業界MAP

医薬品・医療機器・医療関連

業界の仕組み

注目を集める高額薬剤問題

ill_iyakuhin.gif 医薬品の国内生産額は、厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、2015年は6兆8204億円と、前年を3.5%上回った。全体の約88%が処方箋を必要とする「医療用医薬品」で、約12%が「一般向け医薬品(市販薬など)」。製薬大手は研究開発費として1000億規模を投じ、その売上高に占める割合は約19%と、他の産業に比べてとくに高い。しかし、新薬の開発の成功率は3万分の1とも言われ、十数年の時間がかかる。武田薬品やアステラス製薬など、特許切れの薬を他社へ譲渡して新薬に集中する企業もある。

 新薬では技術の進歩に伴い、高額な医薬品が増える傾向にある。ギリアド・サイエンシズ社(米国)のC型肝炎治療薬や、小野薬品の新型がん免疫治療薬など、画期的な新薬の発売が相次ぐ一方で、その高額な薬価(薬剤の公定価格)は医療保険財政を圧迫すると問題視された。対応を迫られた厚労省は、これらの薬価の大幅な引き下げを実施。さらに、今まで2年に1度だった薬価の引き下げ頻度を一部薬剤で増やすとしており、今後の新薬開発への影響が懸念される。

 後発品に対しては「20年までに数量シェア80%」とする目標を掲げ、国として使用促進を進めている。後発品大手の日医工、沢井製薬、東和薬品は、17年3月期決算で増収減益。いずれも売上高は伸ばしたものの、研究開発費の増加や薬価の引き下げが影響した。また、バイオ医薬品の後発品バイオシミラーや、先発品と同一の原料・製法で作られるオーソライズド・ジェネリックなど、新たなタイプの後発品も注目を集める。

後発品もグローバル化が加速、トランプ大統領には社会保障政策への懸念も

 日本製薬工業協会によると、2014年の日本企業の医療用医薬品の売上高は、米国、スイスに次ぎ世界3位だが、シェアは8.6%にとどまり、米国、スイスや、4位以下のドイツ、英国に比べ、自国以外でのシェアが際立って低い。後発品大手では、国内シェア80%達成後を見据えた海外進出が進む。日医工は16年に約740億円を投じて米国同業を買収したほか、沢井製薬も1155億円を投じた買収を発表している。国内製薬大手にとって大きな市場である米国では、トランプ大統領が登場。米国内での薬価引き下げに言及するほか、オバマケア撤廃も公約に掲げており、製薬業界もその動向に注目している。

最新トピックス

世界で初めて、他人のiPS細胞を網膜に移植

 理化学研究所などのチームが、2017年3月、他人のiPS細胞を網膜に変えて移植する手術を実施した。対象は、失明の恐れがある網膜の難病「加齢黄斑変性」の患者。14年には患者本人のiPS細胞を用いた手術を行ったが、今回は世界で初めて他人のiPS細胞を使用した。他人のiPS細胞なら、患者本人のものに比べて準備にかかる費用や時間を大幅に減らすことができる。今後さらに4人以上に手術を行い、経過を見ていく計画だ。

ハーボニー偽造薬が流通、厚労省が対策に本腰

 2017年1月、C型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が奈良県内の薬局チェーン店で見つかった。偽造薬は薬局から患者の手に渡ったほか、和歌山県内の病院にも流通していた。薬の転売を行う「現金問屋」と呼ばれる卸売業者が、身元を確認せずに個人から偽造品を買い取ったことがわかっている。偽造品を流通させた薬局や卸売業者には、自治体から医薬品医療機器法に基づく業務停止命令が下された。再発防止のため、厚生労働省は医薬品の流通規制強化策を検討している。

痛くない乳がん検査、20年の実用化めざし日立が開発

 日立製作所が、乳がん検診のとき痛みを伴わず、高い精度で腫瘍を見つけられる技術を開発した。現在用いられているマンモグラフィーには、乳房を強く挟んで検査するため痛みを感じることがあるほか、乳腺の密度が高い場合は腫瘍が見つけにくいといった課題があった。新技術では、リング状の装置で乳房に全方向から超音波を当て、腫瘍の形や早期がんの兆候を測ることができる。今後、人体での臨床試験を経て実用化をめざす。医療機器・製薬各社では、より精度の高い検査法や効果のある治療法だけでなく、体への負担が少ない検査法・治療法の開発も進められている。

採用の傾向

医薬品メーカーの主な採用職種

 「分析研究」「工業化研究」「製剤技術」「製薬技術」「製剤設計」「医薬品開発」「品質試験」「工務管理」「MR(医者及び医薬品卸向けの情報担当者・営業)」等。

医療機器メーカーの主な採用職種

 「商品研究」「評価」「商品企画」「商品開発」「臨床開発(医療機器の認可を受けるために必要な臨床試験の手配と管理)」「生産・設備技術」「金型・成形技術」「品質管理」「調達・物流」「MR(医者及び医薬品卸向けの情報担当者・営 業)」「マーケティング」等。

ドラッグストアの主な採用職種

 「運営企画(仕入をサポートする職種)」「販売」「スーパーバイザー(担当地域の店舗を定期的に訪問し、店舗作りや販売をサポートする職種)」「教育トレーナー(販売員を教育する職種)」「広告販促」等。

MRという職種

 医療用医薬品の適正な使用と普及を目的とし、医薬関係者に面接の上、品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達などを行う。自社医薬品の販路拡大も重要な業務。文系出身者でも就ける職種として知られるが、通常、入社後にMR認定センターが定める300時間以上の導入教育や実務教育を受ける。

【主要各社の大卒採用計画】
(2018年4月入社、カッコ内は2017年度実績)
武田薬品工業/未定(79)、第一三共/前年並み(128)、アステラス製薬/未定(143)、エーザイ/前年並み(42)、テルモ/微増(160)