業界MAP

食品・飲料

業界の仕組み

「時短」がキーワード、健康志向も人気

 食品・飲料メーカーの製品は多岐にわたる。総務省の日本標準産業分類によると、食品工業全体で54業種にも細分される。また、他業界に比べ、原料の調達時期や収穫量が、価格や製造量に影響しやすい。安全性や保存性の確保、加工技術向上のため、製造工程に常に最新技術が必要とされる業界でもある。

 共働きや単身世帯が増えたことで、自宅で料理をする機会が減り、代わりに短時間で手軽に食べられる加工食品の需要が増えている。冷凍食品ではニチレイ、味の素の子会社、JT子会社のテーブルマーク(旧加ト吉)などの売り上げが大きい。即席めんでは、袋めんよりも簡単に食べられるカップ麺が好調だ。「カップヌードル」の日清食品ホールディングス、「マルちゃん」の東洋水産、「サッポロ一番」のサンヨー食品のシェアが大きい。

 一方で健康志向の高まりも続いている。ハム・ソーセージ業界では、日本ハム、プリマハム、丸大食品などの糖質や塩分を減らした商品が人気。水産食品ではイワシなどから抽出したDHAやEPAを使った機能性表示食品の缶詰や魚肉ソーセージが売れている。菓子業界にも健康志向は及んでおり、ロッテが乳酸菌配合の、森永製菓や明治がカカオポリフェノール効果をうたったカカオ高比率のチョコレートをそれぞれ発売し、好評だ。

止まらぬビール離れ、清涼飲料は好調

 アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サッポロホールディングス、サントリーホールディングスに沖縄のオリオンビールを加えたビール大手5社の2017年のビール、発泡酒、第3のビールを合わせた「ビール系飲料」の総出荷量は、前年比2.6%減の4億407万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、13年連続で最低を更新した。酒の過度な安売りを規制する改正酒税法が17年6月に施行された結果、小売価格が1割超上昇したことが響いた。とくにビールの下落幅が大きかったが、割安感のある第3のビールは小幅の減少にとどまった。ビール系以外の缶チューハイなども含め、「安く酔える」アルコール度数の高い商品に人気が集まっている。

 全国清涼飲料連合会によると、2017年の清涼飲料水の生産量は前年比1.7%増の2162.7万キロリットルとなり、3年連続で最高値を更新した。生産者販売金額も同1.8%増の3兆9478億円と、4兆円の大台に迫った。業界1位のコカ・コーラグループは、コーラや缶コーヒーで他社を大きく引き離す。これまで地域ごとに商品を生産・販売する体制を取ってきたが、17年4月、西日本のコカ・コーラウエストと東日本のコカ・コーライーストジャパンが経営統合した。キリンビバレッジとダイドーグループホールディングスも自販機の相互販売で業務提携するなど、業界再編を探る動きが出ている。

進む中国・アジアへの海外進出

 国内市場では人口減少が続き、人件費もかさむことから、各企業は人口の多い中国や東南アジアなど海外市場への進出に積極的だ。伊藤ハム米久ホールディングスやプリマハムなどは、中国やタイで高級ハム・ソーセージの生産、販売に乗り出している。食用油大手の日清オイリオグループは2017年2月、インドネシアのサリムグループと業務用チョコレート製造・販売の合弁会社設立で合意した。サッポロホールディングスも11年からベトナムでビールを製造している。

最新トピックス

山崎製パンが28年ぶりに新工場

 製パン業界1位の山崎製パンは2018年2月、食パンや菓子パンを製造する新工場を神戸市西区の西神工業団地に開設、本格稼働させた。新工場稼働は28年ぶり。食生活の多様化に伴いパン需要が伸びていることに対応する。

サントリー系が自販機で弁当注文サービス

 サントリー食品インターナショナルは2018年7月、飲料自販機で弁当を注文できる職場向けのサービスを始めた。お金を入れて専用ボタンを押すと、近くの飲食店から弁当が届く。飲食店の混雑などで休憩時間に昼食がとれない「ランチ難民」の不満解消とともに、自販機設置や飲料販売の拡大もねらう。子会社のサントリービバレッジソリューションと飲食店検索サイト運営のぐるなびが提携し、「宅弁」と名付けた。

採用の傾向

主な採用職種

 「生産技術」「食品分析」「安全性試験」「研究開発」「マーケティング」「パッケージ開発」「購買」「品質管理」「プラント設計」「工場管理」「販売マーケティング」「営業」「広報宣伝」など。

コンビニで流行に敏感に

 スーパーやコンビニの商品棚を、いつもとは違った目で探索してみよう。食品・飲料業界は、有名企業だけでなく中堅・中小でも数多くの優良企業がひしめいている。この業界では流行を肌で感じるセンスが大切だ。注目の新商品や、商品棚の中で幅広い面積を占めている商品のメーカーをチェックし、ネット検索して企業研究につなげよう。