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エネルギー

業界の仕組み

自由化で電気、ガス両業界は「安定」から「変化」へ

ill_energy.gif 2016年4月から電力自由化が始まったが、この1年間で大手から新電力に切り替えた家庭や商店は5.4%だった。少ないようにも感じるが、実は途切れず伸びており乗り換えの波は進行形だ。そして、20年を目途とされ、電気自由化の仕上げにあたる「発送電分離(発電と送電分離)」が実現すると、電気の卸取引や新電力企業の参入もより活発化し、乗り換えは更に進むと予想される。

 17年からは都市ガスの自由化も始まったが、いずれにしろ人口が減少傾向にある日本では電気でもガスでも全体需要は縮小傾向にある。つまり、パイは減っても競争は激化しており、既存のエネルギー企業は生き残りをかけたイノベーションや再編も迫られつつある。そしてすでに、東京ガスは関西電力や東北電力と、東京電力は中部電力と提携を結ぶ動きもある。かつては、「安定」の代名詞だった電力やガス業界だが、今後は「変化」がキーワードとなりそうだ。

ガスは火力の需要が伸び、LNG需要は一段落

 ガス会社は東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの大手3社が全国の販売量の約7割を占め、残りのシェアを200以上の事業者が分け合う。家庭のエネルギーは、電力会社が提案する「オール電化」が攻勢だったが、ガス会社は家庭用燃料電池「エネファーム」で巻き返しを図っている。一方で、17年のガス自由化により、こんどは電力自由化で顧客を奪われた電力会社が新規参入している。震災による原発事故を受けて、火力発電用ガスやLNG(液化天然ガス)の需要の高まりも追い風だった。しかし、LNGは、原料が輸入頼りであるため、安定供給には常に懸念が付きまとう。

 一方、財務省の貿易統計によると、震災以来高まっていた輸入量も2014年の8850万メトリックトンをピークに16年は8333万とやや落ち着き始めている。

石油業界は供給過剰を抑え再編が進む

 現在の石油産業は、国際的には原油価格の低迷、国内的には企業再編の動きという大きな変革に直面している。石油連盟によると、2015年には世界の原油供給過剰が続く中で、イラン核協議最終合意や世界同時株安、12月のOPEC(石油輸出国機構)総会の生産目標合意などの流れで、11年半ぶりの低価格となる1バレル30ドル台前半まで低下した。経済産業省は日本でも供給過剰を是正するため、石油処理能力の1割を削減するよう石油元売り業界に要求していた。これを受けて、主要企業が相次いで合併を表明し再編が進んでいる。業界1位のJXホールディングスと4位の東燃ゼネラル石油は17年4月に合併してJXTGホールディングスとなった。これに続き、2位の出光興産と5位の昭和シェル石油の合併も予定されているが、調整が難航しており(17年6月現在)、しばらくは1強態勢が続く。

最新トピックス

JXTGが製油所11カ所を統廃合の方針、19年度までに着手

 石油元売りの国内最大手JXTGホールディングスは、2017年5月に国内に11カ所ある製油所を統廃合する方針を遅くとも19年度までに着手と発表した。国内の石油需要の縮小を考慮し、生産体制の合理化を図る。統合は従業員など地元対策が大きな課題になるともしていて、慎重に進めるていく方針だ。

ロシアとサウジが原油の減産継続で合意

 原油供給のだぶつきによる価格低迷をどうするかをめぐって、協調減産するOPECやロシアと、減産から回復基調にある米国シェールオイルとの綱引きが続いている。世界最大の産油国ロシアと世界最大の原油輸出国サウジの生産量は、合計で日量約2000万バレルに上り世界全体の1日当たり消費量の5分の1を占める。ロシア・サウジ両国は、2017年5月に両国間で行われていた原油の協調減産を18年3月まで延長すると発表した。サウジとロシアのエネルギー相が、北京で開いた会談で合意した。両国は世界の原油在庫が過去5年間の平均水準に低下するまで、あらゆる措置を取ると共同声明を発表。これを受けて原油価格はアジア市場で一時上昇した。しかし、原油市場は協調減産開始後も依然として供給過剰にあり、原油先物価格は停滞している。

採用の傾向

電力会社の主な採用職種

「研究」「生産技術」「技術企画」「新事業推進」「設備施工」「資材調達」「機器メンテナンス」「品質管理」「営業」「法人営業」「広報宣伝」等。

ガス会社の主な採用職種

「研究開発」「生産技術」「建設設計(ガス施設の設計)」「生産企画」「施工管理」「保安」「供給管理」「原料調達」「機器メンテナンス」「品質管理」「家庭用営業」「業務用・工業用営業」「技術営業(技術サポート)」「広報宣伝」等。

石油会社の主な採用職種

「研究開発」「資源開発(採掘設備の建設企画・施工管理)」「設計建設(精製・備蓄設備の建設企画・施工管理)」「運転管理」「保守管理」「調達」「技術営業(業務用・工業用営業)」「リテール営業(販売店への営業)」「技術営業(技術サポート)」等。

東京電力が18年度も「福島枠」

東京電力は、「福島復興のために継続的な雇用について最大限貢献していくという観点から、福島県内の大学・高等専門学校などから20人程度の採用を目指してまいります」と、発表している。

【主要各社の大卒採用計画】
(2018年4月入社、カッコ内は2017年度実績)
東京電力HD(短大、高専、専門学校、高卒、中途採用含む)/280(281)、中部電力/ 152(145)、関西電力(短大、高専、専門学校、高卒を含む)/ 320(299)、九州電力100(107)、東京ガス/ 140程度(172)、大阪ガス/ 70(69)、JXTGエネルギー/ 90(136)、出光興産/約50(30)