業界MAP

医薬品・医療機器・医療関連

業界の仕組み

強まる薬価引き下げ圧力

 医薬品の国内生産額は、厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、2016年は約6兆6525億円と、前年比約2%減。医薬品は、医師による処方箋を必要とする「医療用医薬品」と「一般向け医薬品(市販薬)」などに分類されるが、生産額の9割近くを医療用が占めている。

 国内新薬メーカー1位の武田薬品工業の18年3月期の売上高は1兆7705億円。以下、アステラス製薬、大塚ホールディングス、第一三共、エーザイと続く。ただ、世界における医療用医薬品の売上高シェアの3分の1は米国企業が占めており、日本企業は1割未満にとどまってきた(最新トピックス参照)。

 新薬メーカーにとっては、医療費抑制の逆風が吹いている。主な収益源である生活習慣病の新薬の特許が切れ、同じ成分で安価な後発薬(ジェネリック)への切り替えが進むからだ。後発薬メーカーは、沢井製薬の18年3月期の売上高が前年同期比26.9%増の1680億円で、トップに躍り出た。これに日医工、東和薬品が続く。国は後発薬の使用について「20年までに数量シェア80%」との目標を掲げる。また、バイオ医薬品の後発品「バイオシミラー」や、先発品と同一の原料・製法で作られる「オーソライズド・ジェネリック」など、新たな後発品も注目を集める。

バイオ医薬品の高価格が問題視

 遺伝子組み換えなどのバイオ技術でつくられる医薬品をバイオ医薬品という。2014年に発売された小野薬品工業の「オプジーボ」や、メルク(米国)の「キイトルーダ」などのがん免疫治療薬もその一種。オプジーボは当初、皮膚がんの治療薬として認可された後、肺がんなどにも適用が拡大されたものの、患者1人あたりの薬価が年3500万円もかかるため、政府は16年、緊急値下げに踏み切った。ギリアド・サイエンシズ(米国)のC型肝炎治療薬「ソバルディ」「ハーボニー」も、高額な薬価が医療保険財政を圧迫しかねないと問題視されている。

 バイオ医薬品は巨額の開発費がかかるため、薬価も高くなりがちだ。国内では田辺三菱製薬、塩野義製薬なども開発に積極的。厚労省は、薬剤費を抑制するため、新薬の費用対効果を評価する仕組みをつくり、18年度、オプジーボなどの薬価を引き下げた。今後の新薬開発への影響も懸念されている。

医療機器市場は拡大中

 先進国の高齢化、新興国の医療水準向上に伴い、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)などの検査機器からメスなどの手術器具にいたるまで、医療機器の市場は拡大の一途をたどっている。国内1位のオリンパスは消化器内視鏡で世界シェアの7割を占める。国内2位のテルモはカテーテルで国内首位。得意分野に絞った事業を展開している。

最新トピックス

武田薬品工業がシャイアーを巨額買収

 国内製薬最大手の武田薬品工業は2018年5月、アイルランドの製薬大手シャイアーを総額約460億ポンド(約6.8兆円)で買収することで合意した。武田は世界の製薬企業の売上高トップ10入りする見込み。19年6月までの買収手続き完了を予定する。シャイアーは、血友病など希少疾患の治療薬や血液製剤に強い。開発が最終段階にある新薬候補を複数持ち、遺伝子治療の分野も得意としている。日本企業による過去最大の買収案件だけに、借入金が膨らむなど財務悪化を懸念する声もあり、武田の株価は一時下落した。

キヤノンメディカルシステムズが発足

 原子力事業の不振にあえぐ東芝は、医療機器子会社の東芝メディカルシステムズを約6655億円でキヤノンに売却し、各国の独禁当局の審査が終了。2018年1月、キヤノンメディカルシステムズに社名変更した。CTや超音波診断装置などで国内シェアが高く、海外事業の拡大も目指す。

採用の傾向

医薬品メーカーの主な採用職種

 「分析研究」「工業化研究」「製剤技術」「製薬技術」「製剤設計」「医薬品開発」「品質試験」「工務管理」「MR(医師及び医薬品卸向けの情報担当者・営業)」など。

医療機器メーカーの主な採用職種

 「商品研究」「評価」「商品企画」「商品開発」「臨床開発(医療機器の認可を受けるために必要な臨床試験の手配と管理)」「生産・設備技術」「金型・成形技術」「品質管理」「調達・物流」「MR(医師及び医薬品卸向けの情報担当者・営業)」「マーケティング」など。

ドラッグストアの主な採用職種

 「運営企画(仕入れをサポートする職種)」「販売」「スーパーバイザー(担当地域の店舗を定期的に訪問し、店舗づくりや販売をサポートする職種)」「教育トレーナー(販売員を教育する職種)」「広告販促」など。

MRという職種

 医療用医薬品の適正な使用と普及を目的とし、医薬関係者に面接の上、品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達などを行う。自社医薬品の販路拡大も重要な業務。文系出身者でも就ける職種として知られるが、通常、入社後にMR認定センターが定める300時間以上の導入教育や実務教育を受ける必要がある。