えるとされている。深刻な人手不足の解消は、業界全体にとって喫緊の課題だ。

大手SIが海外を目指す動きも

 IT関連業界には、企業等の情報システム開発を企画から設計・開発、運用まで一貫して担うシステムインテグレーター(SI)、ソフトウェア開発、情報処理・提供などの業態がある。業界構造は伝統的にピラミッド型となっており、SIが企業や官公庁から受注した大型案件は、複数の協力会社に下請けに出され、さらに2次、3次下請けへと委託される。近年では、安定した収益を得るために、システム運用・保守の業務を主とする企業も増えている。

 大手SIは、日本IBM、アクセンチュアなどの国際企業、NTTデータ、大塚商会などの「独立系」、野村総合研究所、SCSKなど金融・商社の系列である「ユーザー系」、日立製作所などの「メーカー系」に分類される。メーカー系の富士通やNECは、ハード製造からITサービスへのシフトを進めている。NTTデータが米国デルのITサービス部門を買収するなど、海外へと事業を展開する動きも拡大している。

クラウド市場の拡大続く

 「ソフトウェア」は、コンピューターの基本的な制御を担う基本ソフト(OS)と、会計、データベース管理、文書管理、画像処理、セキュリティーなど作業のためのアプリケーションソフト、その中間のミドルウェアに分けられる。生産、販売、財務、給与など企業活動全体を管理する統合業務パッケージ(ERP)は市場規模が大きく、オラクル、SAP、大塚商会などのシステムがよく使われている。

 サーバーやソフトをインターネット経由で利用する「クラウドコンピューティング」は、市場の拡大が続く。企業などにとっては、大規模な設備投資をしなくて済むのが大きなメリット。需要の増加に対応するため、大規模なデータセンターの建設が相次ぐ。

最新トピックス

様々な分野でAIの実用化進む

 生活の身近な場面でAI(人工知能)が活用される時代が到来しようとしている。将棋や囲碁のチャンピオンがAIに敗れたのは記憶に新しい。深層学習(ディープラーニング)の技術が発展し、ネット上の膨大な「ビッグデータ」を効率的に解析できるようになったことが、進化を加速させている。自動翻訳や画像・音声認識、与信審査などの分野でサービスの実用化が進められ、異業種との提携や新規事業への投資も積極的に行われている。

IoTを生活と産業の両面で活用

 あらゆるものをネットでつなぐIoT(Internet of Things)の市場が急成長している。生活分野では、家電製品や自動車などが蓄積したデータを活用したり、電気・ガス会社が各家庭の使用量を遠隔監視したりできると予測されている。産業分野でも、製造業や医療・介護など、様々な現場で効率化を図るシステム開発が期待される。それに伴い、サイバー攻撃に備えてセキュリティーの技術やサービスの需要も今後伸びていくとされている。

採用の傾向

主な採用職種

 「プログラマー」「システムエンジニア(SE)」「セールスエンジニア」「プロジェクトマネジャー」「ITコンサルタント」「ITスペシャリスト」「システム運用・保守」「営業」「マーケティング」など。

コミュニケーション能力が重要

 専門技術を学ぶことはもちろん必要だが、顧客がシステムを活用して何を実現したいのかを理解することが大切だ。顧客の本当のニーズが打ち合わせを通じてわかることもあり、担当者間の意見を調整するなど、高いコミュニケーション能力が求められる。

 様々な業種の顧客と仕事をするため、各業種の特徴や実務の流れを理解する力も必要だ。情報工学などの卒業生が多いイメージがあるが、実際には多くの文系出身者が活躍している。文系の採用や人材育成については、企業によって方針が異なる。

専門資格の取得が有利

 IT関連の資格が数多くあり、取得できれば就職にも有利だ。国家試験である情報処理技術者試験は、難易度によって「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」、さらに高度な「ITストラテジスト試験」「プロジェクトマネージャ試験」などがある。