業界MAP

食品・飲料

業界の仕組み

業種も業務内容も多岐にわたり、トレンドサイクルも早い

ill_syokuhin.gif 食品・飲料メーカーの製造品は、総務省の日本標準産業分類によると食品工業全体で54業種に細分されるほど、多岐にわたる。また、比較的原料の調達時期や収穫量の好不調が値段や製造に影響しやすい業界である。このため、保存性や安全性、加工技術向上などの観点から、製造以外にも品質管理や流通方法が重視され、それらの部門が常に錬磨されている業界でもある。

 健康志向の流れで、近年の大潮流だった特定保健用食品(トクホ)ブームは一段落。2015年6月からは、トクホよりも審査基準がゆるやかでありながら健康への効用を表記できる「機能性表示食品」が注目を集めている。しかし一方で、トクホの審査で安全性が確認できなかった成分が機能性表示食品では使用される事例もあり、一部には制度に疑問の声もある。

動向のキーは世界経済と少子高齢化、企業の再編成も盛ん

 食物自給率の低さから、日本の食品会社は食料原料のほとんどを輸入に依存する。最近までの円安傾向で調達価格が上昇し、多業種で値上げを余儀なくされるなど、経済状況にも大きな影響を受けるのも特徴だ。また、中国やインドなどの新興国や、原料調達の主軸となっている発展途上国の経済成長に伴う世界的な食糧需給の構造変化は、長期的には原材料価格の上昇圧力にもなると見られている。

 そして、少子高齢化の影響で国内市場は飽和し縮小傾向が進んでいる。このことから、近年の食品業界は経済も市場も高い成長が続くアジア、アフリカなど海外への進出が盛んだ。例えば、日清食品HDがケニアへ、サンヨー食品や東洋水産はナイジェリアへ、味の素はコートジボワールなど続々と進出しており、各社ともに海外では好調な売り上げを維持している。

 また、この流れで近年は、海外企業の大規模なM&Aの動きも盛んだ。例えば、サッポロHDは2011年にベトナムに合弁会社を設立して15年に完全子会社化しており、サントリーHDは14年に「ジムビーム」で有名な米国ビーム社を買収している。アサヒグループHDは、16年にビール世界再王手のベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ社との間で、イタリアやオランダなどの企業4社の買収を、総額約3300億円で契約したと発表した。

最新トピックス

呉越同舟?競合企業が物流で協力し合う動き

 食品メーカーとして競い合う立場のカゴメやハウス食品など4社が、2017年3月に物流事業の出資会社を発足させた。例えば、カゴメの工場から配送を終えたトラックや鉄道が、帰りは近くのハウスの製品を輸送するなど物流の効率化が目的だ。品質管理や梱包なども「食品」という括りで規格が統一しやすく、1社よりも複数社で行う方が安価でコンテナを仕立てやすいというメリットがあり、参加企業の一部は19年をめどに物流子会社の統合も視野にいれている。

ビールサーバーでIoTの実験開始

 キリンHDとNTTデータは、2017年4月から飲食店に置かれるサーバーにセンサーと通信機を取り付け、ビール残量や洗浄の具合をリアルタイムに把握できるシステムの実験を始めた。キリンは「IoTで、よりおいしい生ビールの提供を目指す」としている。IoT(Internet of Things)とは、あらゆるものがネットにつながって利便性を高める技術のこと。

ノンアル市場は伸びしろあり

 サントリーが2016年に実施した5万人対象のアンケート調査で、ビール系などのノンアルコール(ノンアル)飲料を月1回以上飲む人は32%だった。さらに、ノンアル飲料が最近おいしくなったかとの質問に「そう思う」「ややそう思う」が合計93%にもなった。高齢化や人口減の影響で、ビール・発泡酒・第3のビールの出荷額が16年に初めて前年割れしたが、糖質やプリン体ゼロ、トクホなど、各社が健康思考に向けて積み重ねたノウハウが、今後ノンアル市場で活用され、競争の激化が予想される。

採用の傾向

主な採用職種

 「生産技術」「食品分析」「安全性試験」「研究開発」「マーケティング」「パッケージ開発」「購買」「品質管理」「プラント設計」「工場管理」「販売マーケティング」「営業」「広報宣伝」等。

売り場で企業研究

 日常生活の買い物でおなじみのスーパーやコンビニの売り場。いつもとはちがった目で商品棚を探索してみる手もある。食品業界は、有名企業だけでなく、中堅・中小企業でも数多くの優良企業がひしめいている。注目される新商品や、商品棚の中で幅広い面積を占有する商品のメーカーをチェックし、メモしておこう。検索して企業研究してみると、思いがけぬ出会いになる可能性もある。

製粉業界などは大手安定

 食品工業の原料を提供する製粉、製糖、油脂業界は激しい業界再編の結果、中小企業は、大手企業に比べて厳しさを増している。いずれも、食品業界では珍しい寡占状態となっており、中小企業は厳しい価格競争にさらされている一方、日清製粉グループや三井製糖、大日本明治製糖、J-オイルミルズ、日清オイリオグループなど大手は際だって安定している。

【主要各社の大卒採用計画】
(2018年4月入社、カッコ内は2017年実績)
味の素/前年並み(83)、カゴメ/前年並み(29)、アサヒグループHD /未定(128)、キリン/ 70(81)、サントリーHD /未定(122)、明治・Meiji Seika ファルマ/ 115(125)、森永乳業/未定(72)、山崎製パン/ 210(209)、キッコーマン(高専卒含む)/約30(21)、江崎グリコ/前年並み(30)、日本ハムグループ/469(353)